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保健室同盟(仮)と前期図書委員
第19話
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「神谷先輩、図書室の方はどうでした?」
「やっぱり三谷先輩が早くから来ていた。
しかも、途中で視線が合ったから、猛ダッシュして来たんだ。
警戒は強くなってるな。
今日の高橋先輩の対話について、出来ればだけど、口止めをお願いした方が良さそうかもな。」
「そうですか。」
「そうだ。
昨日、1年の図書委員とかから何か聞けたかな?」
「…いえ、特に聞けたと言うより、反応した事はしました。」
「反応…?」
「やはり、動物…白い毛の動物の話しで、白いモフモフって言ったら…何かを思い出してる様な目をして…。
人間が癒されるのと同時に動物の方も、きっと幸せを感じてる…って。
でも、どこか寂しそうな気がしました。」
「……ん、あ、いや。
ごめん、ちょっと想像してしまった。」
「えっ?どんな想像ですか?」
僕は神谷先輩の考えに興味津々で、顔を覗き込んだ。
けれど、神谷先輩は僕の顔の前にそっと手を出して停止させた。
「いや、あくまでも僕個人の想像の範囲だ。
勝手な想像は、正しい推理を狂わせる。
僕の想像と推理からなる結論が一致してから話すよ。」
「…そうですね。
勝手な憶測は逆に、答えを捻じ曲げかねませんね。
わかりました。
もう少し、先の事が分かってから、教えて下さい。」
「ごめんね。
けど…今日の高橋先輩との対話で、謎解明が先へ進むのは間違いないと思ってるんだ。」
「あ!はい。
その事で…少し神谷先輩の耳に入れて欲しい情報があります。」
僕は昨日、樹さんから仕入れた情報を大まかに説明した。
「…なるほど、やはり図書で被害にあった本の貸し出し記録の上位には神部先輩の名があったんだね。
そして、前期図書委員長だった重谷先輩との仲も事故後も依然に親しい。
高橋さんとは疎遠になってるか…。
あと、僕もその第一発見者だった藤谷さん…の話しを聞きたい…同じ2年だけど…、僕はよく知らないな。
土屋さんの方に接点があれば、いいんだけど。」
「ですね。
あ、でも藤谷先輩と話しが出来そうな時は、神谷先輩も間に入って下さいね。
土屋先輩だと、正しい情報も怪しくなりそうですし…。」
「はあ!そうだね。
それは、その通りだ…そういう点では、もう少し信頼できる女子が欲しいところだよな。
まあ、土屋さんも度胸があるって点では評価するんだけど、繊細な対応は望めないからなぁ。」
神谷先輩は大きな溜息をついて、頭をかいた。
それって…森園先輩のことかなぁ。
僕もそう、思ってる。
森園先輩は知らないと思うけど…あなたを待ち望んでる人間が、少なくても2人はここにいるんですよ。
僕はそっと胸の中で呟いた。
さて、話しをしてる間に早川さんの登校時間が近いて来た。
「神谷先輩、あとは土屋先輩も交えて、お昼休みに会議しましょう。
僕、もう行きますね。」
「了解!じゃあ、お昼休みに。」
昼休みの約束をして僕は保健室を出て、早川さんを監視するために屋上へと上がった。
「やっぱり三谷先輩が早くから来ていた。
しかも、途中で視線が合ったから、猛ダッシュして来たんだ。
警戒は強くなってるな。
今日の高橋先輩の対話について、出来ればだけど、口止めをお願いした方が良さそうかもな。」
「そうですか。」
「そうだ。
昨日、1年の図書委員とかから何か聞けたかな?」
「…いえ、特に聞けたと言うより、反応した事はしました。」
「反応…?」
「やはり、動物…白い毛の動物の話しで、白いモフモフって言ったら…何かを思い出してる様な目をして…。
人間が癒されるのと同時に動物の方も、きっと幸せを感じてる…って。
でも、どこか寂しそうな気がしました。」
「……ん、あ、いや。
ごめん、ちょっと想像してしまった。」
「えっ?どんな想像ですか?」
僕は神谷先輩の考えに興味津々で、顔を覗き込んだ。
けれど、神谷先輩は僕の顔の前にそっと手を出して停止させた。
「いや、あくまでも僕個人の想像の範囲だ。
勝手な想像は、正しい推理を狂わせる。
僕の想像と推理からなる結論が一致してから話すよ。」
「…そうですね。
勝手な憶測は逆に、答えを捻じ曲げかねませんね。
わかりました。
もう少し、先の事が分かってから、教えて下さい。」
「ごめんね。
けど…今日の高橋先輩との対話で、謎解明が先へ進むのは間違いないと思ってるんだ。」
「あ!はい。
その事で…少し神谷先輩の耳に入れて欲しい情報があります。」
僕は昨日、樹さんから仕入れた情報を大まかに説明した。
「…なるほど、やはり図書で被害にあった本の貸し出し記録の上位には神部先輩の名があったんだね。
そして、前期図書委員長だった重谷先輩との仲も事故後も依然に親しい。
高橋さんとは疎遠になってるか…。
あと、僕もその第一発見者だった藤谷さん…の話しを聞きたい…同じ2年だけど…、僕はよく知らないな。
土屋さんの方に接点があれば、いいんだけど。」
「ですね。
あ、でも藤谷先輩と話しが出来そうな時は、神谷先輩も間に入って下さいね。
土屋先輩だと、正しい情報も怪しくなりそうですし…。」
「はあ!そうだね。
それは、その通りだ…そういう点では、もう少し信頼できる女子が欲しいところだよな。
まあ、土屋さんも度胸があるって点では評価するんだけど、繊細な対応は望めないからなぁ。」
神谷先輩は大きな溜息をついて、頭をかいた。
それって…森園先輩のことかなぁ。
僕もそう、思ってる。
森園先輩は知らないと思うけど…あなたを待ち望んでる人間が、少なくても2人はここにいるんですよ。
僕はそっと胸の中で呟いた。
さて、話しをしてる間に早川さんの登校時間が近いて来た。
「神谷先輩、あとは土屋先輩も交えて、お昼休みに会議しましょう。
僕、もう行きますね。」
「了解!じゃあ、お昼休みに。」
昼休みの約束をして僕は保健室を出て、早川さんを監視するために屋上へと上がった。
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