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Side - 63 - 2 - かぞくかいぎ -
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Side - 63 - 2 - かぞくかいぎ -
・・・こんにちは、エリーゼ・シェルダン12歳です。
怖いと思っていた大伯母様はただ無口なだけの女の子でした。
あの後、大伯母様・・・いえ、リゼちゃんと楽しくお話(リゼちゃんは筆談!)していると、夜のお食事の時間になったとメイドさんが呼びに来たので仲良く食堂に向かいました。
もう私の中ではリゼちゃんとは仲良し!、お友達!、大親友です!。
私が先を歩いて、リゼちゃんが杖を使ってトコトコと後ろをついて来ます、その様子を怯えた顔をして眺めている使用人の人達・・・。
リゼちゃんって本気で皆から怖がられてるよ・・・。
食堂に入るとテーブルの上にはお料理が並べられていて、お父様とお母様、お兄様が席に着いて待っていました、うちは夜会や大事なお客様をおもてなしする時以外は料理が順番に出るんじゃなくて、テーブルに乗っているものをみんなで取り分けて食べます。
リゼちゃんが居るから今日はいつもよりちょっとだけ豪華みたいです、あっ、私の大好きな鶏肉のソテーもある!。
お父様は食堂に仲良く入って来た私達を見て驚いたような顔をしています。
「エリたん、もう伯母様とお話は終わったのかな?」
「うん、もうリゼちゃんとはお友達!、大親友!」
私はリゼちゃんに抱きついて言いました、・・・あぁ本当にリゼちゃん良い匂いするなぁ、どこで香水を買ったのか後で教えてもらおう!。
私がリゼちゃんの匂いをさりげなく嗅いでいるとお父様は「そうか、良かったね」と言って料理を取り分け始めました、お母様とお兄様は何故か凍りついています。
「伯母様、娘が失礼な事を言って申し訳ありません!」
真っ青な顔をしたお母様が慌ててリゼちゃんに謝ります、お母様も怖がってるんだ・・・。
「・・・・別にいい、・・・私が(リゼちゃん呼びを)頼んだ」
リゼちゃんが無表情でお母様に向かって言いました、・・・・分かっててもその無表情怖いなぁ・・・・っていうかリゼちゃん言葉足りなさ過ぎ!。
そんな事を考えながら私とリゼちゃんも席に着いてお食事を始めます、お父様とリゼちゃんは向かい合って座り、お母様はお父様の隣、お兄様はリゼちゃんの隣で私はお兄様の隣だったので、お兄様に頼んでリゼちゃんの隣と交代してもらいました。
お兄様ほっとしてるなぁ、実はリゼちゃんの隣が怖かったのかも・・・。
それにしても私の隣でお肉をもきゅもきゅ食べるリゼちゃんが可愛過ぎる!、どこか人に懐かない小動物っぽい感じがするの!。
もきゅもきゅ・・・
・・・
もぐもぐ・・・
・・・
もっ・・・もっ・・・もっ・・・
・・・
「ふぅ・・・今日のお夕食凄くおいしかったぁ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
うちのお食事はいつも美味しいのです!、でも・・・今日はいつもと違って食事の間みんな一言も喋らなかったの!。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「はぁ・・・お葬式みたいで嫌な感じだね」
料理が片付けられて食後のお茶が運ばれて来た時、私はみんなに言いました、こんなに優しくて温かい家族なのにリゼちゃんに距離を置いてるのありえないよ!。
「ねぇ、みんなどうしてリゼちゃんを怖がってるの?」
「そ・・・そんなことありませんよ」
何を言い出すんだこの子はって顔をしてお母様が言いました、声が震えています。
「コワガッテナイヨ・・・」
挙動不審になりつつお兄様が言いました、まだ暑い時期じゃないのに額に汗が浮かんでいます。
「怖がってるよ!、みんな笑顔が不自然だし、リゼちゃん避けてるし、使用人の人達も今日は朝からみんな緊張してるよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私も最初リゼちゃんに会った時、怖くて震えてたんだぁ、でもね話してみるとリゼちゃん優しくてどこにでも居るような普通の女の子だったよ、問題はリゼちゃんの口数が少な過ぎて会話がちゃんと成立しないの、私も筆談してようやく普通にいい子だって分かったんだから!」
「そうなの?」
お父様がお茶を飲みながら私に言いました。
「・・・これを読めば分かるよ、さっきお部屋でリゼちゃんが私に渡してくれたんだけどね」
私はリゼちゃんから貰った筆談用の紙をポケットから取り出しました。
見られるのが恥ずかしいのかリゼちゃんが「あー」って言いながら私から紙を奪い取ろうとしたけど、手でリゼちゃんの顔面を押さえ家族に紙を見せました、私に顔を押さえられ手をバタバタさせてるリゼちゃん可愛いよ!。
全員に分かるように私は大きな声で音読しました。
「あぅ・・・・だめ」「・・・・やめて・・・恥ずかしい」
リゼちゃんが何か言ってますが声が小さくて聞こえんなぁ!。
読み終わって皆の顔を見ると目を見開いて呆然としていました、リゼちゃんは顔を両手で隠し真っ赤になってフルフルと震えています。
「・・・我々は伯母様に嫌われているのかと思っていたんだよ」
とても気まずそうにお父様が話し始めました。
お父様が小さい頃は伯母様がよく遊んでくれていたそうです、思春期を迎えると恥ずかしさが出てきたし、見た目が幼い女の子と遊んでいるのをたまたま屋敷に来ていた友人にからかわれ、自然と距離を置くように・・・。
お母様はお父様と結婚した時に「白銀の大魔導士様」であり「国の英雄」と紹介され、お母様は緊張で、リゼちゃんは人見知りで警戒し、お互いほとんど喋らず無言で見つめ合っていたとか・・・・。
お兄様はというと私と同じでリゼちゃんの無表情で氷のような冷たい目に怯え、幼い頃は泣いたり、怖がって逃げたり、大きくなっても目を合わせられなかったようで・・・・。
リゼちゃんはというと、これは皆と筆談で話して分かった事なのですが・・・。
よく懐いてくれていた可愛い甥っ子から急に避けらるようになってとても悲しかった。
両親が引退して領地で暮らすようになり王都の屋敷が寂しくなった、弟は執務で忙しく、弟の妻とは仲良くなったが一人で過ごす事が多くなった。
寂しさを紛らわせる為に仕事に没頭した、功績を出すたびに周りが自分を神聖視するようになり、皆の好奇の視線が怖くなった。
屋敷の使用人が入れ替わり親しい人達が減っていった、新しい使用人からは何故か恐れられ自然と人を避けるようになった。
王都の屋敷は両親や弟と過ごした大事な場所で愛着があったし、家に居ると幸せだった、でも家が大きくなる度に増改築が繰り返され想い出が一つひとつなくなっていくようで寂しくて泣いた。
知らない家の中に居る知らない人達と生活するのは居心地が悪かった、血の繋がっている家族の筈なのに避けられるのは自分が不老不死の化け物だからなのではないかと考えるようになり余計に人を遠ざけ、家に寄り付かなくなった。
王都の屋敷に唯一残っていた大切な自分の部屋が留守中に改装されているのを見た時、この家に自分の居場所はもう無いのだと思った。
弟は既に息子に爵位を譲り領地に移住していたので自分も領地の邸宅に引っ越す事にしたが、領地の使用人も入れ替わっていて同じように怖がられた、弟に気を遣われ弟と使用人達の間の空気が悪くなるのも嫌だった。
叔父との楽しい思い出が詰まった領地の森の奥に家を建て、誰にも関わらず一人で暮らすことにした、ちなみに叔父は領地の屋敷でまだ生きてる。
仕事で王都の商会や領地の屋敷に行く事はあるが転移魔法陣を使い人との接触を可能な限り避け続けた。
「・・・・うぅ・・・ぐすっ・・・リゼちゃんが可哀想だよ・・・・」
「申し訳ありまぜんでじだぁ!」
号泣していたお父様が叫びました・・・お母様もお兄様も涙で顔がボロボロです・・・・。
「・・・・いいの・・・・大丈夫だよ、慣れたから・・・・領地に行けば弟も居るし、お父様やお母様も居るから」
「うん、お父様が全部悪い!、リゼちゃんが頑張って大きくした家なのに居場所が無いなんておかしいよ!」
お父様はまだ言い訳しています。
「・・・いや、屋敷が老朽化して一番汚な・・・いや古いお部屋を伯母様に使わせるのもどうかと思って一番日当たりのいい部屋に移ってもらって、元の部屋は・・・」
「元の部屋は?、何?」
「物置にした」
「いや待ってお父様、考えてみてよ、自分のお部屋に転移して、そこが物置になってたら普通泣くでしょ」
「・・・うん、お部屋に転移したら・・・・頭の上に・・・箒や雑巾が落ちてきた・・・ちょっとだけ泣いた」
スパーン!って良い音がしたと思ったら今まで黙ってたお母様がお父様の後頭部を張り倒していました。
「後でお話があります」
「・・・・はい」
お母様怖っ。
更にリゼちゃんや家族のみんなとお話しして分かったのは、別にお父様に悪気があったわけじゃなくて、屋敷の中で一番いい部屋を使ってもらおうとしただけのようでした。
リゼちゃんはその頃屋敷にあまり来なくなっていたので、改装していいかどうか聞けなかったみたい・・・、何でこんな汚い部屋にってお父様は思ったらしいの、汚い部屋って随分失礼だよね。
「もともと古い屋敷だったから改装して全部新しく綺麗になって、最後に残ったのが私のお部屋だっただけ、別に汚くしてない、汚れたら自分でもお掃除だってしてたし」
「リゼちゃん自分でお掃除してたの?、言えばメイドさんがやってくれるのに・・・もしかして人見知りを拗らせ過ぎてそれも言えなかったとか?」
「うん・・・」
この日を境にお屋敷でのリゼちゃんの扱いが変わりました。
あの時食堂にいた使用人が屋敷中に話を広げ、「全使用人が泣いた!」みたいな感じになりました、お父様は事の顛末をお祖父様に報告、そんな事になっているとは夢にも思っていなかったお祖父様が急遽領地から屋敷にやって来て「お姉さまごめんなさい!」と抱きついて号泣。
お母様やお兄様も怖がっていた事をリゼちゃんに謝罪しました。
特にお母様は「娘がもう一人出来たみたい!」と大はしゃぎでリゼちゃんを可愛がり・・・お茶に誘ってお話をしたり、捕まえて着せ替え人形みたいにしています・・・リゼちゃんの方が年上なのにね。
・・・こんにちは、エリーゼ・シェルダン12歳です。
怖いと思っていた大伯母様はただ無口なだけの女の子でした。
あの後、大伯母様・・・いえ、リゼちゃんと楽しくお話(リゼちゃんは筆談!)していると、夜のお食事の時間になったとメイドさんが呼びに来たので仲良く食堂に向かいました。
もう私の中ではリゼちゃんとは仲良し!、お友達!、大親友です!。
私が先を歩いて、リゼちゃんが杖を使ってトコトコと後ろをついて来ます、その様子を怯えた顔をして眺めている使用人の人達・・・。
リゼちゃんって本気で皆から怖がられてるよ・・・。
食堂に入るとテーブルの上にはお料理が並べられていて、お父様とお母様、お兄様が席に着いて待っていました、うちは夜会や大事なお客様をおもてなしする時以外は料理が順番に出るんじゃなくて、テーブルに乗っているものをみんなで取り分けて食べます。
リゼちゃんが居るから今日はいつもよりちょっとだけ豪華みたいです、あっ、私の大好きな鶏肉のソテーもある!。
お父様は食堂に仲良く入って来た私達を見て驚いたような顔をしています。
「エリたん、もう伯母様とお話は終わったのかな?」
「うん、もうリゼちゃんとはお友達!、大親友!」
私はリゼちゃんに抱きついて言いました、・・・あぁ本当にリゼちゃん良い匂いするなぁ、どこで香水を買ったのか後で教えてもらおう!。
私がリゼちゃんの匂いをさりげなく嗅いでいるとお父様は「そうか、良かったね」と言って料理を取り分け始めました、お母様とお兄様は何故か凍りついています。
「伯母様、娘が失礼な事を言って申し訳ありません!」
真っ青な顔をしたお母様が慌ててリゼちゃんに謝ります、お母様も怖がってるんだ・・・。
「・・・・別にいい、・・・私が(リゼちゃん呼びを)頼んだ」
リゼちゃんが無表情でお母様に向かって言いました、・・・・分かっててもその無表情怖いなぁ・・・・っていうかリゼちゃん言葉足りなさ過ぎ!。
そんな事を考えながら私とリゼちゃんも席に着いてお食事を始めます、お父様とリゼちゃんは向かい合って座り、お母様はお父様の隣、お兄様はリゼちゃんの隣で私はお兄様の隣だったので、お兄様に頼んでリゼちゃんの隣と交代してもらいました。
お兄様ほっとしてるなぁ、実はリゼちゃんの隣が怖かったのかも・・・。
それにしても私の隣でお肉をもきゅもきゅ食べるリゼちゃんが可愛過ぎる!、どこか人に懐かない小動物っぽい感じがするの!。
もきゅもきゅ・・・
・・・
もぐもぐ・・・
・・・
もっ・・・もっ・・・もっ・・・
・・・
「ふぅ・・・今日のお夕食凄くおいしかったぁ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
うちのお食事はいつも美味しいのです!、でも・・・今日はいつもと違って食事の間みんな一言も喋らなかったの!。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「はぁ・・・お葬式みたいで嫌な感じだね」
料理が片付けられて食後のお茶が運ばれて来た時、私はみんなに言いました、こんなに優しくて温かい家族なのにリゼちゃんに距離を置いてるのありえないよ!。
「ねぇ、みんなどうしてリゼちゃんを怖がってるの?」
「そ・・・そんなことありませんよ」
何を言い出すんだこの子はって顔をしてお母様が言いました、声が震えています。
「コワガッテナイヨ・・・」
挙動不審になりつつお兄様が言いました、まだ暑い時期じゃないのに額に汗が浮かんでいます。
「怖がってるよ!、みんな笑顔が不自然だし、リゼちゃん避けてるし、使用人の人達も今日は朝からみんな緊張してるよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私も最初リゼちゃんに会った時、怖くて震えてたんだぁ、でもね話してみるとリゼちゃん優しくてどこにでも居るような普通の女の子だったよ、問題はリゼちゃんの口数が少な過ぎて会話がちゃんと成立しないの、私も筆談してようやく普通にいい子だって分かったんだから!」
「そうなの?」
お父様がお茶を飲みながら私に言いました。
「・・・これを読めば分かるよ、さっきお部屋でリゼちゃんが私に渡してくれたんだけどね」
私はリゼちゃんから貰った筆談用の紙をポケットから取り出しました。
見られるのが恥ずかしいのかリゼちゃんが「あー」って言いながら私から紙を奪い取ろうとしたけど、手でリゼちゃんの顔面を押さえ家族に紙を見せました、私に顔を押さえられ手をバタバタさせてるリゼちゃん可愛いよ!。
全員に分かるように私は大きな声で音読しました。
「あぅ・・・・だめ」「・・・・やめて・・・恥ずかしい」
リゼちゃんが何か言ってますが声が小さくて聞こえんなぁ!。
読み終わって皆の顔を見ると目を見開いて呆然としていました、リゼちゃんは顔を両手で隠し真っ赤になってフルフルと震えています。
「・・・我々は伯母様に嫌われているのかと思っていたんだよ」
とても気まずそうにお父様が話し始めました。
お父様が小さい頃は伯母様がよく遊んでくれていたそうです、思春期を迎えると恥ずかしさが出てきたし、見た目が幼い女の子と遊んでいるのをたまたま屋敷に来ていた友人にからかわれ、自然と距離を置くように・・・。
お母様はお父様と結婚した時に「白銀の大魔導士様」であり「国の英雄」と紹介され、お母様は緊張で、リゼちゃんは人見知りで警戒し、お互いほとんど喋らず無言で見つめ合っていたとか・・・・。
お兄様はというと私と同じでリゼちゃんの無表情で氷のような冷たい目に怯え、幼い頃は泣いたり、怖がって逃げたり、大きくなっても目を合わせられなかったようで・・・・。
リゼちゃんはというと、これは皆と筆談で話して分かった事なのですが・・・。
よく懐いてくれていた可愛い甥っ子から急に避けらるようになってとても悲しかった。
両親が引退して領地で暮らすようになり王都の屋敷が寂しくなった、弟は執務で忙しく、弟の妻とは仲良くなったが一人で過ごす事が多くなった。
寂しさを紛らわせる為に仕事に没頭した、功績を出すたびに周りが自分を神聖視するようになり、皆の好奇の視線が怖くなった。
屋敷の使用人が入れ替わり親しい人達が減っていった、新しい使用人からは何故か恐れられ自然と人を避けるようになった。
王都の屋敷は両親や弟と過ごした大事な場所で愛着があったし、家に居ると幸せだった、でも家が大きくなる度に増改築が繰り返され想い出が一つひとつなくなっていくようで寂しくて泣いた。
知らない家の中に居る知らない人達と生活するのは居心地が悪かった、血の繋がっている家族の筈なのに避けられるのは自分が不老不死の化け物だからなのではないかと考えるようになり余計に人を遠ざけ、家に寄り付かなくなった。
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叔父との楽しい思い出が詰まった領地の森の奥に家を建て、誰にも関わらず一人で暮らすことにした、ちなみに叔父は領地の屋敷でまだ生きてる。
仕事で王都の商会や領地の屋敷に行く事はあるが転移魔法陣を使い人との接触を可能な限り避け続けた。
「・・・・うぅ・・・ぐすっ・・・リゼちゃんが可哀想だよ・・・・」
「申し訳ありまぜんでじだぁ!」
号泣していたお父様が叫びました・・・お母様もお兄様も涙で顔がボロボロです・・・・。
「・・・・いいの・・・・大丈夫だよ、慣れたから・・・・領地に行けば弟も居るし、お父様やお母様も居るから」
「うん、お父様が全部悪い!、リゼちゃんが頑張って大きくした家なのに居場所が無いなんておかしいよ!」
お父様はまだ言い訳しています。
「・・・いや、屋敷が老朽化して一番汚な・・・いや古いお部屋を伯母様に使わせるのもどうかと思って一番日当たりのいい部屋に移ってもらって、元の部屋は・・・」
「元の部屋は?、何?」
「物置にした」
「いや待ってお父様、考えてみてよ、自分のお部屋に転移して、そこが物置になってたら普通泣くでしょ」
「・・・うん、お部屋に転移したら・・・・頭の上に・・・箒や雑巾が落ちてきた・・・ちょっとだけ泣いた」
スパーン!って良い音がしたと思ったら今まで黙ってたお母様がお父様の後頭部を張り倒していました。
「後でお話があります」
「・・・・はい」
お母様怖っ。
更にリゼちゃんや家族のみんなとお話しして分かったのは、別にお父様に悪気があったわけじゃなくて、屋敷の中で一番いい部屋を使ってもらおうとしただけのようでした。
リゼちゃんはその頃屋敷にあまり来なくなっていたので、改装していいかどうか聞けなかったみたい・・・、何でこんな汚い部屋にってお父様は思ったらしいの、汚い部屋って随分失礼だよね。
「もともと古い屋敷だったから改装して全部新しく綺麗になって、最後に残ったのが私のお部屋だっただけ、別に汚くしてない、汚れたら自分でもお掃除だってしてたし」
「リゼちゃん自分でお掃除してたの?、言えばメイドさんがやってくれるのに・・・もしかして人見知りを拗らせ過ぎてそれも言えなかったとか?」
「うん・・・」
この日を境にお屋敷でのリゼちゃんの扱いが変わりました。
あの時食堂にいた使用人が屋敷中に話を広げ、「全使用人が泣いた!」みたいな感じになりました、お父様は事の顛末をお祖父様に報告、そんな事になっているとは夢にも思っていなかったお祖父様が急遽領地から屋敷にやって来て「お姉さまごめんなさい!」と抱きついて号泣。
お母様やお兄様も怖がっていた事をリゼちゃんに謝罪しました。
特にお母様は「娘がもう一人出来たみたい!」と大はしゃぎでリゼちゃんを可愛がり・・・お茶に誘ってお話をしたり、捕まえて着せ替え人形みたいにしています・・・リゼちゃんの方が年上なのにね。
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