忘却の魔法

平塚冴子

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アナスタシアと鈴

第3話

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『非常事態発生!第1ゲート遮断!研究員は速やかに第3ゲートを通り地下シェルターに避難して下さい。』
施設内を館内放送が駆け巡った。

「あ!地図の上に狐と犬2匹が。
どういう意味だ?」
「おそらく、狐が仁科 加奈子で犬2匹が『近藤 空』『近藤 海』でしょうね。」
なる程…、相手の位置がわかるのか。

「鈴がいるのは第1処置室ってとこだ。
一階だ!階段で行くぞ!
エレベーターとかは危ねえからな!」
「閉じ込められるのは1度で結構ですね!
しかし、虫唾が走ります。
近藤 陸は楽しんでいる!」
「俺もそう思う!」
俺達は奴に踊らされてるのもわかりつつ、鈴を助ける為に、第1処置室を目指した。

最上階に居た俺達は階段を、飛び越えるように降りて一階まで降りた。
ダン!ダダン!

反対側に逃げ惑う研修員とすれ違いながら、鈴のいる部屋を探した。

「おい!見ろ金井!」
「これは!?」

地図アプリを確認してみると…目の前の角を曲がると、犬2匹と鉢合わせる!
「こっちの部屋へ!」
金井は俺の襟首を掴んで近くのドアに入り込んだ。

ガチャ!
内側から鍵を掛けた。
室内は薄暗く沢山の棚に書類やらファイルやらが並んで居た。
パソコンも何台か設置されている。

ドクン!ドクン!
心臓の音がやけにデカく感じる!

棚の陰に隠れて2人が通り過ぎるのを待とうとした…しかし、そうは行かなかった。

『嫌だな~隠れんぼですか?
梶さん、金井さん大人が子供の遊びですか?
だったら鬼ごっこにして下さいよ。
鬼2人のね。
空!海!第3資料室に獲物がいるよ!
たっぷり遊んであげてよ!』

この~~!
館内放送でふざけた事を抜かしやがって!

ガッ!ガッ!
2人はドアを壊しに掛かってるようだ!
何処かに逃げ場は無いのか?
地図アプリを再度確認した。
「え…。」

俺は目を点にした…この部屋に…狐がいる!?
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