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Side - 15 - 39 - りぃんちゃん、またね! -

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Side - 15 - 39 - りぃんちゃん、またね! -


「ねぇシロさん、どれがいいのです?」

『うむ、そうじゃな、お、この豪華なやつ、これがいいのじゃ!』

「ふざけるななのです!、これ檜を使った受注生産の一番高いやつなのです!、ほらここに会社様向けってあるでしょ、・・・っていうか「銘木を使った職人の心意気!」って何!、私は会社様じゃないからこんなの買えないのです!、こっちにするのです!」

『なんじゃ、ケチじゃのー、うむ、これで妥協してやろう、ありがたく思え、さぁ早くポチるのじゃ』

「いちいち偉そうで腹立つなぁ、・・・この化け狐・・・あ、これタイムセールで7%OFFのやつだ、・・・ねぇシロさん、これってご利益は目減りしないよね」

『気持ちの問題じゃな、目減りすると思うのならもっと高いやつを買うのじゃ、それでいいと思うのなら、まぁ儂は止めはせんがの』

「私の気持ちでいいなら、こっちのプラスチック製の1,980円のにするのです、妖怪化け狐にはこれで十分なのです!」

『やめるのじゃ、せめて木のやつにせい!、っていうか小娘、儂に対してどんどん失礼になっていくのぅ』

「敬ってもらいたかったらそれ相応の報酬を寄越すのです、自動販売機の釣り銭だけじゃ馬鹿らしくてやってられないのです」

お昼に伏見稲荷に行った夜、来なくてもいいのに襲来したシロさんと私達は今、向こうのローゼリアでシロさんを祀(まつ)るための神棚を通販のBmazonで買おうとしているのです。

いきなり祠(ほこら)や社(やしろ)は高くて無理って言ったらシロさんは妥協してくれたけど・・・、設置場所は王城のリィンちゃんのお部屋、何も無い状態なので神棚(豪華屋根付き)と神具一式セット、合わせて35,000也、お急ぎ便で明日到着する筈なのです。

「これかわいいね、細工がすごいし扉も開くんだね」

「リィンちゃん、これは量産品で工場で大量に作ってるやつなの、こういうので職人さんが匠の技を使って作るやつなんかは100倍以上値段に差があるんだよ」

「へー、そうなんだ、でも、向こうの職人さんにこれ見せて、同じようなものでおっきなやつ作ってって言ったら出来そうだよね、いくつか神社も建てるつもりだから・・・」

「そうだね、向こうの人に作ってもらうのもいいかもね」

『何じゃと!、神社まで建ててくれるのか!、よい子じゃなぁ、そっちの銀髪小娘とは大違いじゃ』

「何言ってるのですこの化け狐!、リィンちゃんのお金だと国民の税金使う事になるでしょ、そんな訳にはいかないからお金出すの私なのです!」

『そうかそうか、ついでに褒めてやってもよいわ』

「ぐぬぬ、本当に腹立つなぁ・・・」





翌日、私のお家に神棚が届いたのです、相変わらず速いなぁ、Bmazonのお急ぎ便・・・。

『おや、何で神棚が2個あるのじゃ』

「私のお家にも祀ってやるのです、ありがたく思えなのです!、ちょうど私も可愛かったから狐のぬいぐるみ買ってたのです、さぁこれ依代(よりしろ)にするからとっとと入るのです」

『儂にも選ぶ権利があるのじゃ、誰が小娘の家なぞに祀られてやるか、王都?ならこっちの小娘の家からどこにでも行けるからもういいのじゃ』

「・・・へー、いいのかなぁ(ニタァ)」

『何じゃ気持ち悪いのぅ』

「私の今のお家、王都からすごく離れてる海に面したとっても綺麗な所なのです、青い海、白い壁、降り注ぐ太陽、美味しいお料理、とーってもいい所なのです、そうかぁ、祀られたくないのなら仕方がないのです・・・(ニヤリ)」

『・・・なん・・・じゃと・・・』

「あー、残念なのです・・・向こうの、とーっても綺麗なコルトの港街にも、私の!、お金で!、立派な神社!・・・建ててあげようと思ってたのになぁ・・・」

『ぐっ・・・・て・・・のじゃ』

「はぁ?、声が小さくて聞こえないのですぅー」

『祀って・・・欲しいのじゃ・・・』

「あっ、聞き逃しちゃったのです、もう一度」

『こ・・・この小娘ぇ、・・・調子に乗りおって、・・・ま・・・祀って欲しいのじゃ!、お願いするのじゃ!、儂もイセカイの綺麗な海が見たいのじゃ!』

「うん、よく出来ました、じゃぁとりあえず王都とコルトの街の2箇所に祀って、場所を決めて土地を買って神社建てるでしょ、それから大陸の中にあと何ヶ所か建てようかな、最初は小さなお社で、周りに木を植えて、少しずつ日本の神社っぽくしていこう、数や規模については今後のシロさんの心がけ次第っていうことで」

『分かったのじゃ、祀ってくれたところの周辺は五穀豊穣を約束するのじゃ』

「え、本当にいいのです?、冗談だったのに」

『うむ、儂に任せるのじゃ、その代わり立派な神社にするのじゃぞ!』





沢山の木に囲まれた昭和の名残りを漂わせる外観、外観に負けていない古びた内装、タバコのヤニで黄色くなった天井にレトロなオーディオ機器、そして沢山のアナログレコード・・・。

お爺ちゃんが経営するジャズ喫茶の中にはバンドのみんなと林檎さん、そして私のお父さんとお母さん、もちろんオーナーのお爺ちゃん、今日集まったみんなでリィンちゃんのさようならパーティーをするのです。

リィンちゃんはお店の壁に飾ってある、なんとかプレスリーさんのパネルを見て「なんでお父様が・・・」、ジェイムズ・ブラウンさんのレコードジャケットを見て「これ・・・、オーニィ商会の会長さん?」って言っています、単に似ているだけで別人だよリィンちゃん・・・。

「あー、俺ちょっと疲れてるのかな、明日、金田の叔父貴の病院行ってくるわ・・・」

十真斗さんがこめかみを押さえながら言いました。

「いや私にも見える・・・・見えるぞ、・・・天井に張り付いた獣耳の少女が・・・」

林檎さんが天井を見ながら呆然としています。

「お姉ちゃんとお兄ちゃんも見えるんだぁ、良かったぁ、私だけじゃなくて・・・」

苺ちゃんは少し楽しそう・・・。

「なぁ、姐さん、あれ何だ?」

敬雄くんがお母さんに質問します。

「神様・・・だそうだ」

「お稲荷様でござるよ」

お母さんとお父さんが答えました。

「うん、お稲荷様なのです、・・・夜中に伏見稲荷に行ったら憑いて来ちゃったのです、・・・でもアレは人畜無害だから放っておいて大丈夫なのです」

「そうか・・・じゃぁ始めようか」

敬雄くんが素直に信じました。

時代劇に出てくる忍者みたいにお店の天井の隅に張り付いた化け狐、・・・いやシロさんを放置してパーティーを始めるのです。

「@#@+”=~^>_<***!」

「リィンちゃんなんて言ってるの?」

「・・・「そんなところに居ないでシロ様もこっち来なよ」って言ってるのです、・・・チッ、余計なことを言うななのです!」

『仕方ないのぅ、では儂もお言葉に甘えるとするかの!』

「いやシロさん、私が無視して始めようとしたらすっごい悲しそうな顔したのです!、何しれっと偉そうな事を・・・」

『やかましいわ小娘、それ以上余計な事をほざくと明日良くない事が起きるじゃろう・・・』

「悪霊みたいなこと言うななのです!、そもそもシロさん食べたり飲んだりできるのです?、神様なのに」

『あぁ、できるぞ、神様じゃからの』

「じゃぁ、食べたり飲んだりしたものはどこにいくのです?、おしっこするのです?」

『・・・その辺は聞いてはいけないのじゃ、人間には知ってはいけないものもあるのじゃ、・・・どうしても知りたいかの?』

「・・・いや、いいです」

『仕方ないのぅ、床に頭を擦り付けて頼むなら教えてやらんでもないが・・・』

「いや、いいのです」

『何じゃ、つまらんのぅ・・・』




「リィンちゃんには遊園地や京都で洋食や和食を堪能してもらったから今日は特別に超ジャンクな食べ物選びましたぁ」

「・・・苺ちゃんが、「お料理の手配は任せてね」って張り切って言ってたけど改めて見ると凄いなぁ、・・・身体に悪そうなものばかりだぁ、でもこういうのって美味しいんだよね」

ハンバーガー、ピザ、コンビニのチキン、フランクフルト、アメリカンドッグ、チーズケーキやフライドポテト、コーラ、ポテトチップス、それから何故か地元の名産、骨付鳥!。

「脂っこいのダメな人は言ってね、肉まんとか寿司やおにぎり、和菓子もあるよー、全部コンビニのだけど」

「では改めて、またの再会を祈って、リィンちゃん、元気でね!」

私が翻訳してリィンちゃんに伝えると、・・・あ、泣いちゃった・・・。

「みなしゃん、ありがどうごじゃいまじゅ・・・ぐすっ・・・とても楽しかったでしゅ、・・・みなさんと遊んだ思い出は絶対絶対、一生忘れません!、これからもリゼちゃんのお家には頻繁に遊びに来てるから、ぜひ会いに来て下しゃい!」

また訳してみんなに伝えると一斉に拍手、余計にリィンちゃん泣いちゃった。

「わー」

パチパチ・・・

「リゼちゃん、どうしよう、私、楽しくて、幸せすぎて怖い」

「いつも息苦しい生活してるから、いい休暇になったね、リィンちゃん」

そしてテーブルを見ると、・・・コーラを片手にハンバーガーを口一杯に頬張っている化け狐、・・・じゃなくて・・・シロさん。

『初めて食ったがこれはうまいのぅ!、時々神棚に供えるのじゃ!』

それからはリィンちゃんやシロさんを交えてみんなで楽しくお話ししたり、美味しいものを食べたり、楽しい時間を過ごしました、そして翌日、私とリィンちゃんは残り3日間の休暇を向こうで過ごす為にコルトの街へ転移したのです!。
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