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Side - 302 - 10 - ごめんなさい -
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Side - 302 - 10 - ごめんなさい -
僕は今、ローゼリア王国、第三の都市、ミニカ郊外にあるスラム街を拠点にしてハンターのお仕事をしています。
味が気に入って何度も通ってるうちに常連になった小汚いお店・・・酒場と食堂が一緒になったような所でこれからお食事です、お腹すいたな・・・。
塗装がほとんど剥げたドアを肩で押し、軋んだ音を立ててお店に入るとみんなの視線が僕に注がれます、相変わらずここのお客さん、ガラ悪そうな人ばっかだなぁ・・・、その視線を無視して元が何の色か分からなくなったテーブルの前まで進み、安定の悪い椅子に座ってマスターの方に顔を向けると・・・。
「いらっしゃい、・・・あぁ、アンジェちゃん、いつものやつかい?」
「こんにちはおじさん、うん、いつものお願い」
「ここ何日か来なかったから心配したよ」
「ごめんごめん、ちょっとハンターの依頼で遠出してたんだぁ」
「そうか、・・・おっと今日はいい肉が入ったんだ、ちょっとだけサービスしちゃおう」
「わぁい、おじさん大好き」
「おい、見ろよ・・・女だ」
「よせ、まだガキだぞ、お前そんな趣味があったのか」
・・・ガキじゃないよ、僕の方が君らより年上だと思うけどね・・・。
「はいお待たせ、ちょっと冷ましてあるよ、それと濡れタオルね」
顔に傷のあるいかついマスターは3回目くらいで僕が黙ってても食べやすいように気を遣ってくれます、お肉も持たなくていいように一口サイズに切ってくれてるんだよ、それもこのお店が気に入ってる理由なの。
「わ、ほんとに美味しそう、いただきまーす」
「なんだあいつ・・・皿に口付けて直接食ってるぞ、動物みたいに」
「あー、アンジェちゃんだね、彼女右腕無いんだよ、それから左腕もほとんど動かない」
「だがハンターなんだろ、あんな身体で依頼を達成できるのかよ」
「彼女の魔法凄いからね、この前金級に上がったって言ってたな」
「マジかよ・・・」
「ふー、美味しかった・・・濡れタオル気持ちいいや・・・おじさん、すっごく美味しかったよ、お金ここ置いておくね」
「あぁ、いつも美味そうに食うし、残さず綺麗に食ってくれるから作り甲斐があるぜ」
まぁお皿に直接口をつけて食べてるから、最後の方はお皿を舐める事になるし、そりゃ綺麗に食べたように見えるよね。
「・・・おい!、銅貨が浮いてるぞ」
「あれも彼女の魔法、手が動かないからポケットから魔力操作してお金を出してる」
「やばいな・・・」
「あの繊細な魔力操作なら手が使えたら魔法騎士団でも通用するんじゃないか」
「よいしょっと・・・、さて、宿に帰って一休みしよっかな」
・・・ローブで身体を隠してるけど、みんなの声が聞こえて来てやっぱり辛いな・・・、食事してたら腕が無いの分かるもんね、お店のマスターは普通通りに接してくれるけど、お客からはジロジロ見られたり、腕が無いのにハンターなんてって・・・笑われたり・・・。
「おい、嬢ちゃん、ちょっといいか」
「・・・何?おじさん」
「おじさんじゃねぇ、まだ俺は若い!」
「・・・じゃぁお兄さん?」
「ちょっとそこの裏まで顔かせ」
「・・・やだ」
「何」
「人目の無いところで僕に何するのさ、・・・まさか・・・いやらしい事?・・・僕腕が動かないから簡単に犯せると思ったんでしょ」
「俺はガキに欲情する趣味はねぇ!」
「じゃぁ何の用なの?」
「聞きたい事がある」
「ここで言えばいいじゃん」
「・・・わかったよ、お前はアンジェリカ・シェルダン、大貴族シェルダン家の令嬢で間違いないな」
ざわ・・・
「わぁぁ!、こんな人がいっぱい居る所でなんて事言うの!、内緒にしてたのにバレたじゃん!」
「俺が人目の無いとこで聞いてやろうとしたらお前がここで聞けって言ったんだろうが!」
「・・・うぅ・・・だってぇ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・ふぇぇ・・・」
「待て!、泣くな!、場所を変えるぞ、ついて来い」
「おいおい、ロリー、お前何で幼女泣かしてんだよ」
裏口から路地に出るともう一人男の人がいました、ローブを深く被ってお顔は見えないけど、鼻から下・・・見えてるところだけで判断すると、このロリーと呼ばれたおじさん・・・じゃなくて、お兄さんよりは若い、そしてイケメンだ。
「レック、誤解だ、俺は何もしてねぇ」
「まぁいい、・・・貴方はアンジェリカ・シェルダン様で間違い無いでしょうか?、私の名前はレック・シエル、それでこのおっさんはロリー・コーン、ハンターの依頼で貴方を探しておりました」
「俺はおっさんじゃねぇ!」
「・・・僕に何の用?、くだらない用事なら怒るよ」
「ある人物からの依頼です、貴方にお会いしたいと希望されています、私達とご一緒してもらっても?」
「嫌だよ、どこの誰かも分からない人になんて気味が悪くて会えない、それに僕に会って何をするのさ、見たところ貴方達も貴族が平民に変装してるように見えるけど・・・僕、貴族の依頼は受けないよ、嫌いだから」
「そうですか、依頼者から名前を明かさないよう言われているのですが、会う事を拒否された場合のみ、手紙を渡すように言われています」
「・・・」
「こちらがそのお手紙です、ローブのポケットに入れてもよろしいですか?・・・では私達はこれで失礼します」
宿に戻って荷物を下ろし、服を脱ぎます、僕の身体にはリゼお姉様の開発した人工皮膚が溶着されていて、昔は5年おきに貼り替えなきゃダメだったけど、今は改良が進んで20年くらいは大丈夫になったの。
さっきのおかしな2人組のくれたお手紙を魔力操作で取り出し机の上に・・・。
「あいつらのせいでこの辺のみんなに僕の素性がバレたじゃん!、ここ居心地よかったのに・・・、本当に意味が分かんない、何がしたかったんだよ・・・依頼とはいえ手紙を渡す為にこんな危険なスラム街まで僕を訪ねて来たっていうの?」
パラ・・・
(アンジェ、久しぶり、許してはもらえないだろうが人生の最後に謝らせて欲しい、本当にごめんなさい、私があの依頼を受けていなければ、私達は友人になれていたかもしれない、そして、田舎に家を買って、2人で若い頃にした冒険の話をしていたかもしれないね、さようなら、ジェニファー・チッチャイコスキー)
「ジェーンさん!、待って!、僕に会いたい人ってジェーンさん?、嘘だ!、あれだけ探したのに!、生きていたの?、バカバカ!、僕のバカ!、何で会うの断ったんだよぉ! 」
僕は思わず宿を飛び出しました、あれから時間が経ってるから、もう2人が居ないのは分かっているのに・・・。
僕は今、ローゼリア王国、第三の都市、ミニカ郊外にあるスラム街を拠点にしてハンターのお仕事をしています。
味が気に入って何度も通ってるうちに常連になった小汚いお店・・・酒場と食堂が一緒になったような所でこれからお食事です、お腹すいたな・・・。
塗装がほとんど剥げたドアを肩で押し、軋んだ音を立ててお店に入るとみんなの視線が僕に注がれます、相変わらずここのお客さん、ガラ悪そうな人ばっかだなぁ・・・、その視線を無視して元が何の色か分からなくなったテーブルの前まで進み、安定の悪い椅子に座ってマスターの方に顔を向けると・・・。
「いらっしゃい、・・・あぁ、アンジェちゃん、いつものやつかい?」
「こんにちはおじさん、うん、いつものお願い」
「ここ何日か来なかったから心配したよ」
「ごめんごめん、ちょっとハンターの依頼で遠出してたんだぁ」
「そうか、・・・おっと今日はいい肉が入ったんだ、ちょっとだけサービスしちゃおう」
「わぁい、おじさん大好き」
「おい、見ろよ・・・女だ」
「よせ、まだガキだぞ、お前そんな趣味があったのか」
・・・ガキじゃないよ、僕の方が君らより年上だと思うけどね・・・。
「はいお待たせ、ちょっと冷ましてあるよ、それと濡れタオルね」
顔に傷のあるいかついマスターは3回目くらいで僕が黙ってても食べやすいように気を遣ってくれます、お肉も持たなくていいように一口サイズに切ってくれてるんだよ、それもこのお店が気に入ってる理由なの。
「わ、ほんとに美味しそう、いただきまーす」
「なんだあいつ・・・皿に口付けて直接食ってるぞ、動物みたいに」
「あー、アンジェちゃんだね、彼女右腕無いんだよ、それから左腕もほとんど動かない」
「だがハンターなんだろ、あんな身体で依頼を達成できるのかよ」
「彼女の魔法凄いからね、この前金級に上がったって言ってたな」
「マジかよ・・・」
「ふー、美味しかった・・・濡れタオル気持ちいいや・・・おじさん、すっごく美味しかったよ、お金ここ置いておくね」
「あぁ、いつも美味そうに食うし、残さず綺麗に食ってくれるから作り甲斐があるぜ」
まぁお皿に直接口をつけて食べてるから、最後の方はお皿を舐める事になるし、そりゃ綺麗に食べたように見えるよね。
「・・・おい!、銅貨が浮いてるぞ」
「あれも彼女の魔法、手が動かないからポケットから魔力操作してお金を出してる」
「やばいな・・・」
「あの繊細な魔力操作なら手が使えたら魔法騎士団でも通用するんじゃないか」
「よいしょっと・・・、さて、宿に帰って一休みしよっかな」
・・・ローブで身体を隠してるけど、みんなの声が聞こえて来てやっぱり辛いな・・・、食事してたら腕が無いの分かるもんね、お店のマスターは普通通りに接してくれるけど、お客からはジロジロ見られたり、腕が無いのにハンターなんてって・・・笑われたり・・・。
「おい、嬢ちゃん、ちょっといいか」
「・・・何?おじさん」
「おじさんじゃねぇ、まだ俺は若い!」
「・・・じゃぁお兄さん?」
「ちょっとそこの裏まで顔かせ」
「・・・やだ」
「何」
「人目の無いところで僕に何するのさ、・・・まさか・・・いやらしい事?・・・僕腕が動かないから簡単に犯せると思ったんでしょ」
「俺はガキに欲情する趣味はねぇ!」
「じゃぁ何の用なの?」
「聞きたい事がある」
「ここで言えばいいじゃん」
「・・・わかったよ、お前はアンジェリカ・シェルダン、大貴族シェルダン家の令嬢で間違いないな」
ざわ・・・
「わぁぁ!、こんな人がいっぱい居る所でなんて事言うの!、内緒にしてたのにバレたじゃん!」
「俺が人目の無いとこで聞いてやろうとしたらお前がここで聞けって言ったんだろうが!」
「・・・うぅ・・・だってぇ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・ふぇぇ・・・」
「待て!、泣くな!、場所を変えるぞ、ついて来い」
「おいおい、ロリー、お前何で幼女泣かしてんだよ」
裏口から路地に出るともう一人男の人がいました、ローブを深く被ってお顔は見えないけど、鼻から下・・・見えてるところだけで判断すると、このロリーと呼ばれたおじさん・・・じゃなくて、お兄さんよりは若い、そしてイケメンだ。
「レック、誤解だ、俺は何もしてねぇ」
「まぁいい、・・・貴方はアンジェリカ・シェルダン様で間違い無いでしょうか?、私の名前はレック・シエル、それでこのおっさんはロリー・コーン、ハンターの依頼で貴方を探しておりました」
「俺はおっさんじゃねぇ!」
「・・・僕に何の用?、くだらない用事なら怒るよ」
「ある人物からの依頼です、貴方にお会いしたいと希望されています、私達とご一緒してもらっても?」
「嫌だよ、どこの誰かも分からない人になんて気味が悪くて会えない、それに僕に会って何をするのさ、見たところ貴方達も貴族が平民に変装してるように見えるけど・・・僕、貴族の依頼は受けないよ、嫌いだから」
「そうですか、依頼者から名前を明かさないよう言われているのですが、会う事を拒否された場合のみ、手紙を渡すように言われています」
「・・・」
「こちらがそのお手紙です、ローブのポケットに入れてもよろしいですか?・・・では私達はこれで失礼します」
宿に戻って荷物を下ろし、服を脱ぎます、僕の身体にはリゼお姉様の開発した人工皮膚が溶着されていて、昔は5年おきに貼り替えなきゃダメだったけど、今は改良が進んで20年くらいは大丈夫になったの。
さっきのおかしな2人組のくれたお手紙を魔力操作で取り出し机の上に・・・。
「あいつらのせいでこの辺のみんなに僕の素性がバレたじゃん!、ここ居心地よかったのに・・・、本当に意味が分かんない、何がしたかったんだよ・・・依頼とはいえ手紙を渡す為にこんな危険なスラム街まで僕を訪ねて来たっていうの?」
パラ・・・
(アンジェ、久しぶり、許してはもらえないだろうが人生の最後に謝らせて欲しい、本当にごめんなさい、私があの依頼を受けていなければ、私達は友人になれていたかもしれない、そして、田舎に家を買って、2人で若い頃にした冒険の話をしていたかもしれないね、さようなら、ジェニファー・チッチャイコスキー)
「ジェーンさん!、待って!、僕に会いたい人ってジェーンさん?、嘘だ!、あれだけ探したのに!、生きていたの?、バカバカ!、僕のバカ!、何で会うの断ったんだよぉ! 」
僕は思わず宿を飛び出しました、あれから時間が経ってるから、もう2人が居ないのは分かっているのに・・・。
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