忘却の魔法

少年達の軌跡

第13話

俺は金井に気を遣い、天堂と鈴のいる部屋へと移動した。
「天堂君にもいずれ、何かでお返ししないといけないな。」
「いいえ、仕事の１つですし。
それに、無駄なようでも人脈を作り続ければ、情報に繋がります。
僕のデータベースがアップデート出来るんですよ。」
「人間的にも出来た青年だよ～。
あ！そうだ…アナスタシアって名前調べられるかな？えっと～。
そうだな、『ナンバーズ』がいた頃の子供達と同年代で、天外博士や相楽教授の行動範囲内のエリアで。」

「アナスタシア…ロシア系の人ですかね。
一応調べておきます。
けれど、情報が少ないので、あまり期待しないで下さいね。」
天堂が少し照れながら、鼻の下を指で擦った。
「何を言ってんだよ。
今までの実績ハンパないじゃんか！
天堂の出来る範囲の情報で十分だよ。」
「はい。了解しました。」

そんな話ししてるうちに、鈴のいる部屋に着いた。

コンコン。
ガチャ。
「終わりました。鈴さんを迎えに来ましたよ。」
鈴は腕組みをしながら頭を左右に大きく揺らし、目の前に広げられた地図を見ていた。
女子社員が何やら鈴の指差した位置に付箋を貼って行く。

「何を…してるんだ？」
俺は不思議な光景に目を奪われた。

「あ、すみません。
金井副社長に言われて、昼休みの食事場所を探してたんです。
美味しくて、あまり待ち時間の無いところ。
鈴さんの勘が当たるので、重宝してます。」
「そんな事が…わかるのか？」
「ん…人ゾロゾロ流れる…少ないところあるから…。」
何だかわかんね～！相変わらずだな。
けど…金井には鈴の言ってる事がわかるんだよな。
俺もレベルアップしなきゃいかんな。