忘却の魔法

平塚冴子

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忘却魔法とパンドラの箱

第8話

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「何だって?」
俺は耳を疑った。
「別の部屋で見ていた天外博士は無事でした。
そして…それを隠蔽したのです。
『忘却魔法』研究存続維持の為の尊い犠牲ですね。」
「そんな…あの天外博士が…そんな事!?」

俺はにわかに信じ難かった。
確かに、頑固で研究熱心な爺さんだけど、人が死んでるのに隠蔽…?

「あんただって同罪だろ!『田中 聖』を…!」
「ですから…事故と言っているのです。
あなたは、私をどうしても犯罪者にしたい様ですが…。
言わば、天外博士同様の事故という事です。
何せ、欠陥部分の修正はまだ未完のままなのですから。」
「『18番』は何でその修正に必要なんだ?」
「そこまでは、わかりませんわ。
関係資料も一切なく、天外博士もそれについては一切話さずに逝ってしまいましたし。
知っているとすれば…『18番』本人かと。」
「『18番』本人だと?
子供だったんだろ当時…わかるわけないだろ。」

仁科 加奈子は俺の言葉に無言で意味深に笑みを浮かべた。

金井がマスク越しに、また声を出した。
「わかるとか、わからないとかではなく…存在そのものが意味を成す場合がありますよね。
つまり…その場の研究員全員死亡の中で、『18番』が生存出来ていたなら…それだけで、研究材料としては意味がある。
欠陥部分を埋める物を持っていたという事になりますからね。
…と、梶が私に耳打ちしました。」

はああ?
大人の研究員全員死亡の中で10歳以下の子供が生き残ったってのか?
でも、確かにそれなら未だに『18番』を必要とする意味がある。
そうか!それが…アナスタシアの能力と関係してるんだ!
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