忘却の魔法

平塚冴子

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小児科医と教授と博士

第10話

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「あの…これ。本当につまらない物ですが…。」
俺は手土産の猫グッズを差し出した。
内心本当に喜ぶかどうか不安だった。

「これは!これは!なんと愛らしい。
よく、私の好みのツボを知っていましたね。
どうぞ、ソファに座って。」
真鍋先生は満面の笑みで喜んでくれた。
掴みはオッケーだ!

「はい。失礼します。
鈴がそう言っていたので。」
ソファに座りながら言った。
「ああ、そうでしたね。
あの子には嘘はつけませんからね。
今現在、あなたの元にいると。」
「相楽教授は俺の友達に預けたんですが…、俺の方に懐かれてしまって。」
「ほう。懐いたんですか?
って事は…あまり、くよくよ悩んだりしないタイプですかね。
あれこれ理屈っぽい人は、鈴を混乱させるんですよ。」
「バカ…って事ですかね。」
「いえいえ。すいません。
そういう意味では。
ところで、私に何の話しを?
鈴が関係してるのであれば、相楽教授の件ですかね。」
「はい。…というより、『ナンバーズ』について話しを聞きたくて。」

「懐かしいですね。その名前。
以前、相楽と研究してましたよ。
『ナンバーズ』の子供達は個性的で飽きなかった。
しかも、それぞれが純粋で大人の様な悪意は感じられない。」
「子供が本当に好きなんですね。」
「子供と猫がね。」
「相楽教授と天外博士の確執を知っていますか?」
「ええ。
あれは天外博士が悪いと私は今でも思ってますよ。
他人の研究を横取りしようなんて。
学者としては恥ずべき行為です。」
「横取りした研究とは『18番』の事ですか?」
一瞬真鍋先生は、間を開けてまじまじとこちらを見た。
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