〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜

柚亜紫翼

文字の大きさ
上 下
122 / 223

Side - 15 - 64 - ごす -

しおりを挟む
Side - 15 - 64 - ごす -


「フフフーン・・・フフーン・・・」

「お、コナンザくん、それストーンズの曲だな」

夕食の時にコナンザが鼻歌を歌ってたらお母さんが反応したのです、ちなみに今日はコナンザの歓迎会として、お父さんが買ってきたステーキと骨付鳥、それからポテトサラダにスパゲティ、とっても油ギッシュで高カロリーなのです!。

「そうなの?、お昼にお爺ちゃんのジャズ喫茶で流れてたやつだ、コナンザってこんな感じの曲好きなのか・・・知らなかった」

「今度親父に頼んで店の2階にあるレコードコレクション見せてもらいな、凄いから、あの店は元々木造だったが2階のレコードの重さで床が抜けそうになってな、後で鉄骨で補強したんだ」

「お母さん、あの魔窟にコナンザを入れろと・・・それで語り出したら止まらないお爺ちゃんのロック魂にに火をつけろと・・・ダメなのです!、コナンザの心にまた傷が!、コナンザもそこで興味ありそうな顔しないで欲しいのです!」

「お、コナンザくん興味あるのかぁ、これは教育のし甲斐があるな!」

「お母さん、コナンザはシェルダン家の大事な跡取りなんだから、変な事教えないでね、13歳っていう多感な時期だし」

「大丈夫だよ!、ロックは国境を越えるんだ、異世界の壁も余裕で越えるだろ」

何の根拠もない事を言い出したのです、お爺ちゃんといい、この父娘は音楽の話になると止まらないのです。

「じゃぁまずは私のCDコレクションをだな・・・」

「待って!、私も一緒に行って監視する、変なことは教えないで欲しいの、向こうの両親が温室栽培みたいにして大切に育てた箱入り息子なんだからとっても心が繊細なの」

「分かってるよ、私もいい大人なんだからその辺の配慮はするよ」

「本当に困るの、自分の息子が急に「ベイベェ・フ⚪︎ックユー!」なんて中指立てたら向こうのお母様が泣くから!」

「・・・アニメソングには興味ござらんか・・・」

お父さんがとても寂しそうにしているのです、後で私がアニメを一緒に見てあげるのです。




「あぁぁぁ・・・・お姉ぢゃん!・・・ぐすっ・・・えぐえぐ・・・」

今コナンザは涙と鼻水を垂らして私のぺったんこな胸に顔を埋めて泣いているのです。

「いやぁすまん、これくらいなら大丈夫だと思ったんだが・・・」

お母さんのお部屋の大画面TVに映ってるのはマリリン・マンソン、曲は「The Beautiful People」そのMVが怖いと言ってコナンザが泣き出したのです・・・コナンザ、これくらいで泣いちゃダメなのです、生きてるともっと辛いことがいっぱいあるのです・・・。

「だが、ラットやボン・ジョヴィは喜んで聴いてたな・・・なるほど・・・じゃぁ次はアレがいいかもな」

「いや今日のところはこれくらいにするの、これ以上続けたらまたコナンザの心に傷が増えるの!」

「そうかぁ・・・残念」

「そういえばお母さん、アメリカのメタルの人って何で歳を取ったらカントリーやサザンロックをやり始めるのです?」

「理世・・・それ以上いけない」

「あ、はい・・・」

「ところでコナンザくんはどれが気に入ったんだ」

私はお母さんに通訳します。

「これと、これと・・・それからこれなのです、・・・あ、これも好きかもって言ってるのです」

「ボン・ジョヴィとホワイトスネイク、グレイト・ホワイトか・・・それからエアロスミス、少しブルージーな要素が入ってるのが好みと見たぞ、逆にハロウィンやブラインド・ガーディアンみたいなコテコテのジャーマンメタルは苦手なのかぁ、残念だ・・・リアルで剣と魔法の世界に生きてるのに謎だな」

「お母さん、私も本物のドラゴンやワイバーンが出るような世界に住んでるけど、日本に来てまでドラゴンの話は聞きたくないのです」

「そんなもんか?」

「そんなものなのです!」




「メタルじゃないけどこんなのはどうかな」

「え・・・」

「$&”+@=>ω<**!!?」

コナンザがすっごい食い付いたのです!、心に刺さったのかな、まずい!、これはダメなのです!。

「おっ、こういうの好きかぁ(ニヤリ)」

「ゴシック・ロック・・・」

そうなのです、無垢な子供を厨二病にする癖の強い音楽・・・ゴシック・ロック・・・通称ゴス!。

清楚で真面目な子だったのに急にフリル付きの黒い服を着て、目の周りを真っ黒に・・・黒いリップ、死体みたいなメイク、ピアス、タトゥー・・・私の可愛いコナンザが!ゴスロリに!。

「わー、お母さんダメ!、これは教育に悪いの!、コナンザが「ククク・・・我は闇の帝王」なんて言い出したらどうするの!」

「すまん、手遅れだと思う」

「え・・・」

コナンザの方を見ると、黒いフリル付きの衣装を着て踊る金髪女性をキラキラした目で見てるのです。

「いやぁぁぁ!、コナンザ戻ってきて!」

お人形みたいに整った顔に綺麗な銀髪だからそりゃコナンザもゴスロリな衣装似合うだろうなって思うけど・・・、私のお部屋にあるビジュアル系の雑誌も隠さなきゃ、あれもゴスっぽいバンドいるからハマると大惨事になるの・・・。




「明日はお爺ちゃんのところで音楽聴かせてもらうんでしょ、もう寝よう」

あれからコナンザはゴシック・ロックにハマり、BouTubeで曲を聴き漁っています。

バウハウス、シスターズ・オヴ・マーシー、ミッション・・・それからお母さんが勧めて来たゴシックメタルのバンド達・・・パラダイス・ロストが特に気に入ったみたい・・・私にはよく分かんないけど・・・。

「お姉ちゃん、音楽聴くの楽しい!」

「そっか・・・それで辛いこと忘れてくれるならまぁいいかな、向こうのお屋敷にいよいよ電気を通さないといけないかなぁ・・・ソーラーパネル・・・あれ見栄え悪いからレトロなうちのお屋敷に合わないんだよ・・・どうしよう」




「じゃぁ電気消すね」

「お姉ちゃん・・・今日もぎゅってして・・・」

ぎゅー

「これでいい?」

「うん、こうしてもらうとね・・・怖い夢見ないの・・・それにお姉ちゃん良い匂い」

「そっか・・・」

「・・・お姉ちゃん、昨日の明け方、痛そうにしてたけど・・・傷が痛むの?」

「見られてたんだ・・・、うん・・・でも大丈夫だよ」

「僕が大きくなったら・・・絶対お姉ちゃんを守るから・・・」

「ふふ・・・期待してるよ、それならまずは泣き虫なのを何とかしないとね」

「むぅ・・・昔よりは泣かなくなったもん・・・」




「スー・・・スー・・・」

「リィンちゃんと違って寝付きも寝相もいいなこの子、ずっと同じ姿勢だ・・・よく見たらまつ毛長いし、本当に美少年だ・・・って私も同じ顔だけどね、傷あるし目つきは悪いけど・・・」

「・・・んぅ・・・キティちゃん・・・ぐすっ・・・」

「・・・もう処刑されたんじゃないかな・・・可哀想な気もするけど、私はコナンザに刃物を向けた事、まだ許せそうにないよ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〜マリアンヌさんは凶悪令息のお気に入り〜

柚亜紫翼
恋愛
裕福な貴族令嬢マリアンヌ・ボッチさんはお裁縫が趣味の16歳。 上級貴族の令息と政略によって半ば強制的に婚約者にさせられていました、見た目麗しい婚約者様だけど性格がとても悪く、いつも泣かされています。 本当はこんな奴と結婚なんて嫌だけど、相手は権力のある上級貴族、断れない・・・。 マリアンヌさんを溺愛する家族は婚約を解消させようと頑張るのですが・・・お金目当ての相手のお家は簡単に婚約を破棄してくれません。 憂鬱な毎日を送るマリアンヌさんの前に凶悪なお顔の男性が現れて・・・。 投稿中の 〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜 https://www.alphapolis.co.jp/novel/652357507/282796475 に登場するリーゼロッテさんのお母様、マリアンヌさんの過去話です。 本編にも同じお話を掲載しますが独立したお話として楽しんでもらえると嬉しいです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

処理中です...