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Side - 15 - 60 - どうかわたしのねがいを・・・ -(挿絵あり)
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Side - 15 - 60 - どうかわたしのねがいを・・・ -
コンコン・・・ガチャ・・・
「失礼します」
「・・・何?」
「お部屋の移動をお願いします、収容される人数が多く、3人部屋となります、ご準備を」
「・・・そう」
ここに来て5日目の夜の出来事・・・、罪人の私は死を迎えるその日まで一人静かに生活することすら許されないようです。
「こちらです、お入りください」
「・・・」
バタン・・・ガチャ・・・
「ごきげんよう」
「・・・ごきげんよう、アターシャー様」
最悪ですね・・・よりにもよって事件の首謀者の娘と相部屋・・・。
「あまりにも人数が多過ぎて閉じ込めておく塔のお部屋が満員なんですって、相部屋にしても足りないから下級貴族は平民が入るような暗くて汚い地下牢に入れられてるみたいね」
「・・・」
「そんなところで立ってないで座りなさいな」
ベッドに優雅に座るアターシャー様、その奥のベッドには女の子が一人、隅っこで膝を抱えて泣いています。
「失礼します、・・・あちらは?」
「私たちの同居人、両親が捕まって、事件に関わっているかどうか分からないから瞳水晶を使って真偽を確かめてもらえるそうよ、それで関わってないと分かれば釈放、良いよね、私たちは死刑確定なのに、でも釈放されないほうが幸せかもね、両親は死刑、お家も無くなって貴族令嬢がどうやって生きて行くのかな、王都の路地裏で男に身体でも売るの?」
「い・・・いやぁ・・・嫌だ!・・・わぁぁぁん!」
「酷い人・・・それに死刑確定かどうかは・・・まだ分からない」
「あはは、あなた自分が死なずに済むと思ってるの?、シェルダン家に潜入して・・・集めた情報をドワルスキー家に売った主犯なのに」
「うるさい・・・」
「仲の良かった婚約者様は、あなたが裏切っていたと知ってどうだった?、見た感じ気弱で頼りなさそうだったから泣き崩れた?、それとも怒った?」
「うるさい黙れ、コナンザ様を侮辱するな!」
「あなた達仲良さそうだったし、捕まった時、家族に脅されて無理にやらされた、私も被害者なの!・・・って訴えていたら罪は軽くなったかもね、上手くやれば婚約者様のお家で保護してくれて、予定通り結婚できたかも、でもそうしなかったのは何故?」
「そんな嘘、瞳水晶を使われたらすぐに分かるわ」
「お人好しの貴族家、優しい婚約者、しかもそのお家は筆頭貴族で当主様は陛下の親友、小娘一人の罪を揉み消す・・・法を捻じ曲げる事なんて簡単に出来るのに・・・それを利用しないなんて勿体無いなぁ、馬鹿じゃないの」
「・・・っ!」
「あなたがもっと上手くやっていれば・・・真面目で優しい旦那様、王都の一等地に聳える大豪邸、一生かかっても使いきれない資産、全部手に入れる事ができたかもしれない」
「・・・やめて」
「・・・頑張って哀れな令嬢のフリをして、婚約者様を懐柔すれば・・・あなたは筆頭貴族家の若奥様になれたのに、あともう少し欲を出して手を伸ばせば、幸せな人生を掴めたのに・・・あぁ勿体無い」
ダメ!、この人の言う事を聞いてはいけない、こいつは本物のクズだ、人を苦しめて楽しんでる・・・。
「ふふっ・・・、今あなたは一瞬「しまった、そんな手があったのか」って顔をしたね、分かるよ、惜しいもんね、お金と権力・・・それに優しい旦那様」
嘘、顔に出ちゃってた?、確かに・・・そんな方法が!、って思ったけど・・・いやダメだ!、コナンザ様をこれ以上傷付けちゃいけない、私は・・・このまま罪を償って死刑になれば良いんだ!。
「そんなに睨まないでよ、私だって人生の終わりに敵なんて作りたくない、だからあなたのお話を聞かせて欲しい、今捕まってこの塔に入れられてる誰よりもあなたは有利な立場にいるんだよ、一番無罪になれる可能性が高い立場・・・だから悪知恵では誰にも負けない私が話を聞いてあげようって言ってるの」
「・・・」
「あなたこのまま毒を飲んで死んでもいいの?、毒とは限らないなぁ、断頭台で首を斬られたり・・・首に縄をかけて吊るされるかも、あれすっごく苦しいらしいよ」
「・・・」
「まだ若いのに、これから楽しい事いっぱい出来るのに・・・あなたが悪いんじゃない、お金に目が眩んで悪い事をさせたあなたの実家が・・・ご両親が悪いの、・・・まぁ元を辿ると私の実家が一番悪いんだけどね、罪滅ぼし・・・になるかどうか分かんないけど私が話を聞いてあげるよ、決して悪いようにはしないから」
「私は・・・」
「・・・という訳」
「ははは、・・・いや笑ってごめん、あなた婚約者様に「惚れたフリ」をしてたんじゃなくて本気で惚れてたのね、どおりで・・・夜会なんかで2人でイチャイチャしてるの見たことあるけど演技臭く見えなかったわけだわ、それで、婚約者様や親切なあのお家の人達を悲しませたくなかったから自分が悪役になった・・・って事ね、泣けるわ・・・」
「・・・」
「それならそうと正直に言えば良いのに・・・、家からの命令と愛の間で揺れる心・・・演劇の題材になりそうね」
「・・・」
「あなたは家の命令で婚約者様と仲良くなってシェルダン家の情報を売った、これは実行した貴方の罪だね、言い逃れが出来ない、でも本気で婚約者様を愛してしまった、自分が罪人として死刑になると婚約者様が悲しむ、でも悲しませたくないからあえて悪態をついて自分が死んでも悲しませないように仕向けた・・・これは同情の余地がある、これだけで先の罪が軽くなるか、運が良ければ不問になるかもしれない」
「そんなに甘くないでしょ・・・」
「だって元々あなたは国を潰そうとした訳じゃない、家から理不尽な命令をされて仕方なく従っただけ、当主の命令は絶対だからね、今の話に嘘が無いなら瞳水晶を逆に利用しなさい、その話が本当だと証明できれば、あなたは釈放・・・されるかもね」
「・・・ほ・・・本当に?、でも私はこの部屋から出られないよ・・・どうすれば・・・」
「ふふっ・・・、話に乗ってきたね、シェルダンの当主に面会を求めるんだよ、そこで全部話すの、婚約の話はもちろん無しでいいから命だけは助けてほしい、悪態をついたのは優しい婚約者を悲しませたくなかったからで本心じゃない、嘘だと思うなら瞳水晶を使って話してもいい、捕まって死が目前に迫ったら怖くなった、私は死にたくない・・・そう泣きながら訴えるんだ」
「・・・」
「優しいと評判の当主様だ、運が良ければそれで釈放だね、命が助かればほぼ勝ちだ、あとは婚約者様に近付いて懐柔すればいい」
・・・本当に出来るかな、もし・・・もし上手くいって、コナンザ様が許してくれたら、また元のように笑ってくれるかな、一度は捨てたコナンザ様との幸せな人生・・・私・・・どうしても諦められないよ・・・。
「・・・うん、わかった、やってみる」
「まぁ、せいぜい頑張りなさい」
(・・・フフッ、単純なこいつは知らないだろうが、今回の事で王様は怒り狂ってる、主犯格の家族やその関係者だけは絶対に許さない、ほとんど死刑が確定してるんだよ、だから私とあなたは面会も許可されないし、刑の執行も絶対に覆らない、夢と希望を与えて、それが砕けた時に・・・あなたはどんな顔を見せてくれるのかな、いい暇つぶしになるわ)
「・・・ちゃん」
「・・・」
「キティちゃん、眠っちゃったの」
「んぅ・・・あれ、コナンザ様・・・」
「もしかして疲れてるのかな、お茶の途中でぼんやりしてた」
「うん、疲れたよ、すっごく疲れたの・・・だから少しだけ・・・」
「キティちゃんいつも元気なのに、何か心配事でもあるの?、僕じゃ頼りないかもだけど、聞かせてくれる?」
・・・これは夢だ、昔の夢・・・だってまだコナンザ様が幼い・・・私が一番幸せだった頃の夢・・・。
「このお庭はね、庭師のおじさんに言って、キティちゃんが好きな色・・・赤い薔薇を沢山植えて貰ったんだよ、時期が来たら綺麗に咲くと思う、その時はまたここで一緒にお茶会をしよう」
「キティちゃん、ほら、私がデザインしたお洋服、素敵でしょ、この色はキティちゃんにとっても似合うと思うの、どうかな?」
コナンザ様のお母様・・・マリアンヌ様・・・いつも私に優しくしてくれて、お洋服いっぱい作ってくれたっけ。
「ねぇ、キティちゃん、気が早いかもしれないけど、私の事はお義母様って呼んでくれると嬉しいな、息子のお嫁さんにそう呼ばれるのが夢だったの、キティちゃん可愛いから私とっても嬉しくて」
「おや、ハロキティちゃん、遊びに来てたんだね・・・ところで私の顔は怖くないかい?、そうか、ははは、この家の未来のお嫁さんは見どころがあるね、みんな私の顔を見て怖がるんだよ、コナンザは頼りないかもしれないが、よろしくね」
コナンザ様のお父様、アーノルド様、全然怖くなかった、冷たい目で何を考えてるか分からない私のお父様よりずっと優しくて・・・。
「・・・」
「こんにちは」
「・・・これ、あげる」
コナンザ様のお姉様、リーゼロッテ様・・・無口で最初は怖かったけど、私が転んで泣いている時に手当てをしてくれた、かわいい瓶に入った手作りの香水もくれたの・・・。
この優しくて温かい人達と一緒なら私みたいな人間でも幸せな人生を送れるのかな・・・そう夢見てた、だけど私は裏切っていた、ずっと前から、・・・でもまだ取り戻せるかもしれない、絶対絶対・・・諦めたくない!、お金や権力が欲しいんじゃないの、この人達と家族になりたいの・・・、もし神様がいるのなら、どうか私の願いを・・・。
「んぅ・・・朝?」
お家と比べたら粗末なベッド、1日に2回届けられる質素な食事、お風呂は無くて体を拭くお水とタオルが毎日渡される、この生活にもようやく慣れたかな・・・私がこのお部屋に来てから6日が経ちました。
一昨日、騎士様に連れて行かれた同室の名前も知らない子は戻って来ない。
あの事件で大騒ぎになっている筈の王都や王城の情報も全く入って来ない、お父様達がどうなったかも・・・多分処刑されるのだろうけど・・・。
アターシャー様はあれから私に何も話しかけて来ない、ずっと鉄格子の入った窓の外を眺めてる、私はお食事を運んで来る騎士様に何度も面会をお願いしているのに何も返事が無い・・・。
「コナンザ様・・・会いたいよぅ・・・」
ハロキティ・リラックーマァさん(普段着)
ハロキティ・リラックーマァさん(ドレス)
コンコン・・・ガチャ・・・
「失礼します」
「・・・何?」
「お部屋の移動をお願いします、収容される人数が多く、3人部屋となります、ご準備を」
「・・・そう」
ここに来て5日目の夜の出来事・・・、罪人の私は死を迎えるその日まで一人静かに生活することすら許されないようです。
「こちらです、お入りください」
「・・・」
バタン・・・ガチャ・・・
「ごきげんよう」
「・・・ごきげんよう、アターシャー様」
最悪ですね・・・よりにもよって事件の首謀者の娘と相部屋・・・。
「あまりにも人数が多過ぎて閉じ込めておく塔のお部屋が満員なんですって、相部屋にしても足りないから下級貴族は平民が入るような暗くて汚い地下牢に入れられてるみたいね」
「・・・」
「そんなところで立ってないで座りなさいな」
ベッドに優雅に座るアターシャー様、その奥のベッドには女の子が一人、隅っこで膝を抱えて泣いています。
「失礼します、・・・あちらは?」
「私たちの同居人、両親が捕まって、事件に関わっているかどうか分からないから瞳水晶を使って真偽を確かめてもらえるそうよ、それで関わってないと分かれば釈放、良いよね、私たちは死刑確定なのに、でも釈放されないほうが幸せかもね、両親は死刑、お家も無くなって貴族令嬢がどうやって生きて行くのかな、王都の路地裏で男に身体でも売るの?」
「い・・・いやぁ・・・嫌だ!・・・わぁぁぁん!」
「酷い人・・・それに死刑確定かどうかは・・・まだ分からない」
「あはは、あなた自分が死なずに済むと思ってるの?、シェルダン家に潜入して・・・集めた情報をドワルスキー家に売った主犯なのに」
「うるさい・・・」
「仲の良かった婚約者様は、あなたが裏切っていたと知ってどうだった?、見た感じ気弱で頼りなさそうだったから泣き崩れた?、それとも怒った?」
「うるさい黙れ、コナンザ様を侮辱するな!」
「あなた達仲良さそうだったし、捕まった時、家族に脅されて無理にやらされた、私も被害者なの!・・・って訴えていたら罪は軽くなったかもね、上手くやれば婚約者様のお家で保護してくれて、予定通り結婚できたかも、でもそうしなかったのは何故?」
「そんな嘘、瞳水晶を使われたらすぐに分かるわ」
「お人好しの貴族家、優しい婚約者、しかもそのお家は筆頭貴族で当主様は陛下の親友、小娘一人の罪を揉み消す・・・法を捻じ曲げる事なんて簡単に出来るのに・・・それを利用しないなんて勿体無いなぁ、馬鹿じゃないの」
「・・・っ!」
「あなたがもっと上手くやっていれば・・・真面目で優しい旦那様、王都の一等地に聳える大豪邸、一生かかっても使いきれない資産、全部手に入れる事ができたかもしれない」
「・・・やめて」
「・・・頑張って哀れな令嬢のフリをして、婚約者様を懐柔すれば・・・あなたは筆頭貴族家の若奥様になれたのに、あともう少し欲を出して手を伸ばせば、幸せな人生を掴めたのに・・・あぁ勿体無い」
ダメ!、この人の言う事を聞いてはいけない、こいつは本物のクズだ、人を苦しめて楽しんでる・・・。
「ふふっ・・・、今あなたは一瞬「しまった、そんな手があったのか」って顔をしたね、分かるよ、惜しいもんね、お金と権力・・・それに優しい旦那様」
嘘、顔に出ちゃってた?、確かに・・・そんな方法が!、って思ったけど・・・いやダメだ!、コナンザ様をこれ以上傷付けちゃいけない、私は・・・このまま罪を償って死刑になれば良いんだ!。
「そんなに睨まないでよ、私だって人生の終わりに敵なんて作りたくない、だからあなたのお話を聞かせて欲しい、今捕まってこの塔に入れられてる誰よりもあなたは有利な立場にいるんだよ、一番無罪になれる可能性が高い立場・・・だから悪知恵では誰にも負けない私が話を聞いてあげようって言ってるの」
「・・・」
「あなたこのまま毒を飲んで死んでもいいの?、毒とは限らないなぁ、断頭台で首を斬られたり・・・首に縄をかけて吊るされるかも、あれすっごく苦しいらしいよ」
「・・・」
「まだ若いのに、これから楽しい事いっぱい出来るのに・・・あなたが悪いんじゃない、お金に目が眩んで悪い事をさせたあなたの実家が・・・ご両親が悪いの、・・・まぁ元を辿ると私の実家が一番悪いんだけどね、罪滅ぼし・・・になるかどうか分かんないけど私が話を聞いてあげるよ、決して悪いようにはしないから」
「私は・・・」
「・・・という訳」
「ははは、・・・いや笑ってごめん、あなた婚約者様に「惚れたフリ」をしてたんじゃなくて本気で惚れてたのね、どおりで・・・夜会なんかで2人でイチャイチャしてるの見たことあるけど演技臭く見えなかったわけだわ、それで、婚約者様や親切なあのお家の人達を悲しませたくなかったから自分が悪役になった・・・って事ね、泣けるわ・・・」
「・・・」
「それならそうと正直に言えば良いのに・・・、家からの命令と愛の間で揺れる心・・・演劇の題材になりそうね」
「・・・」
「あなたは家の命令で婚約者様と仲良くなってシェルダン家の情報を売った、これは実行した貴方の罪だね、言い逃れが出来ない、でも本気で婚約者様を愛してしまった、自分が罪人として死刑になると婚約者様が悲しむ、でも悲しませたくないからあえて悪態をついて自分が死んでも悲しませないように仕向けた・・・これは同情の余地がある、これだけで先の罪が軽くなるか、運が良ければ不問になるかもしれない」
「そんなに甘くないでしょ・・・」
「だって元々あなたは国を潰そうとした訳じゃない、家から理不尽な命令をされて仕方なく従っただけ、当主の命令は絶対だからね、今の話に嘘が無いなら瞳水晶を逆に利用しなさい、その話が本当だと証明できれば、あなたは釈放・・・されるかもね」
「・・・ほ・・・本当に?、でも私はこの部屋から出られないよ・・・どうすれば・・・」
「ふふっ・・・、話に乗ってきたね、シェルダンの当主に面会を求めるんだよ、そこで全部話すの、婚約の話はもちろん無しでいいから命だけは助けてほしい、悪態をついたのは優しい婚約者を悲しませたくなかったからで本心じゃない、嘘だと思うなら瞳水晶を使って話してもいい、捕まって死が目前に迫ったら怖くなった、私は死にたくない・・・そう泣きながら訴えるんだ」
「・・・」
「優しいと評判の当主様だ、運が良ければそれで釈放だね、命が助かればほぼ勝ちだ、あとは婚約者様に近付いて懐柔すればいい」
・・・本当に出来るかな、もし・・・もし上手くいって、コナンザ様が許してくれたら、また元のように笑ってくれるかな、一度は捨てたコナンザ様との幸せな人生・・・私・・・どうしても諦められないよ・・・。
「・・・うん、わかった、やってみる」
「まぁ、せいぜい頑張りなさい」
(・・・フフッ、単純なこいつは知らないだろうが、今回の事で王様は怒り狂ってる、主犯格の家族やその関係者だけは絶対に許さない、ほとんど死刑が確定してるんだよ、だから私とあなたは面会も許可されないし、刑の執行も絶対に覆らない、夢と希望を与えて、それが砕けた時に・・・あなたはどんな顔を見せてくれるのかな、いい暇つぶしになるわ)
「・・・ちゃん」
「・・・」
「キティちゃん、眠っちゃったの」
「んぅ・・・あれ、コナンザ様・・・」
「もしかして疲れてるのかな、お茶の途中でぼんやりしてた」
「うん、疲れたよ、すっごく疲れたの・・・だから少しだけ・・・」
「キティちゃんいつも元気なのに、何か心配事でもあるの?、僕じゃ頼りないかもだけど、聞かせてくれる?」
・・・これは夢だ、昔の夢・・・だってまだコナンザ様が幼い・・・私が一番幸せだった頃の夢・・・。
「このお庭はね、庭師のおじさんに言って、キティちゃんが好きな色・・・赤い薔薇を沢山植えて貰ったんだよ、時期が来たら綺麗に咲くと思う、その時はまたここで一緒にお茶会をしよう」
「キティちゃん、ほら、私がデザインしたお洋服、素敵でしょ、この色はキティちゃんにとっても似合うと思うの、どうかな?」
コナンザ様のお母様・・・マリアンヌ様・・・いつも私に優しくしてくれて、お洋服いっぱい作ってくれたっけ。
「ねぇ、キティちゃん、気が早いかもしれないけど、私の事はお義母様って呼んでくれると嬉しいな、息子のお嫁さんにそう呼ばれるのが夢だったの、キティちゃん可愛いから私とっても嬉しくて」
「おや、ハロキティちゃん、遊びに来てたんだね・・・ところで私の顔は怖くないかい?、そうか、ははは、この家の未来のお嫁さんは見どころがあるね、みんな私の顔を見て怖がるんだよ、コナンザは頼りないかもしれないが、よろしくね」
コナンザ様のお父様、アーノルド様、全然怖くなかった、冷たい目で何を考えてるか分からない私のお父様よりずっと優しくて・・・。
「・・・」
「こんにちは」
「・・・これ、あげる」
コナンザ様のお姉様、リーゼロッテ様・・・無口で最初は怖かったけど、私が転んで泣いている時に手当てをしてくれた、かわいい瓶に入った手作りの香水もくれたの・・・。
この優しくて温かい人達と一緒なら私みたいな人間でも幸せな人生を送れるのかな・・・そう夢見てた、だけど私は裏切っていた、ずっと前から、・・・でもまだ取り戻せるかもしれない、絶対絶対・・・諦めたくない!、お金や権力が欲しいんじゃないの、この人達と家族になりたいの・・・、もし神様がいるのなら、どうか私の願いを・・・。
「んぅ・・・朝?」
お家と比べたら粗末なベッド、1日に2回届けられる質素な食事、お風呂は無くて体を拭くお水とタオルが毎日渡される、この生活にもようやく慣れたかな・・・私がこのお部屋に来てから6日が経ちました。
一昨日、騎士様に連れて行かれた同室の名前も知らない子は戻って来ない。
あの事件で大騒ぎになっている筈の王都や王城の情報も全く入って来ない、お父様達がどうなったかも・・・多分処刑されるのだろうけど・・・。
アターシャー様はあれから私に何も話しかけて来ない、ずっと鉄格子の入った窓の外を眺めてる、私はお食事を運んで来る騎士様に何度も面会をお願いしているのに何も返事が無い・・・。
「コナンザ様・・・会いたいよぅ・・・」
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