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Side - 15 - 76 - わたしってかめはめはうてたんだ・・・ -
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Side - 15 - 76 - わたしってかめはめはうてたんだ・・・ -
「それで、花嫁の処遇はどうなったんだ」
「うちの陛下が間に入ってスタンザ帝国の皇帝陛下とラングレーの女王陛下で話し合うみたい、本来なら処刑になりそうだけど女王陛下が令嬢に同情してるから多分いい感じに落ち着くんじゃないかな、今日の夕方には陛下達をローゼリアに転移して送る事になってるから一度ラングレーの王城に戻らなきゃいけないけど、私から結末を聞く気も無いし」
「まぁ・・・俺達が心配する事じゃねぇな」
「うん、でもスタンザ帝国の皇帝陛下、ローゼリアの王女・・・リィンちゃんと陛下にすっごく迷惑かけたって知らされた時に倒れそうになったみたい」
「そりゃそうだろ、俺らには気さくに接してくれるが他国から見たら陛下は超大国の最高権力者だ、その陛下に迷惑をかけたってなったら恐ろしいだろうな」
「さて、俺の方は準備できたぞ」
「じゃぁ、仮設魔法陣を設置した村に転移するよ・・・ほい転移!」
ぱぁっ!
「ヒャッハー!#$%+@”#)&!!」
「いやぁぁぁ!」
ドシュッ・・・プシャァァ!
「どうなってんだデボネア帝国、また野盗に村が襲われてるぞ」
「あぅ・・・先におしっこ済ませて来て良かったのです・・・してなかったら漏らしてた・・・」
「これで全部か、結構居たな」
「&#%#$&”`@^@!!」
「村の人達は何て言ってるの?」
「・・・また救世主様が来てくれた・・・だそうだ」
「えぇ・・・」
「かなり村が荒らされてるな・・・怪我人も多そうだ」
「そうだね」
「助けないのか?」
「私が?、何で?」
「・・・嬢ちゃんは優しいがそういう所は淡白だな」
「だってキリがないでしょ、この村に怪我人がどれだけ居るの?、この人達全員治療してたら何日かかるか・・・それにコルトのお家からお薬取って来ないと治療できないし、治療費やお薬の代金、この人達は払えないよね、私が手間とお金をかけて大事に育てた薬草だからせめて素材の代金だけでも払える人じゃないと無理」
「そりゃそうだ、もし治療するって言い出したら俺がその言葉をそのまま嬢ちゃんに言う所だった」
「まぁ、可哀想だとは思うけどね、私にはここに居る人達全員を助ける力なんて無いよ、それに男の人多そうだし・・・正直怖い・・・」
「さて、それじゃぁ帝都の跡地に転移するか」
「博士ぇ、今派手に戦ったけど魔力は大丈夫なの?」
「あぁ、大規模攻撃魔法は使わなかったからな、ただ、一人一人殺ってたから時間がかかったが・・・」
「そう・・・今日は転移先、あまりズレないといいな」
「大丈夫だ、この地形から推測すると・・・ここからそれほど離れてない」
「そうなんだ・・・」
「行くぞ・・・転移!」
「ここがデボネア帝国の帝都・・・」
「ヒャッハー!#$%+@”#)&!!」
「いやぁぁぁ!」
ドシュッ・・・プシャァァ!
「ここにも居やがったか!」
「わぁぁん!、もうやだぁ!」
「ひっく・・・ぐすっ・・・」
「泣くな、野盗は全員始末してやっただろ」
「うぅ・・・怖かったの、お腹刺されたの、腕輪が無かったら死んでたの・・・」
「腕輪が無かったら確かにやばかったな、それに攻撃魔法を起動させようとしてただろ」
「うん・・・怖くて何とかしないとって思って・・・あれしか思い付かなかったの・・・でも起動させる直前で博士が助けてくれたから・・・」
「あれはやめてくれ、嬢ちゃんの魔力全部使おうとしてたから止めたんだ、起動させてたら帝都半分が更地になってたぞ、まぁ俺は咄嗟に防御結界張るから無事だろうが・・・」
「え・・・」
「あの魔法陣は衝撃波を放出して目の前の敵を吹き飛ばす奴だろう、嬢ちゃんの流した魔力で受けたら相手が粉になるし、ここから向こうに見える山まで建物も何もかも巻き込んで全部消滅するだろうな」
「わぁ・・・実写版のかめはめ波だ・・・私って、かめはめ波撃てたんだ・・・」
「かめは・・・何だって?、・・・とにかく、嬢ちゃんは実戦の経験不足だ、追い詰められたら何をするか分からん、やばいから注意しておかないとな・・・」
「いや、実戦不足も何も・・・私、平凡な貴族令嬢だから実戦なんてしたくないし、攻撃魔法は危険な目に遭わなきゃ一生使わないと思うよ」
「平凡・・・まぁ・・・嬢ちゃんがそう思ってるのなら何も言わんが・・・俺の方から陛下に説明して気を付けるように言っておこう」
「?」
「意味がわからないって顔してるな・・・俺の方でうまく説明しておくから気にするな、・・・さて、事前に教えてもらった屋敷は・・・向こうだ、行くぞ」
「うん・・・」
「わぁ・・・荒れてるね、それにローゼリアの騎士服を着た騎士様が居る」
「少し前に住民から襲撃を受けたそうだ、間一髪でうちの騎士団長が駆け付けて無事だったようだが、他の貴族の家も同じように被害に遭ってる」
「でもこの家の人達は皇帝と一緒に住民を虐めてなかったんでしょ」
「あぁ、だが住民にしてみれば貴族は全員我々を苦しめた悪、みたいな事になってるから言っても聞く耳を持たない、今は襲撃されたら威嚇してお引き取り願ってるようだ」
「そうなの・・・」
「ちょうどあそこに近衛騎士団長が居る、彼は俺の顔を知ってるから俺達の身分を説明する手間が省けたな・・・行くぞ」
ずぅぅぅん・・・
相変わらず近衛騎士団長さんはラオウに似てるなぁ・・・大きいしすごい筋肉・・・それに背中からゴゴゴゴ・・・って効果音が出てるよ。
「遠い所よく来てくれました、ドックさん、それとリーゼロッテ嬢、何もない所ですが屋敷内の危険は全て排除してあります」
わぁ・・・私達のこと「うぬら」って言いそうな外見だけど礼儀正しいな団長さん・・・。
「転移魔法陣はどこに設置すればいいかな?」
博士が騎士団長さんに尋ねます。
「案内します」
ラオウ・・・じゃなかった団長さんの後について屋敷の中に入った一番奥・・・2階の空き部屋に案内されました、ここに設置すればいいのかな?。
「この部屋の隣には常時騎士達が詰めています、陛下が転移して来られた時は部屋の中と外で警護しますのでご安心下さい、この屋敷と、今後の拠点となる王城に魔法陣を設置して頂きたいのですが、まだ城の方は安全が確保できておりません、あと10日ほどで制圧できますので王城はまた後日お願いします」
「・・・はい」
「今日から騎士の交代要員をローゼリアの騎士団本部から転移させて頂きます、長くここに居る騎士を交代させてやりたいのです、それから物資の補給もありますのでしばらくの間はこことローゼリアとの転移は朝昼、そして夕方の計3回になります」
「・・・はい」
思わずはいって言っちゃったけど・・・私、1日3回もこことローゼリアを往復しなきゃいけないの?、陛下何も言ってなかったよ・・・。
「・・・魔法陣を設置します・・・ほい!・・・終わりました」
「騎士団長さんが呆然としています、聞こえなかったのかな?」
「えと・・・終わりました」
「あ・・・、ありがとうございます、それではここに居る5人の騎士と私をローゼリアの騎士団本部へ転移お願いします」
ぱぁっ!
「うわ眩しっ!」
「・・・ほ・・・本当に騎士団本部だ・・・すげぇな転移魔法」
「一瞬だったな、もう少し景色が歪んだりするのかと思ったぜ」
「これでようやく愛しの婚約者に会える!」
デボネア帝国から転移してきた騎士様はとても嬉しそう、騎士様でもあんな所に長く居ると嫌になるんだろうなぁ、そして今度デボネア帝国に行く騎士様は・・・死んだような目をしているのです・・・。
「あの・・・これも・・・一緒に転移させれば・・・いいのです?」
あぅ・・・博士はまだ向こうの屋敷に居るから騎士様との会話は私がしないといけないのです・・・体の大きな男の人、怖いのです!。
「はい、その箱は食料です、ここの5人と私も一緒に・・・かなりの量ですが大丈夫ですか?」
「・・・はい・・・大丈夫でしゅ」
噛んだのです!。
「・・・ほい、転移!」
そして死んだような目をした騎士様5人と、なぜか嬉しそうに目を輝かせている騎士団長さん、そして大量の食料と一緒に再びデボネア帝国の屋敷に転移しました。
「成功のようだな、これで俺の仕事は終わりだ、嬢ちゃんは毎日転移するの大変だろうが頑張ってくれ」
「私いつまでしなきゃいけないの?」
「そうだな・・・陛下が言うにはここにもう一つのローゼリア王国を建国するらしい、まだ仮の名称らしいがギャラン・ローゼリア王国だ、暴動を制圧して住民や貴族を保護、最初はローゼリアの属国から始めて10年くらいで独立させるみたいだな」
「・・・え・・・私、10年も毎日・・・」
「陛下からは何も聞いてないがそうなるだろうな、早く転移網が完成すればやらなくても良くなるぞ・・・それに日当も出るんじゃないか、嬢ちゃんの働きは金貨1万枚にも匹敵する、なんせ騎士達の移動費用や食料が一切かからないんだからな、1万枚とは言わなくても、最低でも1回10枚として・・・毎日金貨30枚は貰えると思うぞ・・・っていうか貰えなきゃ怒っていい」
「い・・・」
「い?」
「いやぁぁぁ!」
「えぐえぐ・・・やだよぉ、私、1日3回・・・10年も拘束されるの?」
「泣くなよ・・・この魔法陣は見たところ嬢ちゃんしか起動できないようになってるが、少し改造すれば俺や・・・魔法騎士団の連中を集めて膨大な魔力を流せば動くようにできる、確かに嬢ちゃんにしか起動できないとなると不便だ、そのうち俺が改造してやろう」
「本当?・・・」
「俺はもうすぐ魔力が安定するし、この魔法陣があれば転移場所がズレる事は無いから休みたい時は言ってくれれば俺が代わりに転移させてやろう、正直1日3回転移させるだけで金貨30枚ってのは魅力だからな」
「私達騎士団はこの屋敷の2階部分を借りています、今からこの屋敷の持ち主を紹介しますのでこちらへ」
私達は騎士団長さんに連れられてお屋敷の1階・・・居間に入りました、そこには30代後半くらいの夫婦と10代の女の子、そして使用人が2人・・・。
「こちらがユーキ夫妻、それから長女のリーシャ嬢です」
わぁ・・・3人とも奴隷の首輪・・・金属の首輪が嵌って頬に赤い刻印が押されています・・・刻印が痛そう。
ぺこり・・・
私が軽くお辞儀をすると3人も慌ててお辞儀をしました、緊張してるのかな?。
デボネア帝国語で団長さんがご夫妻に何か説明しています、何を言ってるのか分かんないけど、2人が驚いたような顔をして私の方をガン見しています・・・団長さん何を言ったのです?。
「嬢ちゃんはここに転移魔法陣を設置しに来たって紹介してる」
私の疑問を察したのか博士が翻訳してくれました。
「彼らはこの屋敷で金銭と食料、身の安全を報酬に簡単な雑用や騎士達のお世話をして頂いています、屋敷内で見かけると思いますがお気になさらず・・・」
この人達はエテルナ大陸語が話せないそうで、私もデボネア帝国語が分からないからあまり話す事は無さそうなのです。
「さて、帰るか」
「やっとお仕事終わったのです!、あ、私はまだこの後ラングレーの王城に行かなきゃいけないけど」
「陛下を転移させるんだろ、俺も陛下に報告がある、一緒に転移させてくれ」
「うん」
この後、博士と私はデボネア帝国を後にして、ラングレー王国の王城に転移するのですが、突然現れた私ともう一つの膨大な魔力の持ち主・・・博士に驚いて、ようやく仕事復帰したイレイナーさん・・・ラングレーの魔法騎士団長がまた倒れちゃったそうで・・・。
※1日金貨30枚=日当約600万円
「それで、花嫁の処遇はどうなったんだ」
「うちの陛下が間に入ってスタンザ帝国の皇帝陛下とラングレーの女王陛下で話し合うみたい、本来なら処刑になりそうだけど女王陛下が令嬢に同情してるから多分いい感じに落ち着くんじゃないかな、今日の夕方には陛下達をローゼリアに転移して送る事になってるから一度ラングレーの王城に戻らなきゃいけないけど、私から結末を聞く気も無いし」
「まぁ・・・俺達が心配する事じゃねぇな」
「うん、でもスタンザ帝国の皇帝陛下、ローゼリアの王女・・・リィンちゃんと陛下にすっごく迷惑かけたって知らされた時に倒れそうになったみたい」
「そりゃそうだろ、俺らには気さくに接してくれるが他国から見たら陛下は超大国の最高権力者だ、その陛下に迷惑をかけたってなったら恐ろしいだろうな」
「さて、俺の方は準備できたぞ」
「じゃぁ、仮設魔法陣を設置した村に転移するよ・・・ほい転移!」
ぱぁっ!
「ヒャッハー!#$%+@”#)&!!」
「いやぁぁぁ!」
ドシュッ・・・プシャァァ!
「どうなってんだデボネア帝国、また野盗に村が襲われてるぞ」
「あぅ・・・先におしっこ済ませて来て良かったのです・・・してなかったら漏らしてた・・・」
「これで全部か、結構居たな」
「&#%#$&”`@^@!!」
「村の人達は何て言ってるの?」
「・・・また救世主様が来てくれた・・・だそうだ」
「えぇ・・・」
「かなり村が荒らされてるな・・・怪我人も多そうだ」
「そうだね」
「助けないのか?」
「私が?、何で?」
「・・・嬢ちゃんは優しいがそういう所は淡白だな」
「だってキリがないでしょ、この村に怪我人がどれだけ居るの?、この人達全員治療してたら何日かかるか・・・それにコルトのお家からお薬取って来ないと治療できないし、治療費やお薬の代金、この人達は払えないよね、私が手間とお金をかけて大事に育てた薬草だからせめて素材の代金だけでも払える人じゃないと無理」
「そりゃそうだ、もし治療するって言い出したら俺がその言葉をそのまま嬢ちゃんに言う所だった」
「まぁ、可哀想だとは思うけどね、私にはここに居る人達全員を助ける力なんて無いよ、それに男の人多そうだし・・・正直怖い・・・」
「さて、それじゃぁ帝都の跡地に転移するか」
「博士ぇ、今派手に戦ったけど魔力は大丈夫なの?」
「あぁ、大規模攻撃魔法は使わなかったからな、ただ、一人一人殺ってたから時間がかかったが・・・」
「そう・・・今日は転移先、あまりズレないといいな」
「大丈夫だ、この地形から推測すると・・・ここからそれほど離れてない」
「そうなんだ・・・」
「行くぞ・・・転移!」
「ここがデボネア帝国の帝都・・・」
「ヒャッハー!#$%+@”#)&!!」
「いやぁぁぁ!」
ドシュッ・・・プシャァァ!
「ここにも居やがったか!」
「わぁぁん!、もうやだぁ!」
「ひっく・・・ぐすっ・・・」
「泣くな、野盗は全員始末してやっただろ」
「うぅ・・・怖かったの、お腹刺されたの、腕輪が無かったら死んでたの・・・」
「腕輪が無かったら確かにやばかったな、それに攻撃魔法を起動させようとしてただろ」
「うん・・・怖くて何とかしないとって思って・・・あれしか思い付かなかったの・・・でも起動させる直前で博士が助けてくれたから・・・」
「あれはやめてくれ、嬢ちゃんの魔力全部使おうとしてたから止めたんだ、起動させてたら帝都半分が更地になってたぞ、まぁ俺は咄嗟に防御結界張るから無事だろうが・・・」
「え・・・」
「あの魔法陣は衝撃波を放出して目の前の敵を吹き飛ばす奴だろう、嬢ちゃんの流した魔力で受けたら相手が粉になるし、ここから向こうに見える山まで建物も何もかも巻き込んで全部消滅するだろうな」
「わぁ・・・実写版のかめはめ波だ・・・私って、かめはめ波撃てたんだ・・・」
「かめは・・・何だって?、・・・とにかく、嬢ちゃんは実戦の経験不足だ、追い詰められたら何をするか分からん、やばいから注意しておかないとな・・・」
「いや、実戦不足も何も・・・私、平凡な貴族令嬢だから実戦なんてしたくないし、攻撃魔法は危険な目に遭わなきゃ一生使わないと思うよ」
「平凡・・・まぁ・・・嬢ちゃんがそう思ってるのなら何も言わんが・・・俺の方から陛下に説明して気を付けるように言っておこう」
「?」
「意味がわからないって顔してるな・・・俺の方でうまく説明しておくから気にするな、・・・さて、事前に教えてもらった屋敷は・・・向こうだ、行くぞ」
「うん・・・」
「わぁ・・・荒れてるね、それにローゼリアの騎士服を着た騎士様が居る」
「少し前に住民から襲撃を受けたそうだ、間一髪でうちの騎士団長が駆け付けて無事だったようだが、他の貴族の家も同じように被害に遭ってる」
「でもこの家の人達は皇帝と一緒に住民を虐めてなかったんでしょ」
「あぁ、だが住民にしてみれば貴族は全員我々を苦しめた悪、みたいな事になってるから言っても聞く耳を持たない、今は襲撃されたら威嚇してお引き取り願ってるようだ」
「そうなの・・・」
「ちょうどあそこに近衛騎士団長が居る、彼は俺の顔を知ってるから俺達の身分を説明する手間が省けたな・・・行くぞ」
ずぅぅぅん・・・
相変わらず近衛騎士団長さんはラオウに似てるなぁ・・・大きいしすごい筋肉・・・それに背中からゴゴゴゴ・・・って効果音が出てるよ。
「遠い所よく来てくれました、ドックさん、それとリーゼロッテ嬢、何もない所ですが屋敷内の危険は全て排除してあります」
わぁ・・・私達のこと「うぬら」って言いそうな外見だけど礼儀正しいな団長さん・・・。
「転移魔法陣はどこに設置すればいいかな?」
博士が騎士団長さんに尋ねます。
「案内します」
ラオウ・・・じゃなかった団長さんの後について屋敷の中に入った一番奥・・・2階の空き部屋に案内されました、ここに設置すればいいのかな?。
「この部屋の隣には常時騎士達が詰めています、陛下が転移して来られた時は部屋の中と外で警護しますのでご安心下さい、この屋敷と、今後の拠点となる王城に魔法陣を設置して頂きたいのですが、まだ城の方は安全が確保できておりません、あと10日ほどで制圧できますので王城はまた後日お願いします」
「・・・はい」
「今日から騎士の交代要員をローゼリアの騎士団本部から転移させて頂きます、長くここに居る騎士を交代させてやりたいのです、それから物資の補給もありますのでしばらくの間はこことローゼリアとの転移は朝昼、そして夕方の計3回になります」
「・・・はい」
思わずはいって言っちゃったけど・・・私、1日3回もこことローゼリアを往復しなきゃいけないの?、陛下何も言ってなかったよ・・・。
「・・・魔法陣を設置します・・・ほい!・・・終わりました」
「騎士団長さんが呆然としています、聞こえなかったのかな?」
「えと・・・終わりました」
「あ・・・、ありがとうございます、それではここに居る5人の騎士と私をローゼリアの騎士団本部へ転移お願いします」
ぱぁっ!
「うわ眩しっ!」
「・・・ほ・・・本当に騎士団本部だ・・・すげぇな転移魔法」
「一瞬だったな、もう少し景色が歪んだりするのかと思ったぜ」
「これでようやく愛しの婚約者に会える!」
デボネア帝国から転移してきた騎士様はとても嬉しそう、騎士様でもあんな所に長く居ると嫌になるんだろうなぁ、そして今度デボネア帝国に行く騎士様は・・・死んだような目をしているのです・・・。
「あの・・・これも・・・一緒に転移させれば・・・いいのです?」
あぅ・・・博士はまだ向こうの屋敷に居るから騎士様との会話は私がしないといけないのです・・・体の大きな男の人、怖いのです!。
「はい、その箱は食料です、ここの5人と私も一緒に・・・かなりの量ですが大丈夫ですか?」
「・・・はい・・・大丈夫でしゅ」
噛んだのです!。
「・・・ほい、転移!」
そして死んだような目をした騎士様5人と、なぜか嬉しそうに目を輝かせている騎士団長さん、そして大量の食料と一緒に再びデボネア帝国の屋敷に転移しました。
「成功のようだな、これで俺の仕事は終わりだ、嬢ちゃんは毎日転移するの大変だろうが頑張ってくれ」
「私いつまでしなきゃいけないの?」
「そうだな・・・陛下が言うにはここにもう一つのローゼリア王国を建国するらしい、まだ仮の名称らしいがギャラン・ローゼリア王国だ、暴動を制圧して住民や貴族を保護、最初はローゼリアの属国から始めて10年くらいで独立させるみたいだな」
「・・・え・・・私、10年も毎日・・・」
「陛下からは何も聞いてないがそうなるだろうな、早く転移網が完成すればやらなくても良くなるぞ・・・それに日当も出るんじゃないか、嬢ちゃんの働きは金貨1万枚にも匹敵する、なんせ騎士達の移動費用や食料が一切かからないんだからな、1万枚とは言わなくても、最低でも1回10枚として・・・毎日金貨30枚は貰えると思うぞ・・・っていうか貰えなきゃ怒っていい」
「い・・・」
「い?」
「いやぁぁぁ!」
「えぐえぐ・・・やだよぉ、私、1日3回・・・10年も拘束されるの?」
「泣くなよ・・・この魔法陣は見たところ嬢ちゃんしか起動できないようになってるが、少し改造すれば俺や・・・魔法騎士団の連中を集めて膨大な魔力を流せば動くようにできる、確かに嬢ちゃんにしか起動できないとなると不便だ、そのうち俺が改造してやろう」
「本当?・・・」
「俺はもうすぐ魔力が安定するし、この魔法陣があれば転移場所がズレる事は無いから休みたい時は言ってくれれば俺が代わりに転移させてやろう、正直1日3回転移させるだけで金貨30枚ってのは魅力だからな」
「私達騎士団はこの屋敷の2階部分を借りています、今からこの屋敷の持ち主を紹介しますのでこちらへ」
私達は騎士団長さんに連れられてお屋敷の1階・・・居間に入りました、そこには30代後半くらいの夫婦と10代の女の子、そして使用人が2人・・・。
「こちらがユーキ夫妻、それから長女のリーシャ嬢です」
わぁ・・・3人とも奴隷の首輪・・・金属の首輪が嵌って頬に赤い刻印が押されています・・・刻印が痛そう。
ぺこり・・・
私が軽くお辞儀をすると3人も慌ててお辞儀をしました、緊張してるのかな?。
デボネア帝国語で団長さんがご夫妻に何か説明しています、何を言ってるのか分かんないけど、2人が驚いたような顔をして私の方をガン見しています・・・団長さん何を言ったのです?。
「嬢ちゃんはここに転移魔法陣を設置しに来たって紹介してる」
私の疑問を察したのか博士が翻訳してくれました。
「彼らはこの屋敷で金銭と食料、身の安全を報酬に簡単な雑用や騎士達のお世話をして頂いています、屋敷内で見かけると思いますがお気になさらず・・・」
この人達はエテルナ大陸語が話せないそうで、私もデボネア帝国語が分からないからあまり話す事は無さそうなのです。
「さて、帰るか」
「やっとお仕事終わったのです!、あ、私はまだこの後ラングレーの王城に行かなきゃいけないけど」
「陛下を転移させるんだろ、俺も陛下に報告がある、一緒に転移させてくれ」
「うん」
この後、博士と私はデボネア帝国を後にして、ラングレー王国の王城に転移するのですが、突然現れた私ともう一つの膨大な魔力の持ち主・・・博士に驚いて、ようやく仕事復帰したイレイナーさん・・・ラングレーの魔法騎士団長がまた倒れちゃったそうで・・・。
※1日金貨30枚=日当約600万円
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