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1章 新たな生活

1話 驚きの連続と諦め

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「ホードッカイ地方?」

「なんね、あんた自分が住んでるさ地域の名前も知らんのかいな?」

「えぇ、住んでると言うよりさっきここに来たばっかりなもんで…」

「んー、どうしたもんかねぇ、まぁ悪い人には見えんしとりあえずウチに来なさいな。」

「えっと…ありがとうございます?!」

という事で来ましたホードッカイ地方?
ここは本当にどこなんでしょうか?
さっきまで会社のデスクに居たはずなのに、気づいたらホードッカイ地方?

これなんぞ?

しかも座り作業してだはずなのに、気づいたらぼんやりと農作業してるおばちゃんを見てたというから不思議なこった。

で、ここはどこなのか?とおばちゃんに質問して冒頭に戻るわけ。

記憶喪失にしては聞いたことのないホードッカイ地方という地名。
それにおばちゃんがどう見ても外人なのに喋ってる言語は日本語というなんとも意味のわからない状況で未だパニックが収まらない。

そんな状態ではあるがおばちゃんの誘いには乗ったのだから前を歩くおばちゃんについて行ってるわけだ。

しばらく農道を歩いてると前方にポツンと一軒の家が建ってた。
しかし日本家屋ではなく、テレビで見たことのある海外のワイン農家風の洋瓦でできた家で凄くマッチしていない風景だった。

「そんでテイモンも連れずに一人で何ボーッと突っ立てたんだ?」

家につき座敷に座らされてお茶をいっぱいもらってホッとついた時におばちゃんからそう聞かれたが、俺自身なぜあんなところに立ってたのか知らない。
それに…

「テイモン?それはなんですか?それに俺はいつからあそこに?」

「テイモンも知らなんだかぁ?そりゃ困ったわぁ。」

テイモン……テイモン?
いくら考えてもわからず、おばちゃんも俺の扱いに困り果ててしまった。

それから数分お互いに無言でも悩みつつもお茶を飲む謎の空間を作り上げてしまった。

「まぁあんたがいつからあそこに居たのかもわからんし、色々知識が無いのもわかった。
このままほっておくのも忍び辛いからちょっとの間だけでもウチに居なさい。」

沈黙を破って話し始めたおばちゃんの言葉に俺の求める回答は無かったが、右も左も分からない現状ではこの誘いを断ることは出来なかった。

「よろしくお願いします。」

こうしておばちゃんの家での生活が始まった…







わけだが…

なんかこの世界は色々おかしい。

まずこの得体の知れない生物はなんだ?

御飯時になりおばちゃんの肩に乗っかりながらご飯を貰ってるこの生物は?

見た目だけだと完全に猫なんだけど、長靴履いてる風の模様となぜか立ち姿勢なのもきになるが、この猫の尻尾が鋭くとんがっているのがなんとも気になる。

「な、なぁおばちゃん?」

「ん?どうしたかね?」

おばちゃんの肩に指を指してそいつ何って聞こうとしたら、おばちゃんとその猫みたいな生物が一緒に後方を見て何も居ないことを確認した後お互い顔を合わせてハテナマークを浮かべていた。

「ちがくて!その肩に乗ってる猫みたいな生物は何ってこと!俺そんなの見たことないんだけど!後、なんでハテナマークが目に見えるんだ!?」

そう。
たしかに肩に乗っかる猫も気にはなる。
むしろそれがさっきまで一番気になっていた。
だが、今はそれ以上におばちゃんと猫が顔を合わせた時に見えたはてなマークの方が気になったのだ。

「見たことないって…『ネックツ』なんてよく見かけるじゃないか?あとハテナマークは……そういえばなんで出るんだろうね?分からないよそんなこと!
あんたなんて今日一日中出てるけどそれは気にならんの?」

「ごめん、聞いたの俺だけど情報が多い!まず『ネックツ』ってなに!?それにこれは普通に出るんだね!」

もういちいち気にしてられないらしいよ、ハテナマークとかって(笑)
普通らしいもん。
それなら仕方ないよね、俺も出てるらしいし。

気になることが上書きされすぎてもうわけわからなくなってきたよ。

「『ネックツ』が何?って聞かれても、ネックツはネックツだよ。テイモンさ!」

「ちょっ、もうそういうことじゃなくて、じゃあテイモンってのがなんだか分からないからそこを1から教えてよ!」

おばちゃんに懇願するように土下座してみると、おばちゃんは困りながらも教えてくれた。

曰く、
テイモンとは、テイムしたモンスターの事らしい。

そこもよく分からなかったのでもっと噛み砕いて教えてもらった。

ようは、ペットなんだと。
ただテイモンは友であり、家族であり、従業員であり、兵士でありとその扱い方は人の考え方によって変わるらしい。

テイム・手懐けるモンスターいきもの
略してテイモンね。
納得した。

次に猫風の生物が『ネックツ』というモンスターだという事。
おばちゃんの働く農場に来ていたネックツをおばちゃんが餌やりとかしていたら懐いたのでテイムしたようだ。

おばちゃんには夫がいたようだが先立たれて寂しかった時にネックツをテイムしたので今はそれほどとのことだ。

このネックツだが、一応図鑑に載ってるとのことで見せて貰った。

尚、図鑑は家を買うと貰えるらしい。

図鑑の序盤、目次の次のページにネックツの詳細が載せられていた。

『ネックツ』
地属性・獣類
ネコ科のモンスター。
愛くるしい見た目と研ぎ澄まされた鋭利な尻尾のギャップがファンを作る。
鋭利な尻尾からの一撃は人間など一刀両断にするだろう。
とても懐きやすく、初心者にはうってつけのモンスター。
テイムレベル1以下

全てを読み終えた俺は諦めた。
なんか色々質問とか、疑問とかほんとにいっぱい出てきて頭がパンクしそうになったから聞くのをやめてそういうもんだと思うことにシフトした。

そう、言うなればゲームの世界に迷い込んだ。
そう思うと決めた。

そう決めたとすれば今までの状況がストンと俺の今までの疑問を解消したかのように思えた。

「おばちゃん、俺もテイムできるかなぁ?」

なんか楽しそうな世界に来たからこそ、この世界を楽しもうと決意しておばちゃんに問いかけた。

「テイムなんて簡単だよ!私だってできたんだからさ!」

おばちゃんは豪快に笑いながら肩をバシバシ叩いて言った。

俺はその言葉を信じておばちゃんから図鑑を借り夜通し図鑑を見続けた。
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