忘却の魔法

平塚冴子

文字の大きさ
上 下
74 / 191
ナンバーズ

第6話

しおりを挟む
夜…大浴場から金井と部屋に戻って、布団の敷かれた状態を見て頭を抱えて絶句した。
「これは…3Pというやつですかね…。」
金井は冷静な口調でとんでもない事を言い放った。
「金井!3P言うな!並んでるだけ!
布団3組横並びにされてるだけ!」
全力否定だよンなの!

俺は急いで布団をズラしにかかった。
ドサッ!
鈴が真ん中の布団にダイブした。
「…鈴…真ん中で寝る…1人嫌…!」
「ばっ、バカっ!出来るか!ンなの!」
何を言いだすんだ!この女はー!

「困りましたね…これは、さすがに僕も理性の保障は出来ませんね。
欲情したらすいません。」
金井も澄ました顔つきで何、身もふたもない言ってんのー?

「…1人怖い…1人嫌…。」
鈴が肩を震わせ始めた。

「あーもう!仕方ねぇな!」
俺は頭をボリボリと掻いた。
「そうですね…僕も極力、手を出さないように努力します。」
「極力じゃねーよ!出すなよ!絶対に!」
俺は金井を恫喝した。

何でこんな事になるんだよ。
相楽教授は一体何処に行ったんだ?
早く、こいつを迎えに来てくれよ。

そして…結局、3組並べられた布団に左から、俺、鈴、金井で並んで寝る事になってしまった。
何の罰ゲームだよコレは…。

部屋の電気を消して、提灯の灯りの中で、動揺しまくって眠れない俺。
そんな俺を尻目に、鈴はスヤスヤと眠りに着いていた。
…が、…。

「金井…何ドサクサに紛れて、鈴の手ェ握ってんだよ。」
「いや、誤解です。
ほら、鈴の方が握って離してくれなくて。
…その気になっちゃいそうです。」
「なるな!なるなよ!お前は!
イケメンポジション維持しろ!
道を外すな!」
「大丈夫ですよ。
そんなにヤキモチを妬かないで下さい。」
「誰が誰にヤキモチだ!コラァ!」
「しーっ。静かに。
鈴が怯えているのは…近藤 陸の存在かも知れませんね。
この手、結構強く握られてます。」
金井は自分の鈴に握られてる左手を持ち上げた。
「あ…。」

身の危険を感じてる今…。
このまま、俺と居て大丈夫なんだろうか?
一応、女の子だしな…。

「…って!コラァ!金井!」
金井の奴がドサクサ紛れに、鈴の握られてる手に
口づけをした。
ガッ!
俺は金井にゲンコツを食らわした。
「痛っ!」
「油断も隙もねぇなー!」
「…ごめん、つい。」
ついじゃねーよ!このマニアがぁ!

おかげで、その夜は隣りが気になって、一睡も出来なかった。
金井の奴はそんな俺を尻目に、安らかに眠りにつきやがった!
くそっ!車の中で爆睡してやる!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

消された過去と消えた宝石

志波 連
ミステリー
大富豪斎藤雅也のコレクション、ピンクダイヤモンドのペンダント『女神の涙』が消えた。 刑事伊藤大吉と藤田建造は、現場検証を行うが手掛かりは出てこなかった。   後妻の小夜子は、心臓病により車椅子生活となった当主をよく支え、二人の仲は良い。 宝石コレクションの隠し場所は使用人たちも知らず、知っているのは当主と妻の小夜子だけ。 しかし夫の体を慮った妻は、この一年一度も外出をしていない事は確認できている。 しかも事件当日の朝、日課だったコレクションの確認を行った雅也によって、宝石はあったと証言されている。 最後の確認から盗難までの間に人の出入りは無く、使用人たちも徹底的に調べられたが何も出てこない。  消えた宝石はどこに? 手掛かりを掴めないまま街を彷徨っていた伊藤刑事は、偶然立ち寄った画廊で衝撃的な事実を発見し、斬新な仮説を立てる。 他サイトにも掲載しています。 R15は保険です。 表紙は写真ACの作品を使用しています。

10u

朽縄咲良
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞奨励賞受賞作品】  ある日、とある探偵事務所をひとりの男性が訪れる。  最近、妻を亡くしたというその男性は、彼女が死の直前に遺したというメッセージアプリの意味を解読してほしいと依頼する。  彼が開いたメッセージアプリのトーク欄には、『10u』という、たった三文字の奇妙なメッセージが送られていた。  果たして、そのメッセージには何か意味があるのか……? *同内容を、『小説家になろう』『ノベルアッププラス』『ノベルデイズ』にも掲載しております。

伏線回収の夏

影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷では不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。 《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》

天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ
ミステリー
表紙の子は赤野周作君。 一つ一つで、お話は別ですので、一つずつお楽しいただけます。 【都市伝説】 「田舎町の神社の片隅に打ち捨てられた人形が夜中に動く」 そんな都市伝説を調べに行こうと幼馴染の木根元子に誘われて調べに行きます。 【雪の日の魔物】 周作と優作の兄弟で、誘拐されてしまいますが、・・・どちらかと言えば、周作君が犯人ですね。 【歌う悪魔】 聖歌隊に参加した周作君が、ちょっとした事件に巻き込まれます。 【天国からの復讐】 死んだ友達の復讐 <折り紙から、中学生。友達今井目線> 【折り紙】 いじめられっ子が、周作君に相談してしまいます。復讐してしまいます。 【修学旅行1~3・4~10】 周作が、修学旅行に参加します。バスの車内から目撃したのは・・・。 3までで、小休止、4からまた新しい事件が。 ※高一<松尾目線> 【授業参観1~9】 授業参観で見かけた保護者が殺害されます 【弁当】 松尾君のプライベートを赤野君が促されて推理するだけ。 【タイムカプセル1~7】 暗号を色々+事件。和歌、モールス、オペラ、絵画、様々な要素を取り入れた暗号 【クリスマスの暗号1~7】 赤野君がプレゼント交換用の暗号を作ります。クリスマスにちなんだ暗号です。 【神隠し】 同級生が行方不明に。 SNSや伝統的な手品のトリック ※高三<夏目目線> 【猫は暗号を運ぶ1~7】 猫の首輪の暗号から、事件解決 【猫を殺さば呪われると思え1~7】 暗号にCICADAとフリーメーソンを添えて♪ ※都市伝説→天使の顔して悪魔は嗤う、タイトル変更

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

さんざめく左手 ― よろず屋・月翔 散冴 ―

流々(るる)
ミステリー
【この男の冷たい左手が胸騒ぎを呼び寄せる。アウトローなヒーロー、登場】 どんな依頼でもお受けします。それがあなたにとっての正義なら 企業が表向きには処理できない事案を引き受けるという「よろず屋」月翔 散冴(つきかけ さんざ)。ある依頼をきっかけに大きな渦へと巻き込まれていく。彼にとっての正義とは。 サスペンスあり、ハードボイルドあり、ミステリーありの痛快エンターテイメント! ※さんざめく:さざめく=胸騒ぎがする(精選版 日本国語大辞典より)、の音変化。 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

処理中です...