忘却の魔法

平塚冴子

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脳内記憶研究所

第17話

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「少年犯罪者の家族は金銭を受け取るどころか…『脳内記憶研究所』に対して、100万前後の支払いをしています。
研究寄付金としてです。」

「研究寄付金!?」
なんで、家族が支払うんだ?
人体実験される自分の子供に…!?
あり得ないだろ!?

俺の頭は混乱した…。
何故金が『脳内記憶研究所』に流れるんだ?
天外博士や新生院 桔梗は仁科 加奈子は金への執着心が強いと言っていた。
どういうカラクリなんだ?
仁科 加奈子…早く会いたいと言う反面、会うのが恐ろしい気がして来た。

ギュッ。
「えっ…?なんだよ鈴。」
鈴が急に俺の手を握り締めて、見上げた。
「…梶…怖くない…鈴が守る。」
「はああ?つ…ハハ!
アホか!何で俺がお前に守られるんだよ!
お前こそ、俺にしっかりくっついて来いよ。」
ポンポンと鈴の頭を触った。

「すっかり子持ちみたいですね。くくっ。」
「笑うなよって。
俺はそんなに、歳食ってねぇ!
お前と同じ歳だろうが!」

そう、言ってはみたものの。
自分でも最近、鈴といる事でだいぶ変わって来たと思う。
鈴の世話をする為に、あちこちに意識を張り巡らせ、緊張感を持ったり、はたまた、のんびりと椅子に座ってるだけなのに…1人いる安心感で孤独を感じる事はなかった。
他人の呼吸が、こんなに安心出来るものだって、暫く忘れていた。
一匹狼を気取って孤独でいた俺は、またあの孤独に戻れるだろうか? 
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