〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜

柚亜紫翼

文字の大きさ
上 下
35 / 222

Side - 15 - 10 - ぼくのはなしをきいてくれ -

しおりを挟む
Side - 15 - 10 - ぼくのはなしをきいてくれ -

こんにちは田中太郎と申します。

理世たんが魔法陣から出てきて7日が経ったでござる。

今日もまた魔法陣から出てきた理世たんはこちらの水質検査の結果を見て。

「同じかぁ・・・、まぁ良かったんだろうけど、ちょっとつまんないなぁ・・・」

などと不穏なことを呟いた後、今は拙者がおすすめしたアニメをネットフリフリで見ているでござる。

理世たんはあれから異世界の水を用意して、家族旅行で行った事のある山の展望台に水の入った器を置いてきたでござる。

そして拙者は言われた通り水質検査を専門にやっている会社を調べてその水を検査するよう依頼したのでござるが・・・割とあっさりと引き受けてくれたでござるな、結果は特に異常のない普通の水、不純物も無いそうでござった、向こうの水はこちらと同じようでござるな、ただ、水が入っていた器についてしつこく聞かれたでござるが・・・。

それにしても検査会社の人には悪いことをしたでござる、一歩間違えたら髪の毛が全部抜けたり宇宙生物が「キシャー!」ってなるところでござったのに・・・、この秘密は拙者が墓場まで持って行くでござるよ、すまぬ担当の鈴木氏!。

ネットフリフリを見終わった娘が向こうで、「あー、やばいー、おもしろーい!」って叫んでるでござる、聞くところによると向こうの世界は娯楽が本か演劇くらいしか無いそうで、ゲーム好きの理世たんには退屈だったようでござる。

「ところでお父さん」

「なんでござろう」

「次はいよいよ有機物だねー、何が起きるかなぁー」

娘が危ない科学者みたいな恐ろしいことを満面の笑顔で言ってきたでござる。

「今度は穀物や果物みたいなのを3種類くらい、あと普通の人間の血と、化け物の血を送ろうと思うの、どこかにDNA検査や血液分析してくれるところ知らないかなぁ、やばい結果が出ても他に漏らさないところが望ましい」

また無茶なことを言ってきたでござるな・・・。

「あー、その前に地球の食べ物を送ってもらおうかなぁ、まずはリンゴかオレンジみたいなのある?、それをアルコールで拭いて消毒してもらって、魔法陣の上に置いて欲しい」

「それは理世たんの住んでる世界が危ないのではござらんか?」

「もういい加減面倒くさくなったんだよねぇ、地球の食べ物をこっちの無人島にでも転送して、そこでまず動物に食べてもらうでしょ、5日くらい様子見て、次は奴隷借りてきてそいつに食べさせる、死ななかったらオッケーって感じかな」

今度は人権団体が大騒ぎしそうなことを言ってきたでござる!。

「向こうには奴隷もいるのでござるか?」

「あー、居るねー、でも子供の頃からやっちゃダメって教わってるのに凶悪犯罪4回もやらかした連中だだから全然問題ないよ、3回までは許してもらってたし、次やったら奴隷になるの分かっててまた人殺しや強盗した奴らだから」

「・・・なら問題ないでござるな」

あれ。拙者も娘に影響されてきてるでござるかな。

「親父!、ちょっと」

隣の部屋から顔を出して息子の龍之介が呼んでるでござる、今の理世たんとの話を聞いていたようでござるが・・・何でござろうか。

娘は座敷で、「龍之介ー、私に内緒で何喋ってるのー」とか叫んでるでござるな。

「親父、血液検査の件はちょっと心当たりがあるから2~3日待ってもらってくれ、そのかわり交換条件でお姉ちゃんには・・・・」

「・・・それはいい考えでござるな」

拙者は娘のいる座敷に戻って言ったでござる。

「血液検査の件、龍之介が心当たりがあるらしいでござるよ」





初めまして、僕の名前は田中龍之介。

いつも姉がお世話になってるね、ここからは僕が親父に代わって君たちにお話しするよ。

お姉ちゃんと話した翌日、僕はお爺ちゃんのジャズ喫茶に集まってもらったケイオスDGのメンバー3人に言った。

「みんな心配かけてすまなかった、姉の葬式にも来て手伝ってくれてありがとう、今日は少し話があるんだ、急に集まってもらって悪かったね」

アイスコーヒーを飲みながらベースの犬飼苺が言った。

「本当になんて言ったらいいか・・・龍之介さん大丈夫?」

クリームソーダを飲みながらドラムの犬飼十真斗が言った。

「龍之介君、あまり面識はなかったがお姉さんのこと気の毒だったな、あんな酷い殺され方を・・・・くそ!・・・すまん、また涙が!」

アイスを食いながら幼馴染でギターの山田敬雄が言った。

「・・・理世姉ちゃん・・・・うぉぉぉ!」


そんな3人を見ながら僕はできる限りの笑顔で言った。

「みんな驚かないで聞いてくれ、お姉ちゃんが生まれ変わって帰ってきたんだよ!」

犬飼苺がコーヒーを鼻から吹き出して咽せた。

「ごふぅ!、げふっ!、えふっ!、・・・龍之介さん?」

犬飼十真斗が口に含んだクリームソーダをだばぁーって垂らして呆然としている。

「・・・」

アイスを食うのを止めた山田敬雄が優しい顔をして言った。

「・・・龍ちゃん、辛いのは分かるが・・・宗教だけはダメだ、やめておけ、親友として俺にできることがあれば何でも言ってくれ」


ちょっと待て、・・・何か誤解されてるようだ。

「いや違うんだ、異世界で生まれ変わって魔法陣を使ってうちの座敷に・・・」

犬飼十真斗が立ち上がって言った。

「苺、タクシー呼べ!、金田の叔父貴の病院に連れて行く!」

「龍之介君!、俺の親戚に腕のいい精神科医が居る、今から行こう!、何も心配いらない、俺に任せておけ、酷くなる前に気付いて良かった、さぁ行こう!」

山田敬雄が逃げられないように僕の腕を掴んで言った。

「すまん!、龍ちゃん!、気付いてやれなかった!、俺は親友失格だ!、お前・・・そんなになるまで・・・・畜生ぉ!」


「いや待て!、違うんだ!、僕はおかしくなってない!」

犬飼十真斗が僕の肩に手を当てて優しく言った。

「みんな言うんだよ、俺はおかしくないってね、でも落ち着いて聞いてくれ、こういうのは早ければ早いほどいいんだ、病院に行って俺の叔父貴に悩んでること全部話せば少しは楽になるだろう」


「頼む!、僕の話をちゃんと聞いてくれ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...