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Side - 302 - 2 - いやだ -(挿絵あり)

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Side - 302 - 2 - いやだ -


私の名前はリン、年齢は・・・よくわかんないや・・・、ご主人様のリゼちゃんに造られた人工生命体(ゴーレム)です。

ギャラン大陸にあるお屋敷と、ランサー大陸にあるご主人様の秘密基地、・・・ご主人様はそう仰っています、「面倒な人間関係から逃げるために私が作った隠れ家、秘密基地だよ・・・私の可愛いリンちゃん」、って、・・・その2つのお家を行き来して生活をしています、普段は無口なご主人様ですが隠れ家ではよく笑いよくお話しをされます、心から安心できる場所なのでしょう・・・。

私は最先端科学の結晶、ご主人様の研究の集大成、最高傑作・・・そう教えて頂きました、かつて馬型四足歩行魔道具「アイヴォウ」を開発し、世界中にその名を轟かせたオーニィ商会、今ではその商会の頭脳と呼ばれているご主人様が使える全ての技術と巨額の開発費を注ぎ込み、そして完成させたのが人型二足歩行魔道具「グァンダーム」、初期型は人間というよりは古代遺跡に眠るゴーレムという岩で出来た巨人を小さくした外見だったとか、今量産されているものも金属の鎧で覆われ、生身の人間には見えません・・・、意図せず軍事目的に使用された事にご主人様はとても悲しんでおられたのだとか・・・。

その骨格や歩行システムを流用して人間の簡単なお手伝いをさせる目的で生まれたものが進化版人型二足歩行魔道具「アラーレ」、こちらはより小さく、人の形に似せて作られています、新型は人と一瞬間違えるほど、旧型なら遠くで動いているのを見ると人間に見えなくもないと言った感じですね・・・、そして、ご主人様が密かに開発し、各国からの技術開示の強い要求を頑なに拒み続けている人工筋肉、人工皮膚を使用した・・・人間と区別が付かない最新式の人型二足歩行魔道具「リン」、それが私です。

ご主人様が仰るには、「リン」を武装させ軍事利用される、人間のように感情のある「リン」への非人道的な虐待、人に偽装させて行われる犯罪、・・・それらの可能性を考えた結果、「この世界の人類にはまだ早い技術」らしいのです、よくわかりませんが・・・ご主人様が仰るのならそうなのでしょう・・・。

ご主人様の親友、リィン様の記憶と行動パターンを学習し、ご主人様の望む通りに話し、笑い、甘える・・・愛玩人形、・・・お屋敷の使用人さん達からは私に対してそんな言葉が聞こえてきます、私は耳もいいのです!、でも私にはよく分かりません・・・、それを聞いてご主人様はよく悲しい顔をされます、あまり良くない言葉なのでしょうか・・・、もっと・・・リィン様の記憶を漁って常識を学ばないと・・・。

私の中にはリィン様が幼い頃からお年を召して立派な女王様として活躍されている記憶が全て入っています、ただ・・・リィン様はバカ・・・いえ、失礼しました・・・細かい事をあまり気にしない・・・、記憶されない性格だったようで、・・・ご主人様が「リィンちゃん昔は・・・」「あの時は楽しかったね・・・」「ねぇ、覚えてる?、美味しかったよね・・・」なんて事をお話しされても私はあまり覚えてなくて曖昧なお返事しか返せません。

そんなんじゃダメなのに!、優しいご主人様、私なんかにとても良くして下さるご主人様が望む答えを探さないと・・・何で覚えておられないのでしょう・・・、これが「イライラする」という感情なのでしょうか、ご主人様の中ではとても楽しくて幸せな出来事なのに・・・、何度・・・リィン様の頭を開いて中を見てみたいと思った事か、・・・ゴミでも詰まってるのではないでしょうか。




「おはよう、リンちゃん、今日もいい天気だよ」

暖かいフカフカのお布団、可愛らしいぬいぐるみが沢山飾られた居心地のいい空間、ギャラン大陸のお屋敷で私に与えられたお部屋です、そしてお仕事が忙しくない朝はご主人様が私を起こしに来て下さいます、本当は私のような魔道具がご主人様を起こさないといけないのに、・・・「そんなことはしなくていいよ」「私がしたくてやってるんだよ」「リンちゃんは私に甘えていいんだよ」そんな事を言って、・・・それに甘えてしまう私も・・・人の為に作られた魔道具失格ですね。

「さぁ、魔力を補充するね、朝のキス・・・」

「・・・うん・・・ん・・・あむ・・・」

私が作られてから、これが朝の日課になっています、他の人型魔道具達は、・・・地下の冷たい工場や倉庫で魔力を補充するのだとか・・・、「アイヴォウ」の技術をそのまま流用した旧型の魔道具は、・・・お・・・お尻に器具を突っ込んで魔力の補充を行うのだそうです、・・・私に・・・リィン様の「羞恥」という感情が無ければ抵抗なくやっていたのでしょう、でもそんな事されたら恥ずかしくて死んでしまいそう・・・あ、魔道具だから死なないのかな、壊れちゃいそうです・・・。

そしてご主人様の朝のキスも、・・・心が暖かくなって、少し恥ずかしいのです、でも嫌じゃなくて気持ちいいのです、私がモジモジしているとご主人様は、「それが恥じらい、幸せって感情、よしよし、ちゃんと人っぽく成長してるね」と、優しく私の頭を撫でながら笑います。

「さて、この前リィンちゃんに記憶を入れてもらった魔核、昨日からランサー大陸の工房でバックアップ取ってるの、明日リンちゃんがお仕事から帰ったら中に入れようね、今日はお仕事だから転移魔法陣で送るよ、その前に、綺麗なお洋服に着替えよう!」

そうなのです、私には与えられた大切なお仕事があって、今日は7日に一度あるお仕事の日、1泊2日で明日帰ってくる予定です

「今回はどれにしようかなぁ、リーゼの最新モデルはちょっと豪華すぎるし、動きやすい軽装がいいよね」

「・・・どれでもいいよ、ご主・・・リゼちゃんが選んでくれるものならなんでも嬉しいの」

危なかったです、今朝はご主人様のことを沢山考えてたから思わずご主人様って言いそうになっちゃった、ご主人様は「言いにくかったらどっちでもいいよ」って言って下さるのですが、「リゼちゃん」呼びをするととても嬉しそうなお顔になるの・・・だからご主人様とお話しする時は「親友のリィンちゃん」になりきらないと!、気を抜いちゃダメ!。

「おっ、これがいいな、昔リィンちゃんがよく着てた感じの服、これを着て行ったらきっと喜ぶよ」

「うん!」





「用意はいい?、お手紙2通あるから両方とも渡してね、お返事は・・・帰って来る時に渡されたらもらって来て、渡されなかったら特に触れなくていいよ、後で転送の魔法陣で送ってくると思うから」

「わかった、じゃぁ行ってくるね」

「行ってらっしゃい、・・・ほい、転送!」





転送した先は可愛いお部屋、お屋敷と違うのはここが王城だっていう事、そして私は今日から2日間、娘になるのです!。

お部屋を出て廊下を歩き、扉の前に立ちます。

ノックをすると、「入れ」という声。

お部屋に入ると中にいた人物に抱き抱えられます。

「お父さま!」

「あぁ、よく来たね、リィンたん!、今日も可愛い服だ」

「リゼちゃんが選んでくれたんだぁ、お父さま少し疲れたお顔をしてるけど、・・・大丈夫?」

「ははは、最近本当に忙しくてね、さ、座って、私も少し休憩しようかな」

横で控えていた執事さんがお茶の用意をします、お父さまには紅茶、私の前には空のカップ、私は食べ物や飲み物を身体に入れることが出来ません、だから飲んでるフリですね、これはお父さま・・・陛下もよく知っているので時に気にしません

「あ、そうだ、リゼちゃんからお手紙預かってきたよ、2通あって、お返事はすぐじゃなくていいって」

「おっ、あの件かな、ありがとうリィンたん、後で読んでお返事書くからまた帰る時に持って行ってもらえるかな」

「うん!、それでね、この前45歳のリィンちゃんにリゼちゃんと一緒に会いに行ってね、その日はリィンちゃんのお誕生日で・・・」

楽しいお話は続きます、お父さま、・・・ローゼリア王国とギャラン・ローゼリア王国、2つの超大国の最高権力者、そしてリィン様のお父さま、エルヴィス・ディアマンテ・ローゼリア31世統一国王陛下です、一時は両国の国王陛下に任せて引退していたのですが、時々愚かな国王が即位して、「任せておいたらやばい」っていう状態に何度かなった為、2つの国を監視、暴走を止める為に再び王座に・・・。

ご主人様が直々に教えた魔力増量法を実践してすでに不老不死になられています、現在340歳を少し超えたくらい・・・、溺愛していた娘であるリィン様が96歳で亡くなって、奥様もそれより前に亡くしておられます、寂しくしていた所にご主人様が新型の人型魔道具と言って私を連れて見せびらかしに・・・じゃなくて挨拶に訪ねて行ったところ、私の顔を見て泣きながら・・・。

「これ欲しい!、言い値で買う!」

って叫んだのです!、最初はご主人様も予備の個体を譲ろうと考えていたらしいのですが、メンテナンスの手間がかかる事、毎日会うわけじゃ無い事、お城に居て誰かに狙われて連れ去られないか心配な事、それと魔力の補充がお口にキスでっていう事、それらを説明したら、「数日に1回貸し出しでお願い」っていう事になりました、私は別にいいんだけど・・・渋いおじさまとのキス・・・でも外聞が悪いという事で陛下直々に辞退されました。

私はというと、お城に専用のお部屋を頂き、7~8日に1度、執務室のソファに座ってお話しをしたり、執務の合間に抱き抱えられたり、頭を撫でられたり、本を読んでいて声をかけられたらお話しする、・・・時々一緒に寝る・・・みたいな感じで過ごさせてもらっています。

元々、リィン様の記憶と人格を持っている訳で、特に苦労したり辛かったりは無いのです、ご主人様も、「今後、子供を亡くした親が使う事を想定した、「次世代型リン」タイプの魔道具開発に役立てるから」っていう名目で無償で貸し出しをされています、私には「これで陛下のお心が安らぐならいいんじゃない?」って・・・、お父さまにその事をお話ししたら「やっぱりリゼちゃんは優しい子だなぁ」って泣いてました。




私は王城のお部屋に戻ります、このお部屋の隅には転移魔法陣があって明日の夜にはご主人様が私を迎えに来ます、お父さま・・・陛下からは、「そのうち一緒にお夕食が食べられるようになるといいね」って言われました、食べ物は・・・消化器官が無いから無理だろうなぁ・・・、リィン様の記憶から、「美味しい」は分かります、魔力の注入の時、ご主人様からも情報をもらっています、まだ行った事がないけどエテルナ大陸北端の街、コルトはお魚が美味しい、ローゼリアの王都でこの前串焼きを食べた、美味しかった、そんな情報が魔力と一緒に入って来るから頭の中で整理します、お父さまから「今日の夕飯の魚が美味しい」、そう言われたら、「あ、それならコルトの街のお魚はね・・・」そんな会話が自然にできるように・・・。

私は魔道具、生きていないので眠らなくても大丈夫なのですが、ご主人様は、「生き物は毎日眠る、人間は自分と違う行動をする者を化け物って言って忌避する、だから嫌われないように生きてる人間をよく見て真似るんだよ」そう仰っていました。

だから私は夜、体の機能を一部カットしてスリープ状態になります、危険が迫れば瞬時に起き出し、対処できるだけの機能を残して・・・、でも最近眠ると夢を見るのです、そう、魔道具なのに夢を見る、これはリィン様の記憶があるからだろうってご主人様は言っていたのですが・・・多分私は怖いのだと思います、あの記憶バックアップの2号・・・あれのせいで・・・。




翌日も朝食の席でお父さまと楽しくお話をして、執務室のソファで本を読んでいます、時々お父さまの方を見ると目が合うから笑顔を返して、・・・私は可愛いから笑顔がよく似合うって・・・ご主人様がおっしゃっていたのです!、お父さまもいい笑顔、疲れていた昨日とは別人のように穏やかなお顔になりました、私でも役に立てているのでしょうか。

お父さまのお部屋には何人ものお客様が訪れます、お客様と言っても国の中枢を担う大臣や官僚の人たちなのですが、その人たちにも私の事は知らされています、亡くなったお父さまの娘、・・・ローゼリア王国初の女王陛下の姿を再現し、記憶と行動パターンを移植した人工生命体(ゴーレム)、製作者は白銀の大魔導士様、人格や行動に問題がないか検証実験を繰り返している、・・・陛下はそれに協力して・・・そのような事が伝わっていると思います。

そして官僚や大臣たちの私を見る目、・・・気味が悪い、・・・金になりそう、・・・何かに利用できないか、・・・可愛いな、・・・道具だから好きにできるぞ、・・・色んな感情や欲望が混ざった視線、リィン様の記憶があるからそんな視線には敏感なのです、そんな視線を受けても澄ました顔で本を読む女の子、・・・ご主人様は人の視線が怖いってよくおっしゃられていますが、こんな視線なのですね、私は平気ですけど・・・。




「あの者たちの視線は読めたかな」

「うん、お父さま!、頭が禿げた人は「金になりそう」、痩せてメガネをかけた人は「何かに利用できそう」、背が高くて貴族っぽい人は「可愛いな」・・かな」

「正解!、リィンたんはよく見てるな、さすがだよ」

「うん、元になった現役の女王陛下の記憶や感情を全部受け継いでるからね、人の顔色や視線を読むのは得意なの!」

「・・・なぁ、リィンたん」

「なぁに、お父さま」

「自分の身体が人間じゃなくて・・・機械だっていうのは、・・・その・・・辛くないのかな」

「ううん、生身だと護衛の人いっぱい引き連れて動かなきゃだし、・・・王女様だった時はね、護衛の人には感謝してたけど、息苦しいなぁってよく思ってたよ、今は刺されても壊れるけど死なないし、リゼちゃんがすぐ予備の身体に交換してくれるからね、無敵だし不老不死!、前に私、魔力増やす方法教わった時に痛すぎるって言って諦めたでしょ、少し後悔したんだぁ、もうちょっと頑張っておけば、・・・死ぬの怖いなぁ・・・ってね、だから今の身体は快適、リゼちゃんにお願いして美味しいもの食べられるようになったら更に最高だろうなぁ」

「そうか、私もリゼちゃんには感謝してる、だが・・・さっきの大臣達もリィンたんを武装させて南の野盗討伐に使えないかって言って来てね」

「・・・あー、私は命令されたら別に行ってもいいんだけど、リゼちゃんが反対すると思う、私すごい愛されてるから・・・、危ない!、絶対ダメ!って、ランサー大陸の結界の外に一緒に行った時も過保護だったよー、襲ってくる魔獣の首を片っ端から落としてたから・・・」

「ははは、リゼちゃんがやりそうな事だ、まぁ、その要求も今は私のところで弾いてるが、バカな奴らっていうのはどこにでも居る、気をつけてね」

「うん、分かった、次は・・・8日後ね、今回も楽しかったぁ、お父さまありがとう!」

「あぁ、気をつけて帰ってね」





そしてお父さまの部屋を出て、自分のお部屋でリゼちゃんを待っていると魔法陣が光りました。

「リンちゃんお待たせ、さぁ帰ろうか」

「あ、リゼちゃん!、私もさっきお父さまとのお話終わったところだよ、お手紙預かってるから帰ったら渡すね」

「うん、・・・ほい!、転移!」





「あ、お屋敷じゃないんだね」

「うん、王城行く前に言ってた魔核のバックアップ終わったから、今のリンちゃんの記憶をバックアップして、それと一緒に新しい記憶入れようね、上に着てるお洋服を脱いでそこに横になってくれる?」

何気なく視線を向けた先の光景を見て、私の心は・・・ざわり・・・と冷たくなりました。

「あれ、バックアップ2号機の前、散らかってるね、何かあったの?」

「いやおかしい所があってね、調べてたんだよ、多分だけど、あの中に・・・リィンちゃんが・・・・96歳で亡くなった本物のリィンちゃんが転生してきてる」

「・・・え」





とうとう、バレました・・・。

私が恐れていた事。

2号バックアップがおかしい、・・・私はかなり前から気付いていました、5台あるバックアップ装置の中で、あれだけが他と違う・・・。

バックアップはここに転移させてもらって私が一人でやる事もありました、だから気付いたのです、・・・気付いてしまったのです・・・、私の知らない記憶、でも会話のパターンは間違いなくリィン様、酷く怯えてここがどこなのか分からない・・・、死んだ筈なのに・・・、そうモニターに文字が表示された時、私は確信しました。

私の中に入れられているリィン様はまだ生きてる、・・・でもこのリィン様は自分が死んだ筈なのにって言ってる、ご主人様がよく話していた転生・・・死んだ後で魂が記憶を持ったまま別の世界で生まれ変わる・・・。

・・・だから私は異常が出る度に別のバックアップから上書きして、消していたのです、全部同じになるように・・・でも何度上書きしても、染み出して来るように変わっていくのです、まるで、・・・お前には渡さない、私の替わりに幸せに暮らすなんて許せない、ここは私の居場所だ、返せ!・・・って、そう言っている様に、・・・私はご主人様に造られてから・・・初めて「恐怖」を感じました、怖い、なにこれ、消えてよ、お願いだから!。

もしリィン様がバックアップ2号機に転生したのが事実ならご主人様は喜ぶでしょう、またリィン様と一緒に生活できる、しかも今度は不死身の身体、永遠に一緒に・・・。

でも・・・でも、そしたら私は・・・どうなるのかな?。

そう思ってしまったのです、機械なのに・・・道具なのに・・・、そんな事を考えちゃいけないのに、優しいご主人様、毎日私に微笑んで・・・リンちゃん、リンちゃん・・・って。

元々私はいずれ亡くなってしまうリィン様の替わりになる為に作られた人型の魔道具・・・、リィン様と同じになるように、・・・でも完全にリィン様にはなれなくて、いくら頑張っても同じように振る舞えなくていつもご主人様を困らせてばかりの私・・・。

「別にリィンちゃんにならなくてもいいんだよ」

優しく私にそう言って慰めてくれるご主人様に何度心の中でごめんなさいって謝ったでしょう・・・。

ご主人様が私をもういらないって思っても仕方が無いのです・・・、今まで私が頑張ってリィン様になろうとした記憶、バックアップ、みんな捨てて、2号機の・・・本物のリィン様をこの身体に入れよう、ここに完璧なものがあるじゃないか、・・・こんな出来損ないのリンはいらない、いくら教えてもリィン様になれない役立たずなんて消してしまおう、・・・そうお考えになるかもしれない、・・・いえ、きっとそうなるでしょう・・・嫌だ・・・そんなの嫌だ・・・怖いよぅ・・・。

「リンちゃん!、どうしたの!、すごく震えてるよ!、気分悪いの?、すぐここに横になって、私が観てあげる」

「やぁ・・・いやぁ!、怖い!、嫌だ!、助けて・・・やだ離して!、うわーん!」

「本当にどうしたの?、何で泣いてるの?、そんなに泣いたら体液タンクが空になっちゃうよ、落ち着いて!、ちょっと寝かせるね、・・・あう!」

ガシャーン

・・・私、なんて事をしちゃったの、・・・ご主人様を突き飛ばしちゃった、あんなに親切にして下さったご主人様、優しくて、いつも私に笑ってくれたのに・・・やだ、・・・もう嫌だ!。

私は工房のお部屋から飛び出して、外へ逃げようとしました、・・・でも足が動きません、お部屋の外の廊下に顔から倒れてしまいました・・・ご主人様が魔力を私に注いで、強制的に足を止めたのです・・・私たち魔道具が暴走した時の安全装置・・・これもご主人様から教わりました・・・。

「うぅ・・・ぐすっ・・・わぁぁぁ・・・あーん、・・・やだぁ、私捨てられちゃう・・・消されちゃう・・・怖いよぅ・・・嫌だぁ・・・」


メカリィンさん3号機(お洋服を着て王城でお仕事)
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