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Side - 95 - 1 - ついとうしき -
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Side - 95 - 1 - ついとうしき -
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン95歳でございます。
ここは王城、謁見の間、奥の広間も開放されてこの国の主要な貴族家当主が集まっているのです。
今日は先代の女王陛下、この国初の女王だったリィンフェルド・フェリス・ローゼリア 第32代ローゼリア王国国家君主の追悼式が開かれるのです。
彼女が亡くなって200日目のこの日から2日間、国全体が休日となり今日は追悼式典がお城で行われます。
私は、第33代国王陛下・・・・リィンちゃんの息子である現国王陛下が開催の宣言をしているのを魔法騎士団の制服を着てチベットスナギツネみたいな表情をして見ていました。
本当は来たくなかったのですが、名誉近衛魔法騎士団員として騎士団に所属している事もあり、95歳のいい歳をして子供みたいに泣いて嫌がる事もできず、この場にいるのです。
リィンちゃんは200日前、眠るように息を引き取ったそうです、「そうです」と言うのは亡くなったのを知らされたのは2日後、知らされたというのも正確ではないのです、国から国民に発表という形で新聞に掲載されているのを見て初めて知ったのです。
以前から具合が悪く、私も転移して会いに来るのは遠慮してくれと言われていたためここしばらくお見舞いに行っていませんでした、「何で?、私聞いてない!」「王族の人達も私が親友だって知ってる筈なのに!」そう思い、王城に駆けつけたのですが、女王崩御の非常事態なのでと言われ中に入れて貰えません。
魔法騎士団員としてなら・・・と思い、騎士団本部にも顔を出したのですがリィンちゃんの遺体に会うことができないのです、泣きながら何度もお願いしたのに・・・この時点で私の王国への不信感は頂点に達したのです。
リィンちゃんの葬儀の後、王太子殿下・・・リィンちゃんの息子でもう少ししたら国王陛下ですね・・・に謁見の間に呼ばれ、大勢の大臣や高官達がいる前で、知らせなかったのは母・・・リィンちゃんの希望だと聞かされました。
そして私に向かって名誉魔法騎士団員ではなく近衛魔法騎士として自分に仕えろ、逆らう事は許さないと言われたのです、・・・私はリィンちゃんだけの魔法騎士だったのに!、その時の私の表情はどんなものだったでしょう、さぞ恐ろしかったと思います、魔力も怒りでダダ漏れしていたのです。
普通なら臣下である私が国王陛下・・・まだ王太子殿下でしたね・・・の命令を拒否することは出来ないのですが、私はリィンちゃんの父親、前統一国王陛下から頂いた、「王命の拒否権」を行使して城を後にしました、後で聞いた話だと魔力がダダ漏れだったからか、私が歩いた後は王城の壁に亀裂が沢山入ってたそうなのです。
・・・あの子、何を考えているのでしょう、昔はよく遊んであげたし、あんなに高圧的じゃなかったのに・・・、そんな理不尽な国への怒りとリィンちゃんが亡くなった悲しみで頭がぐちゃぐちゃな状態でお家に引き篭もりました、5日くらい泣き続けたのです。
それからしばらく経ってまた陛下から呼び出されました、ここで大人気なくまた拒否権を行使しても波風を立ててしまうのです、私はそこまで子供じゃないので仕方なくお城に行くと、王族のプライベートなお部屋に通され、そこに居た国王陛下や王妃様、王子様達から謝罪されました。
母親であるリィンちゃんに自分が弱って亡くなる所を私に見せたくないから隠して欲しいと頼まれていたのは本当であり、亡くなってすぐ使いの者を出したが誰かに邪魔されて伝わらなかった、信じて欲しいという事。
大きな力を持っている私が(いや持ってないと思うのです!)国の為に貢献していたのは親友であった女王陛下が居たからで、その鎖が切れたら国に牙を剥くのではないかと一部の貴族が心配している事(そんなことするわけないのです!)。
化け物には鎖を付けろと宰相や高官達が煩く、それなら近衛騎士として自分の近くに置いておけば文句は出ないだろうと考えた事、昔から私のことは可愛いと思っており、側に置いて時々頭を撫でたり抱きしめたりしたいとちょっとだけ思ってしまった、リゼお姉さまごめんなさい!、という事(いやそこまで言わなくてもいいのです!)。
王命の拒否権を私が持っていることを知らされておらず、私が激怒してそれを行使するとは思わなかった事(リィンちゃんうっかり言い忘れていたのでしょう、ちゃんと知らせておこうよ・・・)。
自分をはじめとする王族は私に対して全く害意がない事、それどころか母の親友でいてくれて感謝している事、そんな事を説明されました。
宰相や高官の言いなりではないですか、この子、・・・もういい歳の老人ですが・・・リィンちゃんに似てポンコツな上に昔から気が弱いというか、周りの言いなりだったような気がしますが、こんなのが王様でこれから大丈夫なのでしょうか?。
それから、私に対する悪意や害意は今の宰相や一部の高官が持っているもので、私に逆らうと恐ろしいということを彼らに見せつけてほしい、そしたら誰も私を害する気を起こさなくなるだろうとも言われたのです。
いやそいつら何とかしようよ、あなた王様だよね!、って心の中で叫んだのです。
ちょうどリィンちゃんが亡くなって200日目に追悼式典を開催するので派手に恐ろしい魔法をブチかまして欲しい、やっちゃえリゼお姉様!、とも・・・、このクソガキ、知らない間にいい性格になりましたね・・・。
朝から続いていた追悼式典は日が暮れてからも続き、最後の最後、リィンちゃんの親友である私が彼女を追悼して大魔法を放つ時が来ました、王族が新年の謁見をする王城に面した広場には沢山の王国市民の人達が集まって来ています。
うぅ・・緊張するのです!、あのクソガキ・・・じゃなかった国王陛下から頼まれたド派手な魔法陣は私が50日かかって作り上げた傑作なのです!、あのガキ・・・いや国王陛下から頼まれたとは言え、リィンちゃんの魂を送る為に私は一つ一つ心を込めて細部に渡ってこだわり抜き、一切の妥協をしないで完成させたのです!。
天国に居るリィンちゃんに、「今まで楽しかったよ、こんな私の親友でいてくれてありがとう!」って伝えたいのです!。
魔導ラディーオから王国すべての国民に向けてこの様子が実況中継されています、実況はリィンちゃんが生前生放送番組をやっていた王城に作られたスタジオからの生配信です。
「それでは王国民の皆様、最後にリィンフェルド女王陛下の親友である白銀の大魔導師様による追悼魔法をご覧ください」
「リィンちゃん・・・・・・」
私は魔法陣を構築します、魔力がどんどん無くなる感覚、これから誰もやった事がない規模の大魔法陣を起動させるのです!。
「ありがとう、・・・さようなら」
私は魔法陣を起動しました、王国の紋章をモチーフにした美しい無数の魔法陣が夜空いっぱいに広がります、私の設計が間違っていないのなら、この白銀の魔法陣はローゼリア王国全土、そして遠く離れたギャラン・ローゼリア王国の領土全ての空を覆っているはずなのです。
泣かないように下唇を噛んでいたのですが、・・・片方しか出ていない私の目から涙が一筋流れました。
魔法陣からサラサラと白く輝く光の粒が王国全土に降り注ぎ、辺りが真昼のように明るくなります、これは理世だった頃に見た仕掛け花火、ナイアガラを真似て私がアレンジしたオリジナル魔法なのです、中には大聖女様の治癒魔法を真似た魔法陣が組み込まれています、擦り傷の痛みが和らぎ、肩こりや腰痛くらいなら楽になるでしょう・・・。
「ぐっ!・・・、い・・・痛いのです!、・・・」
魔力切れが近いのか、私の身体の中で呪いが暴れ始めます、身体の中を沢山の虫が這い回るような気持ちの悪い感覚にはまだ慣れないのです、この辺で終わりましょうか・・・。
私は魔法騎士団の正装であるローブを纏い、王城のバルコニーに集まった王国民の皆様の前で魔法を披露しているのです、無様に倒れるわけにはいかないのです。
私は大歓声の中、バルコニーに背を向けて王城に用意されている自室にふらつく足取りで向かいました。
「・・・っていう事が昨日あったのです!」
王城のお部屋でお菓子をもきゅもきゅ食べながら私は言いました。
テーブルの上には日本から持ってきた私のタブレット端末、昨日の追悼大魔法の様子が映し出されています、Bppleの最新機種だから画質がとてもいいのです!。
大魔法の前に3脚を使ってデジカメ2台を設置してるのを護衛の騎士さん達に不思議な顔をして見られていたのですが撮影していて良かったのです、とても綺麗に撮れているのです!。
「へー、綺麗だねぇ、96歳かぁ、私めっちゃ長生きしたじゃん、お飾りの女王にしては上出来だぁ」
同じようにお菓子を食べながらベッドに寝転がったリィンちゃんが笑いながら私に言いました。
はい、私は今時空転移魔法陣を使って21歳のリィンちゃんのお部屋に居るのです。
リィンちゃんが亡くなってすぐ、寂しくて悲しくて、もう自分がおかしくなりそうだったので今までこの世界では使ってなかった時空転移魔法を使って21歳のリィンちゃんに会いに行ったのです。
どうやら日本に戻ってる時間軸とこっちの時間軸は別扱いになってるようなのです、何で21歳なのかというとリィンちゃんが20歳、私が19歳の時に大きな歴史的な事件があって、できればそれに影響を与えたくなかったのです。
初めて転移して私が現れた時、リィンちゃんは驚いていました、ちょっと前まで遊びに来ていた私がまた自分のお部屋に転移してきたのだから、しかも本物っぽい魔法騎士団の制服を着て、涙と鼻水を流しながら・・・。
「未来でリィンちゃんが亡くなって寂しくて会いにきた」、って軽く説明すると優しく微笑んで私を抱きしめてくれました、昔のリィンちゃんの懐かしい匂いがして私、声を出してで泣いちゃいました・・・。
歴史が変わっちゃうからとリィンちゃんはあまり私に質問しません、もちろん亡くなる年齢も今まで言っていませんでした、老衰で亡くなるまで長生きしたよっていうのは喋ったのですが・・・。
私も昔みたいに雑談したりお話しして笑ったり、楽しい時間を過ごしたのです。
それで何度か会いに行ってるうちにリィンちゃんが亡くなって200日後に開かれた昨日の追悼式があったのです、私が追悼式の最後に超大規模魔法を披露するって言ったら、リィンちゃんが是非見たいと言うのでその時の様子を高画質撮影して今一緒に見ているのです!。
「でも自分の追悼式を見るのってすごいよねー」
「あはは、私は日本で自分のお葬式の写真や遺骨も見たけどね、あ、追悼魔法だけじゃなくて王城での追悼式全編隠し撮りしてるからそれもあとで見ようね、昨日疲れてたけどリィンちゃんに早く見てもらいたくて徹夜で編集したんだぁ」
「私みたいなバカでもお飾りの女王ちゃんとできたんだね・・・」
そうなのです、リィンちゃんは昨年20歳の時このローゼリア王国初の女王として即位したのです!、ちなみに元国王陛下は新しくできたギャラン・ローゼリア王国とこの国の統一国王様っていう扱いで2大国の最高権力者になったのです。
「賢くて立派な女王様って国民に慕われてたよ、リィンちゃんポンコツなの誤魔化すの凄い上手いからみんな騙されてたね、周りの人達も「女王陛下がポンコツなのは国の最高機密」みたいになってたし」
「96歳かぁ、それまで女王様やらなきゃいけないなんて身体キツくない?」
「そんなこと言うなら生きてるけど退位しますって次に譲るか、頑張って不老不死になれば良かったのに、私が一生懸命やり方説明したのに、「痛いの嫌!」、「もう無理苦しすぎる死にたい勘弁して」って泣きながら途中でやめちゃったでしょ、命かかってるんだから頑張ればいいのに根性ないなぁ」
「いやあんなの無理だから!、やり方聞いても普通できないよ、あなたのご両親やおじさん達が異常なだけ!、絶対無理!、あんなに痛いなら不老不死にならなくていいもん!、死んだほうがマシ!」
「・・・私が寂しいんだよ、リィンちゃんとずっと一緒にいたかったのに・・・うぅ・・・ぐすっ・・・」
「だから何度も私以外にお友達作れって言ったのに、・・・え、ちょっと待って!、・・・あなたまさか90歳超えてお友達誰もいないんじゃないでしょうね?」
「・・・・い・・・・いるもん・・・・」
「どこの誰?、正直に!」
「・・・ごめんなさい嘘でしたぁ、・・・身内以外だと・・・リィンちゃんしか居ません・・・ぐすっ・・ふぇぇ・・・」
「ほらほら泣かないで、って、うわ汚なっ鼻水垂れてるし!」
リィンちゃんとの楽しい夜はまた今日も更けていくのです・・・・。
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン95歳でございます。
ここは王城、謁見の間、奥の広間も開放されてこの国の主要な貴族家当主が集まっているのです。
今日は先代の女王陛下、この国初の女王だったリィンフェルド・フェリス・ローゼリア 第32代ローゼリア王国国家君主の追悼式が開かれるのです。
彼女が亡くなって200日目のこの日から2日間、国全体が休日となり今日は追悼式典がお城で行われます。
私は、第33代国王陛下・・・・リィンちゃんの息子である現国王陛下が開催の宣言をしているのを魔法騎士団の制服を着てチベットスナギツネみたいな表情をして見ていました。
本当は来たくなかったのですが、名誉近衛魔法騎士団員として騎士団に所属している事もあり、95歳のいい歳をして子供みたいに泣いて嫌がる事もできず、この場にいるのです。
リィンちゃんは200日前、眠るように息を引き取ったそうです、「そうです」と言うのは亡くなったのを知らされたのは2日後、知らされたというのも正確ではないのです、国から国民に発表という形で新聞に掲載されているのを見て初めて知ったのです。
以前から具合が悪く、私も転移して会いに来るのは遠慮してくれと言われていたためここしばらくお見舞いに行っていませんでした、「何で?、私聞いてない!」「王族の人達も私が親友だって知ってる筈なのに!」そう思い、王城に駆けつけたのですが、女王崩御の非常事態なのでと言われ中に入れて貰えません。
魔法騎士団員としてなら・・・と思い、騎士団本部にも顔を出したのですがリィンちゃんの遺体に会うことができないのです、泣きながら何度もお願いしたのに・・・この時点で私の王国への不信感は頂点に達したのです。
リィンちゃんの葬儀の後、王太子殿下・・・リィンちゃんの息子でもう少ししたら国王陛下ですね・・・に謁見の間に呼ばれ、大勢の大臣や高官達がいる前で、知らせなかったのは母・・・リィンちゃんの希望だと聞かされました。
そして私に向かって名誉魔法騎士団員ではなく近衛魔法騎士として自分に仕えろ、逆らう事は許さないと言われたのです、・・・私はリィンちゃんだけの魔法騎士だったのに!、その時の私の表情はどんなものだったでしょう、さぞ恐ろしかったと思います、魔力も怒りでダダ漏れしていたのです。
普通なら臣下である私が国王陛下・・・まだ王太子殿下でしたね・・・の命令を拒否することは出来ないのですが、私はリィンちゃんの父親、前統一国王陛下から頂いた、「王命の拒否権」を行使して城を後にしました、後で聞いた話だと魔力がダダ漏れだったからか、私が歩いた後は王城の壁に亀裂が沢山入ってたそうなのです。
・・・あの子、何を考えているのでしょう、昔はよく遊んであげたし、あんなに高圧的じゃなかったのに・・・、そんな理不尽な国への怒りとリィンちゃんが亡くなった悲しみで頭がぐちゃぐちゃな状態でお家に引き篭もりました、5日くらい泣き続けたのです。
それからしばらく経ってまた陛下から呼び出されました、ここで大人気なくまた拒否権を行使しても波風を立ててしまうのです、私はそこまで子供じゃないので仕方なくお城に行くと、王族のプライベートなお部屋に通され、そこに居た国王陛下や王妃様、王子様達から謝罪されました。
母親であるリィンちゃんに自分が弱って亡くなる所を私に見せたくないから隠して欲しいと頼まれていたのは本当であり、亡くなってすぐ使いの者を出したが誰かに邪魔されて伝わらなかった、信じて欲しいという事。
大きな力を持っている私が(いや持ってないと思うのです!)国の為に貢献していたのは親友であった女王陛下が居たからで、その鎖が切れたら国に牙を剥くのではないかと一部の貴族が心配している事(そんなことするわけないのです!)。
化け物には鎖を付けろと宰相や高官達が煩く、それなら近衛騎士として自分の近くに置いておけば文句は出ないだろうと考えた事、昔から私のことは可愛いと思っており、側に置いて時々頭を撫でたり抱きしめたりしたいとちょっとだけ思ってしまった、リゼお姉さまごめんなさい!、という事(いやそこまで言わなくてもいいのです!)。
王命の拒否権を私が持っていることを知らされておらず、私が激怒してそれを行使するとは思わなかった事(リィンちゃんうっかり言い忘れていたのでしょう、ちゃんと知らせておこうよ・・・)。
自分をはじめとする王族は私に対して全く害意がない事、それどころか母の親友でいてくれて感謝している事、そんな事を説明されました。
宰相や高官の言いなりではないですか、この子、・・・もういい歳の老人ですが・・・リィンちゃんに似てポンコツな上に昔から気が弱いというか、周りの言いなりだったような気がしますが、こんなのが王様でこれから大丈夫なのでしょうか?。
それから、私に対する悪意や害意は今の宰相や一部の高官が持っているもので、私に逆らうと恐ろしいということを彼らに見せつけてほしい、そしたら誰も私を害する気を起こさなくなるだろうとも言われたのです。
いやそいつら何とかしようよ、あなた王様だよね!、って心の中で叫んだのです。
ちょうどリィンちゃんが亡くなって200日目に追悼式典を開催するので派手に恐ろしい魔法をブチかまして欲しい、やっちゃえリゼお姉様!、とも・・・、このクソガキ、知らない間にいい性格になりましたね・・・。
朝から続いていた追悼式典は日が暮れてからも続き、最後の最後、リィンちゃんの親友である私が彼女を追悼して大魔法を放つ時が来ました、王族が新年の謁見をする王城に面した広場には沢山の王国市民の人達が集まって来ています。
うぅ・・緊張するのです!、あのクソガキ・・・じゃなかった国王陛下から頼まれたド派手な魔法陣は私が50日かかって作り上げた傑作なのです!、あのガキ・・・いや国王陛下から頼まれたとは言え、リィンちゃんの魂を送る為に私は一つ一つ心を込めて細部に渡ってこだわり抜き、一切の妥協をしないで完成させたのです!。
天国に居るリィンちゃんに、「今まで楽しかったよ、こんな私の親友でいてくれてありがとう!」って伝えたいのです!。
魔導ラディーオから王国すべての国民に向けてこの様子が実況中継されています、実況はリィンちゃんが生前生放送番組をやっていた王城に作られたスタジオからの生配信です。
「それでは王国民の皆様、最後にリィンフェルド女王陛下の親友である白銀の大魔導師様による追悼魔法をご覧ください」
「リィンちゃん・・・・・・」
私は魔法陣を構築します、魔力がどんどん無くなる感覚、これから誰もやった事がない規模の大魔法陣を起動させるのです!。
「ありがとう、・・・さようなら」
私は魔法陣を起動しました、王国の紋章をモチーフにした美しい無数の魔法陣が夜空いっぱいに広がります、私の設計が間違っていないのなら、この白銀の魔法陣はローゼリア王国全土、そして遠く離れたギャラン・ローゼリア王国の領土全ての空を覆っているはずなのです。
泣かないように下唇を噛んでいたのですが、・・・片方しか出ていない私の目から涙が一筋流れました。
魔法陣からサラサラと白く輝く光の粒が王国全土に降り注ぎ、辺りが真昼のように明るくなります、これは理世だった頃に見た仕掛け花火、ナイアガラを真似て私がアレンジしたオリジナル魔法なのです、中には大聖女様の治癒魔法を真似た魔法陣が組み込まれています、擦り傷の痛みが和らぎ、肩こりや腰痛くらいなら楽になるでしょう・・・。
「ぐっ!・・・、い・・・痛いのです!、・・・」
魔力切れが近いのか、私の身体の中で呪いが暴れ始めます、身体の中を沢山の虫が這い回るような気持ちの悪い感覚にはまだ慣れないのです、この辺で終わりましょうか・・・。
私は魔法騎士団の正装であるローブを纏い、王城のバルコニーに集まった王国民の皆様の前で魔法を披露しているのです、無様に倒れるわけにはいかないのです。
私は大歓声の中、バルコニーに背を向けて王城に用意されている自室にふらつく足取りで向かいました。
「・・・っていう事が昨日あったのです!」
王城のお部屋でお菓子をもきゅもきゅ食べながら私は言いました。
テーブルの上には日本から持ってきた私のタブレット端末、昨日の追悼大魔法の様子が映し出されています、Bppleの最新機種だから画質がとてもいいのです!。
大魔法の前に3脚を使ってデジカメ2台を設置してるのを護衛の騎士さん達に不思議な顔をして見られていたのですが撮影していて良かったのです、とても綺麗に撮れているのです!。
「へー、綺麗だねぇ、96歳かぁ、私めっちゃ長生きしたじゃん、お飾りの女王にしては上出来だぁ」
同じようにお菓子を食べながらベッドに寝転がったリィンちゃんが笑いながら私に言いました。
はい、私は今時空転移魔法陣を使って21歳のリィンちゃんのお部屋に居るのです。
リィンちゃんが亡くなってすぐ、寂しくて悲しくて、もう自分がおかしくなりそうだったので今までこの世界では使ってなかった時空転移魔法を使って21歳のリィンちゃんに会いに行ったのです。
どうやら日本に戻ってる時間軸とこっちの時間軸は別扱いになってるようなのです、何で21歳なのかというとリィンちゃんが20歳、私が19歳の時に大きな歴史的な事件があって、できればそれに影響を与えたくなかったのです。
初めて転移して私が現れた時、リィンちゃんは驚いていました、ちょっと前まで遊びに来ていた私がまた自分のお部屋に転移してきたのだから、しかも本物っぽい魔法騎士団の制服を着て、涙と鼻水を流しながら・・・。
「未来でリィンちゃんが亡くなって寂しくて会いにきた」、って軽く説明すると優しく微笑んで私を抱きしめてくれました、昔のリィンちゃんの懐かしい匂いがして私、声を出してで泣いちゃいました・・・。
歴史が変わっちゃうからとリィンちゃんはあまり私に質問しません、もちろん亡くなる年齢も今まで言っていませんでした、老衰で亡くなるまで長生きしたよっていうのは喋ったのですが・・・。
私も昔みたいに雑談したりお話しして笑ったり、楽しい時間を過ごしたのです。
それで何度か会いに行ってるうちにリィンちゃんが亡くなって200日後に開かれた昨日の追悼式があったのです、私が追悼式の最後に超大規模魔法を披露するって言ったら、リィンちゃんが是非見たいと言うのでその時の様子を高画質撮影して今一緒に見ているのです!。
「でも自分の追悼式を見るのってすごいよねー」
「あはは、私は日本で自分のお葬式の写真や遺骨も見たけどね、あ、追悼魔法だけじゃなくて王城での追悼式全編隠し撮りしてるからそれもあとで見ようね、昨日疲れてたけどリィンちゃんに早く見てもらいたくて徹夜で編集したんだぁ」
「私みたいなバカでもお飾りの女王ちゃんとできたんだね・・・」
そうなのです、リィンちゃんは昨年20歳の時このローゼリア王国初の女王として即位したのです!、ちなみに元国王陛下は新しくできたギャラン・ローゼリア王国とこの国の統一国王様っていう扱いで2大国の最高権力者になったのです。
「賢くて立派な女王様って国民に慕われてたよ、リィンちゃんポンコツなの誤魔化すの凄い上手いからみんな騙されてたね、周りの人達も「女王陛下がポンコツなのは国の最高機密」みたいになってたし」
「96歳かぁ、それまで女王様やらなきゃいけないなんて身体キツくない?」
「そんなこと言うなら生きてるけど退位しますって次に譲るか、頑張って不老不死になれば良かったのに、私が一生懸命やり方説明したのに、「痛いの嫌!」、「もう無理苦しすぎる死にたい勘弁して」って泣きながら途中でやめちゃったでしょ、命かかってるんだから頑張ればいいのに根性ないなぁ」
「いやあんなの無理だから!、やり方聞いても普通できないよ、あなたのご両親やおじさん達が異常なだけ!、絶対無理!、あんなに痛いなら不老不死にならなくていいもん!、死んだほうがマシ!」
「・・・私が寂しいんだよ、リィンちゃんとずっと一緒にいたかったのに・・・うぅ・・・ぐすっ・・・」
「だから何度も私以外にお友達作れって言ったのに、・・・え、ちょっと待って!、・・・あなたまさか90歳超えてお友達誰もいないんじゃないでしょうね?」
「・・・・い・・・・いるもん・・・・」
「どこの誰?、正直に!」
「・・・ごめんなさい嘘でしたぁ、・・・身内以外だと・・・リィンちゃんしか居ません・・・ぐすっ・・ふぇぇ・・・」
「ほらほら泣かないで、って、うわ汚なっ鼻水垂れてるし!」
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