忘却の魔法

少年達失踪の都市伝説

第12話

「良いネタないんだよ。オカルトにしても、なんか作り物ばっかのネタでよ。
ゾクゾクするのがねーの！
このまま定年だよ。
寂しいなーー！」
「竹中さん、そんなあなたに、耳寄りなお話です。」
「おっ？梶～またゲスなネタかぁ？」
「違いますよ！ほら、この前の飲み会で、僕に話してくれた噂、覚えてます？」
「んん？あっと…何だっけ？」
ボケかよ、ジジイは。
俺は、ゆっくりと向かい側のソファにこしをおろした。

「ここ5年間毎年、同じ少年院で凶悪犯罪を犯した者が立て続けで亡くなってるって。
事故や病死で亡くなり、不審な点も無いのだけれど、共通点は全て残虐性のある殺人者。
しかも、人体実験の為に戸籍を抹消されてるって話し。」
「ああ、ネットでの噂だったなぁ。
その噂が出たのは、幼児6人を解体殺人した当時16歳の少年 、加藤 星斗が少年院に入って1週間で事故死した事に始まった。
調べると前年度には婦女暴行殺人者の少年が、急性白血病で死亡、他にも前後の年にそういう奴等が事故死か病死で亡くなってた。
全て同じ少年院だ。」
「ええ、俺もその辺はネットを調べてわかりました。」
「…で、オカルト好きの奴等が人体実験か？って騒ぎ出したんだ。
ま、確たる証拠もないから直ぐに噂は消えたが、久々に面白い話だと思って、お前に話したんだ。」
「それですよ！
調べてみると、ある事が判明したんですよ。
その少年院関係者が年に何回か、山奥の『脳内記憶研究所』という場所に護送車で入って行くのを目撃されてました。」
「護送車だと？おいおいマジか？」
お！食い付いた。
竹中さんは、さっきまでしていたスマホゲームをソファの上に投げ飛ばした。
「証拠がありませんが、証言は取れました。
ですが…、その施設は接触に難しいので、別方向から接触を試みている最中なんですよ。」