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3学期
王子の我慢5
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生徒指導室を出て、牧田と別れた。
さて…午後は最後に1年4組の授業がある。
気持ちを切り替えないと。
放課後にはカウンセリング終了後、金井先生との魔女対策の打ち合わせまである。
もう、当たって砕け散ろだ!なるようになれ!
投げやりな気分のまま、職員室へ入ると案の定清水先生に取っ捕まった。
「逃げんなよ!別にイジメねーから。」
「どうだか!もうメンタルがボロボロですからなるべく触らないようにして下さい。」
言ってる側から、清水先生は僕の襟首を掴んで自席に引き摺って行った。
「わかってんだよ。
姫の事で落ち込んでんだろ。
そうじゃなく魔女の件だよ。
金井先生から聞いたか?」
「あ…と、聞きました。
と言うか、詳細の打ち合わせは放課後。
金井先生の仕事が終わってからになると思いますが。」
「そっか、いよいよ正念場だな。
てか、お前の役割大事だからな。
ヘマこくなよ。
俺はそれが一番心配なんだよ。」
「はい。
そこは、綿密に金井先生と話し合おうかと思ってます。
僕も正直魔女を説得出来る自信が無くて。」
「はあ。
代わってやりたいのは山々だがなぁ、魔女が心を許し掛けてんのはお前だけなんだぞ。
あーもう。」
魔女…田宮 美月が何故僕に心を開いたんだろう。
その辺も僕にはわかっていない。
姫…彼女なら答えを知ってるだろうに。
確認すら出来やしない。
…弱々しいからか?情けない…。
清水先生の不安そうな顔に、申し訳ない気持ちか溢れ出した。
「すいません。いつも助けて貰ってるのに。
万全の準備だけは金井先生とするつもりですので。
保証は出来ませんが、やれるだけの事はやるつもりです。」
「ま、そんなお前には、やはり秘密兵器が必要だなぁ。
テテテッテテ~。極小コードレスマイク&イヤホン!」
「何ですか?その音…。
コードレスマイク&イヤホンって。」
「バレると怖いから本来なら使いたくねー代物だが…こちらから指示を出すのには便利だ。
最悪、これを使え。」
「何でこんな物持ってるんですか…しかも…使用感たっぷり。」
「ち…中古品…みたいな…?」
なんだよ!急に視線が泳ぎ出したよ、このオッさんは。
さては、昔になんかやってんな…盗聴?盗聴なのか~??
「うっせえな!これは教頭から借りたんだよ!
詳しく突っ込むんじゃねーよ!」
逆ギレした清水先生が僕の耳を引っ張った。
「イテテ!教頭…!?」
「聞くなっつたろ!過去に使う事例があったんだよ!それ以上は言えん。」
「あ、はい。」
そうだな…そっとしておこう…。
「金井先生とも話し合ってから、借りる場合はお借りします。」
「だな。放課後話し合いがきまったら連絡しろ。
職員室でまってるから。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
午後の授業が始まるので、話しはそこまでにして意識を仕事に集中させた。
さて…5時限目はいいとして、問題は6時限目の授業だ。
サングラスでも掛けたい気分だ。
とにかく、視線を合わせないように。
あと…牧田がクールにって言ってたな。
動揺を見せるなって事だろうな。
そうだ!これは練習だと思えばいいんだ。
魔女を誘い出すにもそこが一番心配されるところだ。
プラスに考えよう。彼女のように…。
そうすれば、変な声も聞こえてこないし、倒れもしないはずだ。
彼女が教えてくれたように…逆境の時こそプラスに思考を変換するんだ。
…大丈夫だ!行ける!
何だろう。
気が付いたら自信が湧いてきた。
これを乗り越えて…魔女イベントもクリアしてみせる!
彼女の魔法だ…彼女の魔法は僕の中にある!
僕は勢いよく午後の授業の為に職員室を飛び出した。
さて…午後は最後に1年4組の授業がある。
気持ちを切り替えないと。
放課後にはカウンセリング終了後、金井先生との魔女対策の打ち合わせまである。
もう、当たって砕け散ろだ!なるようになれ!
投げやりな気分のまま、職員室へ入ると案の定清水先生に取っ捕まった。
「逃げんなよ!別にイジメねーから。」
「どうだか!もうメンタルがボロボロですからなるべく触らないようにして下さい。」
言ってる側から、清水先生は僕の襟首を掴んで自席に引き摺って行った。
「わかってんだよ。
姫の事で落ち込んでんだろ。
そうじゃなく魔女の件だよ。
金井先生から聞いたか?」
「あ…と、聞きました。
と言うか、詳細の打ち合わせは放課後。
金井先生の仕事が終わってからになると思いますが。」
「そっか、いよいよ正念場だな。
てか、お前の役割大事だからな。
ヘマこくなよ。
俺はそれが一番心配なんだよ。」
「はい。
そこは、綿密に金井先生と話し合おうかと思ってます。
僕も正直魔女を説得出来る自信が無くて。」
「はあ。
代わってやりたいのは山々だがなぁ、魔女が心を許し掛けてんのはお前だけなんだぞ。
あーもう。」
魔女…田宮 美月が何故僕に心を開いたんだろう。
その辺も僕にはわかっていない。
姫…彼女なら答えを知ってるだろうに。
確認すら出来やしない。
…弱々しいからか?情けない…。
清水先生の不安そうな顔に、申し訳ない気持ちか溢れ出した。
「すいません。いつも助けて貰ってるのに。
万全の準備だけは金井先生とするつもりですので。
保証は出来ませんが、やれるだけの事はやるつもりです。」
「ま、そんなお前には、やはり秘密兵器が必要だなぁ。
テテテッテテ~。極小コードレスマイク&イヤホン!」
「何ですか?その音…。
コードレスマイク&イヤホンって。」
「バレると怖いから本来なら使いたくねー代物だが…こちらから指示を出すのには便利だ。
最悪、これを使え。」
「何でこんな物持ってるんですか…しかも…使用感たっぷり。」
「ち…中古品…みたいな…?」
なんだよ!急に視線が泳ぎ出したよ、このオッさんは。
さては、昔になんかやってんな…盗聴?盗聴なのか~??
「うっせえな!これは教頭から借りたんだよ!
詳しく突っ込むんじゃねーよ!」
逆ギレした清水先生が僕の耳を引っ張った。
「イテテ!教頭…!?」
「聞くなっつたろ!過去に使う事例があったんだよ!それ以上は言えん。」
「あ、はい。」
そうだな…そっとしておこう…。
「金井先生とも話し合ってから、借りる場合はお借りします。」
「だな。放課後話し合いがきまったら連絡しろ。
職員室でまってるから。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
午後の授業が始まるので、話しはそこまでにして意識を仕事に集中させた。
さて…5時限目はいいとして、問題は6時限目の授業だ。
サングラスでも掛けたい気分だ。
とにかく、視線を合わせないように。
あと…牧田がクールにって言ってたな。
動揺を見せるなって事だろうな。
そうだ!これは練習だと思えばいいんだ。
魔女を誘い出すにもそこが一番心配されるところだ。
プラスに考えよう。彼女のように…。
そうすれば、変な声も聞こえてこないし、倒れもしないはずだ。
彼女が教えてくれたように…逆境の時こそプラスに思考を変換するんだ。
…大丈夫だ!行ける!
何だろう。
気が付いたら自信が湧いてきた。
これを乗り越えて…魔女イベントもクリアしてみせる!
彼女の魔法だ…彼女の魔法は僕の中にある!
僕は勢いよく午後の授業の為に職員室を飛び出した。
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