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Side - 15 - 33 - こわいゆめ -

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Side - 15 - 33 - こわいゆめ -


痛い・・・苦しいよ・・・私は夢を見ているのかな?。

あの時の暴動で、お家に武器を持った怖い人達が入って来て、きっと・・・私やお父様、お母様は殺されてしまったのでしょう、・・・それで・・・私はまた男達に身体を汚されて・・・うぅ・・・、両親だけは優しかったけれど私の人生は辛い事ばかりでした・・・。

私は高い山の上に居るようです、・・・手が届きそうな空には沢山のお星様、足が地面に付きません、ふわふわと空に浮かんでいるのです。

暖かいお布団、私がまだ小さかった時の記憶でしょうか、・・・優しいお顔のお父様とお母様・・・。




お城の中の暗いお部屋、・・・髪を掴まれて引き倒されました、・・・目の前には赤く光る焼印。

・・・嫌!、頬が痛い!、焼けるように痛いの!、悲しそうなお顔のお父様とお母様、・・・私に焼印を押し当てる魔法使いのお爺さん、涙で前が見えなくなりました・・・。

道を歩く小さな私・・・頭に石が当たります・・・痛い!、笑いながら石を投げる子供達・・・痛いところを触った私の掌は血まみれです、泣き崩れても誰も助けてくれません。

椅子がいっぱいのお部屋・・・お腹空いたな・・・頭から水をかけられました、歪んだ顔で笑う女の子達、落とした髪留めを拾おうとしたら硬い靴で手を踏まれてしまいました。

またお城に呼ばれました、お母様とお父様の夕食の筈だったパン・・・持って行きなさいって渡してくれました、奪い取られてゴミ箱に捨てられてしまいました、ゴミをかき分けて泣きながら探す私と笑いながら見ている男の子達・・・。

神様・・・もし居るのなら教えてください、・・・私はあなたに嫌われるような事を何かしたのでしょうか・・・。




暗いお部屋、涙を流すお父様とお母様、・・・怖くて暴れる私の左肩に押し当てられた真っ赤な焼印、痛みで気が狂いそう、暴れても力が強くて逃げられません。

・・・誰か助けて!・・・大声で叫びながら痛くて床を掻き毟ったから、爪が剥がれてしまいました・・・。

強制だと言われて参加させられた夜会・・・上級貴族にお父様が借金をして作ってくれた私のドレス、切り裂かれてしまいました、・・・私にワインをかけ、倒れた私をみんなが踏み付けます、もう嫌です・・・私が何か悪い事をしましたか?。

14歳の時・・・執務室に呼ばれて、お父様が私に逃げろと言いました、・・・隣の大陸へ・・・今なら間に合うと、でも先生に・・・逃げた家の家族は皆殺しだと教わりました、・・・嫌です!、大好きなお父様とお母様、・・・私が我慢すれば2人は死なずに済むのです。





15歳のお誕生日、・・・お家に来た騎士様に私はお城に連れて行かれます、止めようとするお父様が殴られました。

皇帝陛下へ忠誠を誓うかと聞かれました、・・・「はい」と答える私、・・・首輪の儀式です、首輪を付けて背中に大きな焼印を押せば帝国貴族の一員と認められるのです。

5歳の時に頬に、10歳の時には左肩、・・・おかしくなりそうなくらい痛かったのに、この大きさならどれくらい痛いのでしょうか、怖くて身体が震えます。





これ以上思い出したくないです!、・・・嫌だ!・・・お願い・・・夢なら早く醒めて!・・・。





ローブを着た男の人が3人、・・・1人は・・・2つに分かれて魔石が付いた首輪を両手に、私に近付いて来ます。

誰かが言っていました、これを嵌めたら皇帝の奴隷だと、嫌がる私の首に冷たい首輪を嵌めて魔石を外すと、・・・2つに分かれていた首輪が一つに、継ぎ目が無くなりました・・・首輪に付いている鎖が音を立てて私の胸に当たります。


ローブの男が2人、私を台の上に乗せ、裸の私はうつ伏せに押さえつけられます、首輪の鎖を固定されて動けない・・・怖いです・・・痛いのは嫌!、ゆっくりと近付く焼印の熱が背中に伝わります・・・。

今まで体験した事のない痛みが私を襲いました・・・、痛い!、痛い!、お願い!、早く背中から焼印を離して!、死んじゃう!。

暴れても男は私の身体を離してくれません、泣いて、叫んで・・・大きな刻印が私の背中に刻まれました、背中は焼かれ、焼印に付いていた魔石の粉が入った塗料と・・・私の血が台の上に流れます。





これでもうお家に帰れるのかな?、隣のお部屋に放り込まれ頭からローブを被せられました、これを着ろと言うのでしょうか、・・・背中が痛いです、声をあげて泣いていたら男の人が入ってきて殴られました。

痛みに耐えながらローブを着てお部屋の隅に蹲ります・・・痛くて動けないのです。

いつの間にか眠ってしまいました、・・・扉が開く音がしていつも私をいじめていた男の子が6人、首輪の鎖を乱暴に掴んで私を地下室へ・・・そこでお薬を飲まされて・・・。




「いやぁぁぁぁ!」

「リーシャちゃん!」

お母様のお顔が私の目の前に・・・。

「うぅ・・・お母様ぁ・・・怖い夢を見たの、男の子が・・・嫌だって言ってるのに床に押さえ付けて・・・私の足を開いて無理やり・・・嫌なの!、・・・汚いの!・・・もうやだぁ・・・うわーん!」

・・・お母様が優しく抱きしめてくれました、お風呂に入っていないから2人とも汗臭いです。

「ごめんね、私の可愛いリーシャちゃん、何も出来ないお母様を許して・・・」

「うっく・・・ひっく・・・私、もう痛いのやだ、汚いのも嫌・・・お腹空いたし、苦しいし・・・寒いの・・・死にたい・・・」

「・・・ほらお水、ゆっくり、お薬飲んで・・・」

「ぐすっ・・・苦しいよぅ、・・・お父様・・・お母様・・・助けて・・・お兄ちゃん・・・」




「眠ったか」

「えぇ、あの時の夢を見ていたようです、酷く取り乱して・・・死にたいって・・・、私、あの子が可哀想で、もう見てられなくて」

「あの時、殴ってでも逃がしてやればよかったかな、可愛い子は目を付けられると分かっていたが・・・」

「・・・」

「せめてもの救いは、あの辺境貴族が死んで嫁がなくて良くなった事か、儀式の時に目を付けられなければ・・・悔やしいなぁ」

「あの子のお薬がもう10日分を切りました、眠っていて2日飲んでいなかったから依存症状が・・・それで昔の夢を」

「理由を話して、ホークト騎士団長殿に入手を依頼した、あの薬が平民だけじゃなく貴族にも使われていた事に驚いておられたよ」

「私達は助かったのでしょうか」

「・・・分からん、ローゼリア王国・・・向こうの大陸では首輪を付けた者は重犯罪者だけ、去勢され服も着させてもらえず人間として扱われない、その認識を公に改めてくれればいいが・・・そうでなければ我々はまた虐げられる」

「せめてあの子だけでもどこかに逃げる事は・・・」

「帝国の上の人間がほとんど死んだから、我々を従わせようとする奴らは居なくなった、首輪と顔の刻印を隠して生活すれば・・・他の大陸で暮らせるだろう、だがあの子は薬が無いと生きていけない、供給できる場所か、あれを調合できる薬師を探して・・・となると時間がかかる、騎士団長殿が言うには平民の間でもあの薬の奪い合いが始まったらしい」

「・・・」

「それから・・・この屋敷にローゼリアと帝都を行き来できる魔法陣を設置したいと言われた、せめて娘だけでもローゼリアに逃がせないか交渉するつもりだ、向こうは平和だと聞いている、ローゼリアが約束してくれた食糧供給がなければ屋敷はもう食糧が尽きるし、ここで暮らしていても絶望しかない」













「モルダ博士ぇー、手帳、会議室に忘れてましたよ」

「あぁ、ありがとう、川崎くん」

「ス・カ・リ、です!、博士!」

「・・・スカリくん」

「ごめんなさい、手帳に挟んでたお写真落としちゃって、汚れては無いと思うけど、綺麗な人ですね・・・博士は独身だから・・・もしかして・・・昔の恋人さん?」

「妹だよ・・・」

「妹さん・・・、うそ!、妹さん若いし綺麗!」

「昔の写真だからね、失踪して行方不明・・・生きてるのか死んでるのか・・・」

「・・・あ、ごめんなさい、知らなくて、・・・悪いこと聞いちゃったな」

「いいよ、・・・もう昔の事だからね、・・・そうだ・・・いいことを教えてあげよう・・・、妹が失踪した日の夜、各地で未確認の飛行物体が目撃された、もしかしたら・・・連れ去られたのかもな、・・・こういう話、スカリくんは好きだろ、ふふっ・・・顔に出てるぞ・・・、資料室にも当時の新聞がある、興味があれば調べてみるといい」

「・・・いや、いくら私でも当事者の前でそんな不謹慎な事はしませんよ」

「何にでも興味を持つのは大切だよ、スカリくん、調べてみて、何か手掛かりを探してくれないかね・・・優秀な助手さん」

「・・・はい、今度調べてみますね」





「えーと、全国各地に未確認飛行物体の目撃情報・・・か、私が生まれる前にそんな事があったんだぁ」

「博士の妹さんは・・・、家族には登山に行くと言って出かけて、そのまま行方不明、どこに行くかは聞いてなかったみたいだね、お名前は・・・茂留田・・・莉紗(りさ)さん・・・失踪当時の年齢は20歳・・・」
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