上 下
101 / 208

Side - 15 - 45 - ゆくえふめい? -

しおりを挟む
Side - 15 - 45 - ゆくえふめい? -


「どうなっている」

「・・・はっ、第一王女殿下と3日ほど旅行に行ったとの情報は掴んでおりました、その後、王女殿下は戻られておりますが、リーゼロッテ・シェルダンの行方は依然不明です」

「腕輪は付けているんだな」

「はい、彼女が腕に装着しているのを目撃した人物が多数おります」

「手紙は渡したのか」

「旅行に出る前、王城にて国王陛下に謁見する為に控室で待機しているのを確認しましたので、こちらの手のメイドを通じて直接渡しております」

「ならなぜ行方が分からなくなった、あの手紙を読めば間違いなくこちらに付く筈!、シェルダン家が隠しているのでは?、我が勢力の総力を持って調べたが隠れている場所も旅行先も掴めなかった・・・くそっ、分かってはいたが彼女の転移魔法は厄介だな」

「シェルダン家当主によると、娘は手紙を残して失踪した、身を隠していた場所にも居ない、彼女は空間転移魔法陣を使い生前の記憶がある別の世界にも行ける、そこに前世の家族が居るから向こうに滞在しているのではないか、と説明しておりました」

「前世だと!、別世界だと!、そんな事をお前は信じているのか?」

「・・・」

「一緒に旅行に行っていた王女殿下は?」

「はい、リーゼロッテ・シェルダンと一緒に彼女が前世で暮らしていた世界に旅行に行って来た、とても楽しかった、向こうで買った品もここにある、疑うのなら瞳水晶を使って証明するが、私の発言を嘘だと疑ってもし嘘でなかった場合、貴方はどのような責任を取るのですか?、とおっしゃられたのでそれ以上は・・・」

「お前の見解は?」

「我々からの手紙により王族や家族、そしてドック氏に疑念を抱いたのは間違いありません、しかし、それに加えて我々の言う事も全て信じられなくなったのではないでしょうか、書き置きにはこの世界の全てが信じられなくなった、私は別の世界で暮らす、二度と戻って来るつもりはない、とありましたので・・・、こちらが彼女が残した書き置きの写しです」

「・・・肝心の彼女が居ないのではこちらの勢力に引き込めないではないか!」

「そのようですね」

「連絡を取る手段はないのか、ドックは何と言っている」

「ドック氏が瞳水晶を用いて発言しております、弟子は前世の記憶があり、何度も別の世界とこちらを行き来している、私は行ったことがないので向こうにいる弟子とは連絡が取れないし、私自身も向こうに行けない、行ったことがあるのは王女殿下だけだが、殿下では魔力不足で転移魔法陣を起動させることができない、つまり向こうから連絡が無い限りどうしようもない、と」

「使えん奴らだな」

「それに、憂慮すべき事項がございます」

「何だ」

「彼女は我々の渡した手紙を王女殿下に託されています、持っていてくれと、それを読んだ国王陛下、王女殿下、シェルダン家、ドック氏が激怒しており・・・、誰がこの手紙を書いたのだ、どんな事をしても探し出せ、貴族はもちろん国民全員に対して瞳水晶を使っても構わん、王家の影も使え、と、相当お怒りのようで・・・」

「・・・なん・・・だと」

「報告は以上です、・・・では私はこれで、今回謝礼は必要ありません、私はこの件に無関係です」

「おい!、待て!」









バタン・・・

コツコツ・・・

「転移・・・」



「ふぅ、そこそこ稼がせてもらったし、奴はもうすぐ破滅かな、・・・身の丈に合わない野望を抱くから自業自得だね、彼の忠実な部下の一人は今日を境に失踪・・・あぁ・・・腹減ったな、一度向こうに戻って金貨を円に替えて・・・カツ丼食って、ビール飲んで・・・あ、鰻重もいいな、さて我が末裔・・・理世ちゃん・・・いやリーゼロッテちゃんはどう動くか、楽しませてもらおうかな」








お父様、お母様、コナンザへ

王城でお手紙をもらいました、誰が書いたのか分かりませんが私の味方だと・・・。

そして今度時間と場所を指定するからそこで会いたいと・・・。

そのお手紙には、家族や師匠、王族に対して警戒するように、私を力で押さえつけ、言う事を聞かせようとしている人達が居て・・・私の腕輪・・・外れない腕輪に細工がしてあると書かれていました。

王族の人達に配られている赤い指輪、その装着者の命令には絶対服従、逆らうと腕輪により苦痛が与えられ、更には命まで奪われると・・・。

嫌だ!、そんなのまるで王家の奴隷・・・、言う事を聞かないと痛くされる、怖い、誰か助けて、お願いだから腕輪を外して!。

私は何も知らなかった、そんな話聞いてない!、博士も、お父様もお母様も・・・リィンちゃんと旅行に行く直前にお会いした陛下も何も教えてくれなかった!、そしてリィンちゃんの指にも赤い指輪が・・・、親友だと思っていたのに!、もう誰も信じられない!。

頑張って外そうとしても腕輪は外れない、だから私は前世で暮らしていた日本に逃げます、そこには私の両親や弟が居ます、みんな優しくて、私に痛い事をしたり、騙したり・・・脅して言う事を聞かせようとする人達も居ません。

私は日本で暮らします、ローゼリアには二度と戻りません。

お父様、お母様、今まで優しく、そして大切に育ててくださってありがとうございました。

でも私はローゼリアが怖いのです、いつ誰に痛い事をされるか分からないこの国ではもう暮らせません。

さようなら、私を探さないでください。

リーゼロッテ・シェルダン
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

〜マリアンヌさんは凶悪令息のお気に入り〜

柚亜紫翼
恋愛
裕福な貴族令嬢マリアンヌ・ボッチさんはお裁縫が趣味の16歳。 上級貴族の令息と政略によって半ば強制的に婚約者にさせられていました、見た目麗しい婚約者様だけど性格がとても悪く、いつも泣かされています。 本当はこんな奴と結婚なんて嫌だけど、相手は権力のある上級貴族、断れない・・・。 マリアンヌさんを溺愛する家族は婚約を解消させようと頑張るのですが・・・お金目当ての相手のお家は簡単に婚約を破棄してくれません。 憂鬱な毎日を送るマリアンヌさんの前に凶悪なお顔の男性が現れて・・・。 投稿中の 〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜 https://www.alphapolis.co.jp/novel/652357507/282796475 に登場するリーゼロッテさんのお母様、マリアンヌさんの過去話です。 本編にも同じお話を掲載しますが独立したお話として楽しんでもらえると嬉しいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

スペースシエルさんReboot 〜宇宙生物に寄生されましたぁ!〜

柚亜紫翼
SF
真っ暗な宇宙を一人で旅するシエルさんはお父さんの遺してくれた小型宇宙船に乗ってハンターというお仕事をして暮らしています。 ステーションに住んでいるお友達のリンちゃんとの遠距離通話を楽しみにしている長命種の145歳、趣味は読書、夢は自然豊かな惑星で市民権とお家を手に入れのんびり暮らす事!。 「宇宙船にずっと引きこもっていたいけど、僕の船はボロボロ、修理代や食費、お薬代・・・生きる為にはお金が要るの、だから・・・嫌だけど、怖いけど、人と関わってお仕事をして・・・今日もお金を稼がなきゃ・・・」 これは「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に投稿している「〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜」の元になったお話のリメイクです、なので内容や登場人物が「リーゼロッテさん」とよく似ています。 時々鬱展開やスプラッタな要素が混ざりますが、シエルさんが優雅な引きこもり生活を夢見てのんびりまったり宇宙を旅するお話です。 遥か昔に書いたオリジナルを元にリメイクし、新しい要素を混ぜて最初から書き直していますので宇宙版の「リーゼロッテさん」として楽しんでもらえたら嬉しいです。 〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜 https://www.alphapolis.co.jp/novel/652357507/282796475

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

今のは勇者スキルではない、村人スキルだ ~複合スキルが最強すぎるが、真の勇者スキルはもっと強いに違いない(思いこみ)~

ねぎさんしょ
ファンタジー
【完結保証】15万字足らず、約60話にて第一部完結します!  勇者の血筋に生まれながらにしてジョブ適性が『村人』であるレジードは、生家を追い出されたのち、自力で勇者になるべく修行を重ねた。努力が実らないまま生涯の幕を閉じるも、転生により『勇者』の適性を得る。  しかしレジードの勇者適性は、自分のステータス画面にそう表示されているだけ。  他者から確認すると相変わらず村人であり、所持しているはずの勇者スキルすら発動しないことがわかる。  自分は勇者なのか、そうでないのか。  ふしぎに思うレジードだったが、そもそも彼は転生前から汎用アビリティ『複合技能』の極致にまで熟達しており、あらゆるジョブのスキルを村人スキルで再現することができた。  圧倒的な火力、隙のない肉体強化、便利な生活サポート等々。 「勇者こそ至高、勇者スキルこそ最強。俺はまだまだ、生家<イルケシス>に及ばない」  そう思いこんでいるのはレジード当人のみ。  転生後に出会った騎士の少女。  転生後に再会したエルフの弟子。  楽しい仲間に囲まれて、レジードは自分自身の『勇者』を追い求めてゆく。  勇者スキルを使うための村人スキルで、最強を証明しながら…… ※カクヨム様、小説家になろう様でも連載予定です。

処理中です...