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Side - 15 - 38 - ですめたるだよりぃんちゃん -(挿絵あり)
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Side - 15 - 38 - ですめたるだよりぃんちゃん -
「すごーい、このお部屋何?」
「スタジオっていうの、おっきな音を出しても怒られないところ、正確には十真斗さんの仕事場のミュージックスクールっていう楽器の演奏を教える所で、お休みの日に場所を特別に貸してもらってるの」
「ふーん、よくわかんないけど凄いや・・・、壁に鏡があって・・・楽器がいっぱい・・・」
私たちはバンドで借りているスタジオ・・・十真斗さんの教えているミュージックスクールの防音室に来ています、私は何度か来ているので転移で、リィンちゃんと龍之介を連れて・・・。
「いやぁ、十真斗さんと苺ちゃんがバンドに加入してくれるまではスタジオ借りるのも高くて大変だったんだけど、ここ貸してもらえるようになってからは今までの半額で済んでるから金銭的にかなり楽になったんだよなぁ」
敬雄くんがしみじみとそんな事を言っています。
「でもあの倉庫、そのうち買うっていう話はどうなってるの?」
うまい棒を齧りながら苺ちゃんが言いました。
「うん、でもまだお金溜まってないし手続きも厄介だから、買うんじゃなくて借りる感じになりそう、ならしばらくは安く借りられるここでって思ってる」
敬雄くんが困り顔で言いました。
実はバンドでお金を出して港の端の倉庫を買おうかって話になっているのです、前のアルバムの売り上げやBouTubeの収益なんかがあって今のバンドには多少は余裕があるから・・・。
でも休日と夜しか使わないのは勿体無いから買うか借りるかでメンバー間で意見が分かれてるのです、龍之介と十真斗さんは買っちゃおうよ派、苺ちゃんは「あんな汚い倉庫買わなくていいよ、バンドに何かあった時、他に売れなくて手放せなかったらどうするの」って借りる派、敬雄くんは「苺ちゃんの言い分も一理あるからなぁ」・・・って様子見、私はまだ加入したばかりだから遠慮してどっちでもいいよ派、なんだけど確かに小汚い倉庫だなぁ・・・って思っているのです。
でも港の近くで他に民家も人の気配もなくて大きな音が出せるあの場所は魅力的、・・・みんなのお家とも近いし・・・。
「さて、ちょっと音を出してみようか、リィンちゃんってこれくらいの音量平気かな」
敬雄くんが愛用しているフェルナンデスのギターをアンプに繋いで「ガッガッ・・・ジャカジャカ」ってリズムを刻み始めます、いつもより音量低いけど相変わらず鋭いリズムギター、ルドルフ・シェンカーみたい・・・、おっと、リィンちゃんに通訳しないと・・・。
「リィンちゃん、これくらいの音量平気?、うるさかったら音量下げるよ」
「うん、大丈夫、服がピリビリってなる大っきな音、気持ちいい」
みんなに通訳すると「お、素質あるな」って龍之介が・・・素質ってなんだよ・・・。
「じゃぁ私とお兄ちゃんも入るよ」
そう言いながら「バイトして新品で買ったんだぁ」・・・って自慢してたアイバニーズのフレットレスベースを弾き始めます、苺ちゃんはベースをギターみたいに弾くからもう一人のギターって感じでかっこいい、十真斗さんはスタジオに置いてあるヤマハのドラム、持っているのはツーバスだけどこれは借り物のシンプルなワンバスのツインペダル、この人は自前でも借り物でもどんなドラムを叩いても自分のものにする凄い人なのです、一応ドラム講師ですから。
「最初はフュージョンっぽいソフトなやつから徐々に重く速くしていくよー」
私もギターの準備をします、これしか持ってないけど、お父さんのレスポールカスタム・・・。
シャカタクの「ナイト・バーズ」っぽい曲、オリジナルのピアノの部分が敬雄くんのギター、私は後ろで地味にリズムを・・・、メタルじゃないのにみんなうまいなぁ・・・。
「じゃぁこの辺でクラプトンっぽいやつ」
クロスロードのカバーでボーカルは龍之介、ソロは私で敬雄くんがバックのリズム、龍之介、英語上手くなったな・・・。
「次は、ハノイ・ロックス!」
ハノイ・ロックスの「トラジェディ」、私がなんとか覚えた英語の歌詞を歌います、私のギターはお休み・・・、メインの歌とギター2つ同時はまだ無理なのです!、これはお母さんのCDコレクションにあって、よく聴いてた曲なので、だいたい歌えるのです!。
「一気に激しくなってジューダス・プリーストいっくよー」
苺ちゃんの合図で「ラム・イット・ダウン」のなんちゃってカバー、所々怪しいけど聴いてるお客はオリジナルを知らないリィンちゃん一人、低いところは龍之介のデスボイス、高音は私っていうツインボーカル、ギター弾きながら歌うのキツい、・・・あ、ソロ間違えた。
「もっと激しいやつ!」
龍之介の合図でパンテラの「カウボーイズ・フロム・ヘル」、ここは龍之介がノリノリで大活躍、尊敬するフィル・アンセルモそっくりのアクションで歌います、こらこら上半身裸にならなくていいから!、王女様の前だよ!、リィンちゃんにはうるさくでダメだったら手を挙げてって言ってたのですが、チラチラ様子を伺うと楽しそうに体を揺らしています、これはデスメタルもいけるかな・・・。
「スラッシュ系いっちゃう?」
苺ちゃんの問いかけにみんな頷きます、それからアンスラックスの「ゴット・ザ・タイム」、テスタメントの「ライズ・アップ」、私はリズム・ギターに専念、だって難しくてこれ以上複雑なのは無理!、リズムを刻むのだって難しいのです!。
「デスメタル大丈夫?」
十真斗さんが聞いてきました。
「リィンちゃん、これより激しいの大丈夫?」
私が訳してリィンちゃんを見るとまだ平気そうな顔、満面の笑みで頷きます、だったらやるしかないでしょ!。
「じゃぁカーカスの「ハートワーク」とオビチュアリーの「ドント・ケア」、それからウチのオリジナル3曲!、メドレーで!」
「ふぅ・・・美味しいとこのメドレーだったけど疲れたぁ・・・」
本当に疲れたのです、指がつりそう・・・。
「お姉ちゃん、まだギター再開してそんなに経ってないからね、でもこれだけ弾けたら大丈夫だよ」
龍之介が慰めてくれます、それなりに練習してたけど、みんなで合わせるの大変だなぁ・・・。
パチパチ・・・
リィンちゃんがニッコニコで拍手してくれています、気に入ってもらえたようでよかったぁ、・・・でも普通の人がデスメタル聴かされて喜ぶのって珍しいんだよ・・・。
「すっごーい、音がすごいの!、龍之介さんも普段の優しそうな感じから想像できないくらいかっこよかったし、みんな楽器うまーい!」
「・・・だそうです」
みんなに通訳すると・・・、みんなも満足そう、「普段やらない感じの曲もやったから実は心配だったんだぁ」、って苺ちゃんが言ってます。
「リィンちゃん、これ知ってるよね」
私がギターを弾きながらドゥ・アズ・インフィニティの「深い森」を歌います。
「あ、これ!、お昼の「魔導ラディーオ」からよく流れてくる曲だぁ!、もしかしてこれ歌ってたのリゼちゃん?、なんで言ってくれなかったの!」
そうなのです、私がバンドのみんなに演奏してもらった曲を録音して私の歌を入れた後、向こうの放送局でたまに流してもらってたのです、だって・・・向こうにジャスラックは無いけどそのままCDの曲を流すのなんか怖いの・・・カバーでも本当はダメなんだろうけど・・・、向こうのお家に「こんにちは!ジャスラックです!」って来そうで・・・そんな訳ないんだけどね。
「こっちの曲をバンドのみんなに演奏してもらって、それに私が歌を入れて流してるんだぁ、・・・リィンちゃんに言わなかったのは恥ずかしかったから、もちろん本物に比べると私の方が下手なんだけどね、歌ってるのは私だけじゃなくて、向こうで見つけた歌の上手い人にお給料払って放送スタジオで生で歌ってもらってるのもあるんだよ」
「でもなんでリゼちゃんが?、魔導ラディーオの放送局で?」
「あれ言ってなかったっけ?、あの放送局ってオーニィ商会と私個人の共同出資の会社が持ってて、私はお昼の番組の放送時間にお金を出してるスポンサーだよ、だから自由に選曲した音楽流してるの」
「わぁ・・・」
リィンちゃんが驚きで固まっています、そんなに驚くとは思ってなかったのです・・・。
「さて、時間も遅いし撤収しようか、もうすぐリィンちゃん、向こうに帰るんだよね、お別れ会しない?」
苺ちゃんが提案します。
「帰るのは4日後くらいかな、・・・お別れ会って言っても、まだ頻繁にこっちに連れて来る予定だけどね、・・・リィンちゃん原⚪︎にハマっちゃって毎日やってるの、そのうち飽きると思ったんだけどなぁ・・・「稲妻の将軍倒すの!」って張り切っちゃって・・・取り上げちゃうの可哀想だし、1日おきにデイリー任務やれるくらいの時間こっちにって思ってて、・・・でも事故とか心配だから私のお家で居る事がほとんどだけど・・・」
「そっかぁ・・・ならどこかで食事みたいな?、「またね!」って感じのお食事会って、どう?」
「いいね、夜の今くらいの時間ならどこかの居酒屋予約して・・・って未成年連れ回すのまずいかなぁ・・・」
「お祖父ちゃんのジャズ喫茶は?あそこ夜は閉めてるから大丈夫だと思う」
「・・・それいいね、・・・お祖父ちゃんに聞いてみるよ、「リィンちゃん、みんながね、お別れ会してくれるって!」」
「&%#@_@/”#>_<!!」
「すっごい喜んでる!」
「・・・うん、みんなありがとうって」
そしてそれから2日後のお昼、私と龍之介、そしてリィンちゃんは再び伏見稲荷に、やっぱりリィンちゃん注目集めるなぁ、周りの男がジリジリと距離を詰めてきてる、龍之介が威嚇してくれてるからまだマシだけど・・・。
「リィンちゃん、やっぱり目立つのです、変装用のメガネとマスクして・・・」
『・・・聞こえますか・・・今私はあなたの頭に直接話しかけています・・・』
「出たな妖怪!」
『なんじゃ!、妖怪とは失礼な奴じゃ!、今こういうのがツイッタァとやらで流行っていると眷属どもが言うからサービスしてやったというのに!』
「ネタが微妙に古いのです・・・」
『むぅ・・・覚えておれよ小娘、・・・そのうち財布を落として泣く事になろうぞ・・・』
「恐ろしいこと言うななのです!、そんなことしたら異世界に連れて行ってやらないのです!、・・・それで、依代(よりしろ)ってどんなものがいいのです?」
『口に出さずとも頭で考えるだけで儂に伝わるぞ小娘よ、今お主は周りから独り言を呟く危ない奴に見えておるわ、ククク・・・』
「ぐぬぬ・・・この化け狐・・・そのうち狐鍋にして食べてやるのです・・・」
『聞こえておるぞ小娘、依代じゃったな、なんでも良いぞ、そこの社務所に売っている札やお守りでもよい、値段が高ければ尚よいぞ』
「リィンちゃん、どんなのがいいかな?」
そう言いながらリィンちゃんの方を向くと、お土産物屋に並んだ狐のぬいぐるみに目が釘付けなのです、あ、これはリィンちゃんの心に刺さっちゃったかな・・・。
「・・・可愛い」
『こら小娘よ、なんでもいいと言ったがこれは可愛すぎるじゃろ!、それに祠に置くと経年劣化やカビが心配なのじゃ!』
「大丈夫なのです、私が最近開発した状態保存の魔道具の中に入れるのです、少なくとも百年は保つのです、劣化したらその辺の石にでも憑(うつ)ったらいいのです」
リィンちゃんの手には大小2つの狐のぬいぐるみ、大きい方がリィンちゃんが抱いて寝る用、小さい方は化け狐用なのです。
「シロ様、私が大切にお祀りしますからねー」
『う・・・うむ、頼む、あの小娘はどうも信用ならん、揶揄い甲斐があって愉快ではあるが性格の相性が悪い・・・と言った方がよいか・・・』
「あー、楽しかったぁ!、京都の街、綺麗だし変わった建物があって面白いね」
そう言ってリィンちゃんは私のお部屋のベッドに寝転がります、あれから電車に乗って伏見稲荷を後にして京都の街を一通り観光、それから少し高そうな料亭でお食事して帰ってきました、料理はもちろん超美味しかったのです!、生のお魚に慣れてないリィンちゃんも美味しい!って言って夢中で食べてたし」
「喜んでもらえたら私も嬉しいよ、あとはリィンちゃんのお別れ会をお祖父ちゃんのジャズ喫茶でやって、次の日に帰ろうか、その後はコルトの街で3日くらい遊ぼうね、大丈夫?、身体は疲れてない?」
「うん、予想以上に長く滞在したから、・・・その・・・女の子の日になっちゃって、迷惑かけたよね、でもリゼちゃんのお母さんからもらったナプキン、あれ凄く快適!、もう大量に買って王城に持って帰りたい!、うちのお母様も一度使ったら絶対手放せなくなると思う!」
「あー、私は理世だった時にすごく辛くて、それくらいの年齢になる前に成長止めたから気付かなかったよ、前もって言っておけばよかったね、滞在長くなるかもって、・・・そうだなぁ、定期的にこっちで買って送るようにしようか」
「うん、ありがとう、お金は払うからね」
「あれそんなに高くないよ、多分金貨1枚で相当な量買えるから気にしないで、でも王妃様以外には言わないでね、みんな欲しがるだろうから、そうなっちゃうと私が近所のドラッグストアへ買い占めに走る事になるし」
「でも私に近い人、専属メイドの子にはバレるかなぁ・・・」
「まぁ、数人分ならなんとか確保できるかな?、常識の範囲内でって事で、私向こうで卸業者みたいな事やるつもりはないし」
「本当に日本に滞在したこの十数日、楽しかったなぁ、お友達もできたし、次はみんなを私の国で歓迎しないとだね、それにはリゼちゃん狙う奴ら片付けないとだし、後どれくらいかかるんだろ・・・お父様は任せておけって言ってたけど・・・」
「その事だけどね、ちょっと陛下から頼まれた事があるんだぁ、コルトの街で3日間遊んだ後に少し博士の所に行くんだけど、一緒に付き合ってもらっていいかな」
「ドックさんのところ?、もちろんいいけど・・・何するの?」
「まぁ、ふざけた奴らをまとめて始末しましょうって事、あ、私が殺すんじゃないよ、それまでは楽しく休暇を過ごそうよ、コルトの街でもリィンちゃんに見てほしいものいっぱいあるんだよ」
犬飼苺さん
「すごーい、このお部屋何?」
「スタジオっていうの、おっきな音を出しても怒られないところ、正確には十真斗さんの仕事場のミュージックスクールっていう楽器の演奏を教える所で、お休みの日に場所を特別に貸してもらってるの」
「ふーん、よくわかんないけど凄いや・・・、壁に鏡があって・・・楽器がいっぱい・・・」
私たちはバンドで借りているスタジオ・・・十真斗さんの教えているミュージックスクールの防音室に来ています、私は何度か来ているので転移で、リィンちゃんと龍之介を連れて・・・。
「いやぁ、十真斗さんと苺ちゃんがバンドに加入してくれるまではスタジオ借りるのも高くて大変だったんだけど、ここ貸してもらえるようになってからは今までの半額で済んでるから金銭的にかなり楽になったんだよなぁ」
敬雄くんがしみじみとそんな事を言っています。
「でもあの倉庫、そのうち買うっていう話はどうなってるの?」
うまい棒を齧りながら苺ちゃんが言いました。
「うん、でもまだお金溜まってないし手続きも厄介だから、買うんじゃなくて借りる感じになりそう、ならしばらくは安く借りられるここでって思ってる」
敬雄くんが困り顔で言いました。
実はバンドでお金を出して港の端の倉庫を買おうかって話になっているのです、前のアルバムの売り上げやBouTubeの収益なんかがあって今のバンドには多少は余裕があるから・・・。
でも休日と夜しか使わないのは勿体無いから買うか借りるかでメンバー間で意見が分かれてるのです、龍之介と十真斗さんは買っちゃおうよ派、苺ちゃんは「あんな汚い倉庫買わなくていいよ、バンドに何かあった時、他に売れなくて手放せなかったらどうするの」って借りる派、敬雄くんは「苺ちゃんの言い分も一理あるからなぁ」・・・って様子見、私はまだ加入したばかりだから遠慮してどっちでもいいよ派、なんだけど確かに小汚い倉庫だなぁ・・・って思っているのです。
でも港の近くで他に民家も人の気配もなくて大きな音が出せるあの場所は魅力的、・・・みんなのお家とも近いし・・・。
「さて、ちょっと音を出してみようか、リィンちゃんってこれくらいの音量平気かな」
敬雄くんが愛用しているフェルナンデスのギターをアンプに繋いで「ガッガッ・・・ジャカジャカ」ってリズムを刻み始めます、いつもより音量低いけど相変わらず鋭いリズムギター、ルドルフ・シェンカーみたい・・・、おっと、リィンちゃんに通訳しないと・・・。
「リィンちゃん、これくらいの音量平気?、うるさかったら音量下げるよ」
「うん、大丈夫、服がピリビリってなる大っきな音、気持ちいい」
みんなに通訳すると「お、素質あるな」って龍之介が・・・素質ってなんだよ・・・。
「じゃぁ私とお兄ちゃんも入るよ」
そう言いながら「バイトして新品で買ったんだぁ」・・・って自慢してたアイバニーズのフレットレスベースを弾き始めます、苺ちゃんはベースをギターみたいに弾くからもう一人のギターって感じでかっこいい、十真斗さんはスタジオに置いてあるヤマハのドラム、持っているのはツーバスだけどこれは借り物のシンプルなワンバスのツインペダル、この人は自前でも借り物でもどんなドラムを叩いても自分のものにする凄い人なのです、一応ドラム講師ですから。
「最初はフュージョンっぽいソフトなやつから徐々に重く速くしていくよー」
私もギターの準備をします、これしか持ってないけど、お父さんのレスポールカスタム・・・。
シャカタクの「ナイト・バーズ」っぽい曲、オリジナルのピアノの部分が敬雄くんのギター、私は後ろで地味にリズムを・・・、メタルじゃないのにみんなうまいなぁ・・・。
「じゃぁこの辺でクラプトンっぽいやつ」
クロスロードのカバーでボーカルは龍之介、ソロは私で敬雄くんがバックのリズム、龍之介、英語上手くなったな・・・。
「次は、ハノイ・ロックス!」
ハノイ・ロックスの「トラジェディ」、私がなんとか覚えた英語の歌詞を歌います、私のギターはお休み・・・、メインの歌とギター2つ同時はまだ無理なのです!、これはお母さんのCDコレクションにあって、よく聴いてた曲なので、だいたい歌えるのです!。
「一気に激しくなってジューダス・プリーストいっくよー」
苺ちゃんの合図で「ラム・イット・ダウン」のなんちゃってカバー、所々怪しいけど聴いてるお客はオリジナルを知らないリィンちゃん一人、低いところは龍之介のデスボイス、高音は私っていうツインボーカル、ギター弾きながら歌うのキツい、・・・あ、ソロ間違えた。
「もっと激しいやつ!」
龍之介の合図でパンテラの「カウボーイズ・フロム・ヘル」、ここは龍之介がノリノリで大活躍、尊敬するフィル・アンセルモそっくりのアクションで歌います、こらこら上半身裸にならなくていいから!、王女様の前だよ!、リィンちゃんにはうるさくでダメだったら手を挙げてって言ってたのですが、チラチラ様子を伺うと楽しそうに体を揺らしています、これはデスメタルもいけるかな・・・。
「スラッシュ系いっちゃう?」
苺ちゃんの問いかけにみんな頷きます、それからアンスラックスの「ゴット・ザ・タイム」、テスタメントの「ライズ・アップ」、私はリズム・ギターに専念、だって難しくてこれ以上複雑なのは無理!、リズムを刻むのだって難しいのです!。
「デスメタル大丈夫?」
十真斗さんが聞いてきました。
「リィンちゃん、これより激しいの大丈夫?」
私が訳してリィンちゃんを見るとまだ平気そうな顔、満面の笑みで頷きます、だったらやるしかないでしょ!。
「じゃぁカーカスの「ハートワーク」とオビチュアリーの「ドント・ケア」、それからウチのオリジナル3曲!、メドレーで!」
「ふぅ・・・美味しいとこのメドレーだったけど疲れたぁ・・・」
本当に疲れたのです、指がつりそう・・・。
「お姉ちゃん、まだギター再開してそんなに経ってないからね、でもこれだけ弾けたら大丈夫だよ」
龍之介が慰めてくれます、それなりに練習してたけど、みんなで合わせるの大変だなぁ・・・。
パチパチ・・・
リィンちゃんがニッコニコで拍手してくれています、気に入ってもらえたようでよかったぁ、・・・でも普通の人がデスメタル聴かされて喜ぶのって珍しいんだよ・・・。
「すっごーい、音がすごいの!、龍之介さんも普段の優しそうな感じから想像できないくらいかっこよかったし、みんな楽器うまーい!」
「・・・だそうです」
みんなに通訳すると・・・、みんなも満足そう、「普段やらない感じの曲もやったから実は心配だったんだぁ」、って苺ちゃんが言ってます。
「リィンちゃん、これ知ってるよね」
私がギターを弾きながらドゥ・アズ・インフィニティの「深い森」を歌います。
「あ、これ!、お昼の「魔導ラディーオ」からよく流れてくる曲だぁ!、もしかしてこれ歌ってたのリゼちゃん?、なんで言ってくれなかったの!」
そうなのです、私がバンドのみんなに演奏してもらった曲を録音して私の歌を入れた後、向こうの放送局でたまに流してもらってたのです、だって・・・向こうにジャスラックは無いけどそのままCDの曲を流すのなんか怖いの・・・カバーでも本当はダメなんだろうけど・・・、向こうのお家に「こんにちは!ジャスラックです!」って来そうで・・・そんな訳ないんだけどね。
「こっちの曲をバンドのみんなに演奏してもらって、それに私が歌を入れて流してるんだぁ、・・・リィンちゃんに言わなかったのは恥ずかしかったから、もちろん本物に比べると私の方が下手なんだけどね、歌ってるのは私だけじゃなくて、向こうで見つけた歌の上手い人にお給料払って放送スタジオで生で歌ってもらってるのもあるんだよ」
「でもなんでリゼちゃんが?、魔導ラディーオの放送局で?」
「あれ言ってなかったっけ?、あの放送局ってオーニィ商会と私個人の共同出資の会社が持ってて、私はお昼の番組の放送時間にお金を出してるスポンサーだよ、だから自由に選曲した音楽流してるの」
「わぁ・・・」
リィンちゃんが驚きで固まっています、そんなに驚くとは思ってなかったのです・・・。
「さて、時間も遅いし撤収しようか、もうすぐリィンちゃん、向こうに帰るんだよね、お別れ会しない?」
苺ちゃんが提案します。
「帰るのは4日後くらいかな、・・・お別れ会って言っても、まだ頻繁にこっちに連れて来る予定だけどね、・・・リィンちゃん原⚪︎にハマっちゃって毎日やってるの、そのうち飽きると思ったんだけどなぁ・・・「稲妻の将軍倒すの!」って張り切っちゃって・・・取り上げちゃうの可哀想だし、1日おきにデイリー任務やれるくらいの時間こっちにって思ってて、・・・でも事故とか心配だから私のお家で居る事がほとんどだけど・・・」
「そっかぁ・・・ならどこかで食事みたいな?、「またね!」って感じのお食事会って、どう?」
「いいね、夜の今くらいの時間ならどこかの居酒屋予約して・・・って未成年連れ回すのまずいかなぁ・・・」
「お祖父ちゃんのジャズ喫茶は?あそこ夜は閉めてるから大丈夫だと思う」
「・・・それいいね、・・・お祖父ちゃんに聞いてみるよ、「リィンちゃん、みんながね、お別れ会してくれるって!」」
「&%#@_@/”#>_<!!」
「すっごい喜んでる!」
「・・・うん、みんなありがとうって」
そしてそれから2日後のお昼、私と龍之介、そしてリィンちゃんは再び伏見稲荷に、やっぱりリィンちゃん注目集めるなぁ、周りの男がジリジリと距離を詰めてきてる、龍之介が威嚇してくれてるからまだマシだけど・・・。
「リィンちゃん、やっぱり目立つのです、変装用のメガネとマスクして・・・」
『・・・聞こえますか・・・今私はあなたの頭に直接話しかけています・・・』
「出たな妖怪!」
『なんじゃ!、妖怪とは失礼な奴じゃ!、今こういうのがツイッタァとやらで流行っていると眷属どもが言うからサービスしてやったというのに!』
「ネタが微妙に古いのです・・・」
『むぅ・・・覚えておれよ小娘、・・・そのうち財布を落として泣く事になろうぞ・・・』
「恐ろしいこと言うななのです!、そんなことしたら異世界に連れて行ってやらないのです!、・・・それで、依代(よりしろ)ってどんなものがいいのです?」
『口に出さずとも頭で考えるだけで儂に伝わるぞ小娘よ、今お主は周りから独り言を呟く危ない奴に見えておるわ、ククク・・・』
「ぐぬぬ・・・この化け狐・・・そのうち狐鍋にして食べてやるのです・・・」
『聞こえておるぞ小娘、依代じゃったな、なんでも良いぞ、そこの社務所に売っている札やお守りでもよい、値段が高ければ尚よいぞ』
「リィンちゃん、どんなのがいいかな?」
そう言いながらリィンちゃんの方を向くと、お土産物屋に並んだ狐のぬいぐるみに目が釘付けなのです、あ、これはリィンちゃんの心に刺さっちゃったかな・・・。
「・・・可愛い」
『こら小娘よ、なんでもいいと言ったがこれは可愛すぎるじゃろ!、それに祠に置くと経年劣化やカビが心配なのじゃ!』
「大丈夫なのです、私が最近開発した状態保存の魔道具の中に入れるのです、少なくとも百年は保つのです、劣化したらその辺の石にでも憑(うつ)ったらいいのです」
リィンちゃんの手には大小2つの狐のぬいぐるみ、大きい方がリィンちゃんが抱いて寝る用、小さい方は化け狐用なのです。
「シロ様、私が大切にお祀りしますからねー」
『う・・・うむ、頼む、あの小娘はどうも信用ならん、揶揄い甲斐があって愉快ではあるが性格の相性が悪い・・・と言った方がよいか・・・』
「あー、楽しかったぁ!、京都の街、綺麗だし変わった建物があって面白いね」
そう言ってリィンちゃんは私のお部屋のベッドに寝転がります、あれから電車に乗って伏見稲荷を後にして京都の街を一通り観光、それから少し高そうな料亭でお食事して帰ってきました、料理はもちろん超美味しかったのです!、生のお魚に慣れてないリィンちゃんも美味しい!って言って夢中で食べてたし」
「喜んでもらえたら私も嬉しいよ、あとはリィンちゃんのお別れ会をお祖父ちゃんのジャズ喫茶でやって、次の日に帰ろうか、その後はコルトの街で3日くらい遊ぼうね、大丈夫?、身体は疲れてない?」
「うん、予想以上に長く滞在したから、・・・その・・・女の子の日になっちゃって、迷惑かけたよね、でもリゼちゃんのお母さんからもらったナプキン、あれ凄く快適!、もう大量に買って王城に持って帰りたい!、うちのお母様も一度使ったら絶対手放せなくなると思う!」
「あー、私は理世だった時にすごく辛くて、それくらいの年齢になる前に成長止めたから気付かなかったよ、前もって言っておけばよかったね、滞在長くなるかもって、・・・そうだなぁ、定期的にこっちで買って送るようにしようか」
「うん、ありがとう、お金は払うからね」
「あれそんなに高くないよ、多分金貨1枚で相当な量買えるから気にしないで、でも王妃様以外には言わないでね、みんな欲しがるだろうから、そうなっちゃうと私が近所のドラッグストアへ買い占めに走る事になるし」
「でも私に近い人、専属メイドの子にはバレるかなぁ・・・」
「まぁ、数人分ならなんとか確保できるかな?、常識の範囲内でって事で、私向こうで卸業者みたいな事やるつもりはないし」
「本当に日本に滞在したこの十数日、楽しかったなぁ、お友達もできたし、次はみんなを私の国で歓迎しないとだね、それにはリゼちゃん狙う奴ら片付けないとだし、後どれくらいかかるんだろ・・・お父様は任せておけって言ってたけど・・・」
「その事だけどね、ちょっと陛下から頼まれた事があるんだぁ、コルトの街で3日間遊んだ後に少し博士の所に行くんだけど、一緒に付き合ってもらっていいかな」
「ドックさんのところ?、もちろんいいけど・・・何するの?」
「まぁ、ふざけた奴らをまとめて始末しましょうって事、あ、私が殺すんじゃないよ、それまでは楽しく休暇を過ごそうよ、コルトの街でもリィンちゃんに見てほしいものいっぱいあるんだよ」
犬飼苺さん
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
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