忘却の魔法

平塚冴子

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悪魔の微笑み、天使の悲鳴

第17話

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2日酔いも完全に治り、支度がある程度終わって、気が付けば夜。
「今から行くと着くのが朝方ですね。
どうします?」
「日付が変わってから移動しよう。
この前より2時間くらい前に出れば、10時前には着きそうだし。」
「ですね。
では、それまでの間に僕は梶の資料ファイルを開いて、チェックしておきます。
情報を頭に入れておいた方がいいですから。
梶は休んでいて下さい。
今回は交代で運転したいので。」
「わかった。」
…とは言ったものの、お互いに眠れる状態じゃないのはわかっていた。

金井は寝室の方に、俺はソファで横になって、天井を眺めていた。

鈴は眠れてるだろうか…。
はっ!まさか…!
無理やりなんて事してねぇだろうな!
若いからってそれは、犯罪だ!違法だ!

いや、あいつの態度は俺達をからかい、いたぶってるだけだった…。
金井の言った事か確かなら尚の事、仁科 加奈子の前で手は出さないだろう。

…鈴、お前が来てから…俺は1人が寂しくてたまらない。
この歳になって、恥ずかしいが…眠る時に、誰かが側にいる幸せを味わってしまった今…孤独になるのが怖かった。

俺の背中に絡みついて来た、あの細い腕の感触を思い出す。
背中に当たった…小さな胸に…背中に感じた…鈴の息づかい…。

早く、お前の息づかいや体温を実感したいよ…鈴…。
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