忘却の魔法

平塚冴子

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悪魔の微笑み、天使の悲鳴

第2話

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車を運転中も気が気じゃなかった。
そのうち、関係者に何らかの害をもたらすんじゃないか?
そんな不安が胸の中で、暗黒の雲のように渦巻いていた。
ハンドルを持つ手にも汗が染み出して来た。

竹中さんとの話しが終わったら、金井のところにも寄らなきゃならないな…何せ、鈴は奴に狙われている。

今になって、本当にヤバい橋を渡ってる事に気が付いた。

夕方近くのラッシュを抜けて、俺は車をコインパーキングに置いて、竹中さんとの待ち合わせ場所の喫茶店に着いた。

カランコロン。

「塔矢~~!」
「だー!欲情すんな!俺は話しに来たんだ!」
喫茶店に入るなり、愛美が飛び付いて来た。
首にぶら下がる愛美を無理やり引き剥がして、 竹中さんの座ってる元へ歩み寄った。
「お疲れ様です。竹中さん。
少し、話しを整理したくて電話したんですが…。
愛美まで関わってくるとは、実際思ってませんでした。」
「おう。とにかく座れや。
愛美ちゃんは、俺の隣!
話しが、まともに出来なくなる!」
竹中さんにビシッと言われ、仕方なさそうに愛美は言われるままに座った。
俺も竹中さんの向かいの席に腰を下ろした。

ブラックコーヒーを頼み、一息ついてから俺は話し出した。
「先ずは、愛美の写真をくれ。
中を確認させてくれ。」
「はい。
見ない方がいいって言われて、渡されたんだけど…。」
愛美は厚手のA4サイズの茶封筒をテーブルの上に差し出した。

俺はゆっくりと封筒の中身を取り出した。
中から2枚の写真が出て来た。

「これは!?」
写真にはうつ伏せになった身体に、顔は左側を向いた少年が鼻、口、耳、目から血を流して死んでいる姿が写っていた。
顔のアップ、全身を写した物、

うぐっ。
思わずコーヒーが噴き出そうになった。
「おいっ!こっちに噴くなよ!」
竹中さんが腕を上げて顔を庇った。
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