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Side - 184 - 1 - けんじゃのおじさん いち -

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Side - 184 - 1 - けんじゃのおじさん いち -


俺の名前はベネット・ブライアス 39歳独身だ。

お前と話すのは初めてだよな、よろしく頼む。

俺はローゼリア王国にある北部の街、シェルダン領を拠点にハンターをやって暮らしてる、ランクは金だ、化け物過ぎて特別扱いになる白金級を除くとハンターの頂点だぜ。

仲間と仕事するのはどうしても性に合わなくてな、ほとんどソロで活動して俺一人の腕だけで金級になった、凄いだろ。

腕には自信があったから良い金になりそうな仕事は多少危険でも深く考えずに受けてきた、ヤバい目には何度か遭ったが運良く生きて今も金に困ることなく良い暮らしができてる。

貴族様からの護衛の仕事で久しぶりに王都に来た時、ハンターギルドを覗くと随分と昔から出されている依頼を見つけた。

放置されてるくらいだから緊急じゃないらしい、条件は金級以上必須、依頼遂行中に命を落とすかケガをしても自己責任で依頼者は責任を取らない、報酬は大金貨100枚Pon!、ってくれるようだ。

報酬は破格だったが周りの奴らに聞くと随分ヤバそうな依頼なんだと、だが大金貨100枚なんて俺が生きてきた中でもまだお目にかかったことがない大金だ、俺はその依頼に飛び付いた。

依頼を受ける旨をギルドの受付嬢に言うとギルド長の部屋に呼ばれた、日を改めて依頼者と顔合わせをするそうだ。

ギルド長には命が惜しいだろうやめておけって言われたが鼻で笑ったぜ、・・・金に目が眩んだこの時の俺を殴り倒してやりてぇ。

顔合わせの日にギルド長の部屋に行くと、いかにも「お貴族様です、偉いです」、って身なりの男が2人いた。

じろじろと俺を品定めするような目で見やがったから文句言ってやろうとしたがギルド長に慌てて止められた。

依頼の内容はこんな感じだ。

ローゼリア王国は非常に凶悪な魔物が住むランサー大陸の資源を採掘する為に調査団を派遣し魔の森の入り口に前線基地を置いた、これが30年前の話だ。

前線基地には古代文明の遺物である物質転移装置があり、ローゼリア王国からランサー大陸に転移できるし、もちろん帰る事もできる。

何日もかけて危険な海魔獣がわんさか居やがる海を渡る必要はないって事だな、それより人間を送れるような物質転移装置があるのか、すげぇな!。

26年前、魔物に襲われ調査団がほぼ全滅、救出に派遣した騎士団の被害も甚大であったため前線基地を放棄、・・・騎士団って奴らは無能の集まりかよ、たかが魔物相手に何やってんだ。

物質転移装置は今も王国から遠隔操作で機能している、前線基地に向かい基地施設の破損状況を「調査及び報告」、可能であれば基地周囲を「調査」し生息する魔物の種類と規模を「調査、報告」してもらいたい、何だ調査と報告だけなのか?。

尚、魔物の討伐は不要、物質転移装置へ魔力を補充する為に転移直後から2日間は王国への転移は不可能、現地に2日滞在し3日目の朝に王国へ帰還せよ、マジかよ余裕じゃねぇか!。

物質転移装置は一度動作させると膨大な魔力を消費する、3日目の朝から4日目の夜までは装置を使用可能状な態にしておくが、これが限界である。

4日目の夜までに物質転移装置で帰還できない場合は自力で大陸を出て海を渡り帰還してもらう事になる、2年経っても王国に帰還していない時には死亡扱いとなる場合があるので注意の事、俺がそんなヘマするわけないだろ!。

大変危険な任務であるため、大金貨100枚の報酬では不足であると考える、そこで現地で倒し持ち帰った魔物の素材を報酬の上乗せとする、報酬は前金で大金貨10枚、任務達成後大金貨90枚とする・・・気前が良すぎて気味が悪いな!。

又、金級以上を条件としハンター1名を同じ条件で同行者として許可する、但し同行者の有無にかかわらず報酬の増額は無いものとする、誰か連れて行ったら報酬が減るじゃねぇか、俺一人で十分だぜ!。

出発は王宮の騎士団本部に設置した物質転移装置にて準備が出来次第行うものとし、2日分の水と食料は依頼者が用意するものとする、いつでもいいぞ!。

補足として奴らが言うには、ランサー大陸側の物質転移装置がある周りの状況はマジで何もわからないらしい、転移直後にたまたま居合わせた魔物に喰われるなんて事があり得るらしいから気を付けるように言われたな。

ちょっと不安になってきたが俺は運がいいんだイケるだろ!。





・・・と思っていた時も俺にはあった。

今俺は魔の森の中で死にかけてる、全身血まみれで。

なんだよあの魔物どもヤバすぎるだろ!、王国で俺が倒してきた魔物と比べると大人と子供、いや虫とドラゴンぐらい差があるぜ!。

転移したら見た事もないデカいオーガが目の前に居やがった!、喰われると思って逃げだしたらそのデカいオーガよりまだデカいドラゴンが襲い掛かってきて魔物同士で共食いを始めやがったぞ畜生!。

教えられた場所にある筈の前線基地とやらが跡形も無ぇし、オーガを喰い終わったドラゴンが単体かと思ったら群れで襲ってきやがった。

あんなのには勝てねぇ、森の中に逃げ出したが方向が分からねぇ、やばいぞこれシャレにならねぇぜ。

右足は折れてるな、あのあとバカでかい魔狼の群れから逃げるために崖から飛び降りたんだ、死ななかっただけマシだぜ、落ちた時に太い木の枝が脇腹に2本も刺さっちまった、抜いたら血が出てヤバそうだ。

意識が朦朧として畜生こんな依頼受けるんじゃなかったって後悔してた時だ。

茂みが動いた、何か居る、武器も落として丸腰だ、もう俺も終わりだなって思ってたら。

小さな・・・12か・・・13歳くらいの女の子が現れた、銀髪で眼帯をして、魔法使いみてぇな格好してやがる。

サイズのデカいフード付きのローブで頭や体を包んで隠してるから体形はよく分かんねぇが随分と華奢でフードの間から出てる銀髪がやけにキラキラして見えた、俺の姿を見て驚いたっていうか怯えてるみたいだ。

何でガキがこんなところに居るんだよ、あぁもう幻覚が見えてるんだなって思ってるとそのガキが後ろを向いて逃げて行こうとした。

俺は思わず。

「待って・・・、助けてくれ、お願いだ、まだ死にたくねぇ・・・」

って言うと、ガキが振り向いて怯えながら近付いてきた、そこで俺は気を失った。
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