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図書室の怪人と夜のデート
第14話
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登校時間もそろそ後半になってきて、僕はチラチラと登校してくる生徒を確認しつつ、神谷先輩と話した。
そろそろ宮地が登校してくるはず…。
ここ3日間で、宮地がそれほど早い時間には登校して来ない事が判明した。
まあ、実際に教室に入って来るのはいつもギリギリだったから予想はしていた。
そして早川さんは登校時間終了15分前には登校するみたいだ。
上手くこの宮地のいない15分以内に早川さんと接触できればいいのかも。
この時間なら田中や安村もいないし。
とりあえず、有効に使えそうな時間だと記憶しておこう。
ガラッ!バン!
「おはよう!諸君!!」
勢いよく土屋先輩が中に入って来た。
「おはようございます。
土屋先輩。」
「おはよう…ていうか、もっと静かに開けてよ。
扉が壊れちゃうだろ。
保健室に出入り禁止になって困るのは僕等だよ。」
土屋先輩は神谷先輩に怒られて、頬を膨らませて抗議した。
「もうっ!せっかく気分良く登校して来たのに!
冷たいじゃない!もっと優しくしてよ!」
「じゃあ。
優しく、土屋さんにお願いしたい事があるんだ。
今日は図書室はお休みだし、ここはひとつ方向を変えて、担当だった先生から話しを聞き出して貰いたい。
特に初めの事件の際に現場にいた図書委員の名前とか様子とか、本の状態で気が付いた事とか。」
「本格的捜査ね!
聞き込みは刑事の捜査第一歩!
任せなさい!」
刑事って…なりきるの早い~!
女の子って複雑怪奇だと思い込んでたけど、土屋先輩なら意外とわかりやすい性格かも。
単純と言えばそれまでなんだけど。
素直と言えば素直。
ヘタに裏表あって陰でコソコソ噂する女子より清々しい。
…そして、神谷先輩は土屋先輩の操縦方法に慣れて来たのか、上手く誘導していた。
日に日に上達する扱い方はまるで猛獣使いのようだった。
「では!土屋刑事、本日放課後より任務の実行をお願いします。」
「はっ!了解しました!」
2人が敬礼して向き合った。
刑事じゃなくて軍人さんだよソレ。
などと、心の中で軽くツッコミをいれた。
「僕は図書カードの履歴を調べたいんで、放課後パソコンルームから図書室の端末にアクセスしてみるよ。
重要データじゃないから、多分簡単にアクセスできるはずだし。」
「図書カード履歴ぃ~?
随分と遠くからの情報集めね。
まぁ、地道でマニアックな神谷君には合ってるかしら。」
地道はとにかく、マニアックって…。
心の声がダダ漏れし過ぎだよ…土屋先輩。
悪意が無いだけあって、余計に怖い。
ふと窓の向こうに宮地の姿が見えた。
今日は田中との登校だ…下向き加減だな…表情が見えない分、今日の機嫌が良い方なのか悪い方なのかわからない。
んん…昨日みたく、イジメるタイミングを毎回コントロール出来ると、この先罠を張りやすくなりそうなんだけど。
昨日はチャンスがたまたまやって来た感があるからな…さて、今日はどうなるか。
放課後までかからなければ良いんだけど…。
最悪、時間に限りがあるから奈落に例のサインを送らなきゃならなくなるかも。
…小指を立てて人差し指と親指で耳を掴み、肘は45度…。
僕は合図の動作を頭の中で確認した。
よし、イメージ上では完璧だ。
「そろそろ、教室に行かないとね。
有村君も捜査はあくまでも遊びだから、程々に楽しむ感じでね。
今週はあと2日しかないから、明日僕が図書室を見るから明後日お願いするよ。
来週1週間は僕が朝見るからね。」
「あ、はい。
よろしくお願いします。」
「何何?有村君は図書室覗くだけ?」
土屋先輩が僕の顔を凝視した。
「逆だよ!土屋さんには最も重要な任務を任せたんだ。
有村君には荷が重いからね。」
上手いぃ!神谷先輩の切り返しに感動すら覚えた。
「…そうね。そういえば。
1年生に重荷を背負わせる訳には行かないわよね。
じゃあ、有村君はその…ん~、図書室監視任務を遂行するのね。
ふふふ。
同盟活動らしくなって来た!
じゃあ、またお昼休みにね~!」
土屋先輩は機嫌よくテンションを上げたまま、行室へと向かって行った。
僕と神谷先輩は目を合わせて、ため息をつきながら、苦笑いをした。
「僕等も教室に行こう。
遅刻したら、早く来た意味が無くなっちゃうし。
お昼休みにね。有村君。」
「はい、お昼休みに。」
そろそろ宮地が登校してくるはず…。
ここ3日間で、宮地がそれほど早い時間には登校して来ない事が判明した。
まあ、実際に教室に入って来るのはいつもギリギリだったから予想はしていた。
そして早川さんは登校時間終了15分前には登校するみたいだ。
上手くこの宮地のいない15分以内に早川さんと接触できればいいのかも。
この時間なら田中や安村もいないし。
とりあえず、有効に使えそうな時間だと記憶しておこう。
ガラッ!バン!
「おはよう!諸君!!」
勢いよく土屋先輩が中に入って来た。
「おはようございます。
土屋先輩。」
「おはよう…ていうか、もっと静かに開けてよ。
扉が壊れちゃうだろ。
保健室に出入り禁止になって困るのは僕等だよ。」
土屋先輩は神谷先輩に怒られて、頬を膨らませて抗議した。
「もうっ!せっかく気分良く登校して来たのに!
冷たいじゃない!もっと優しくしてよ!」
「じゃあ。
優しく、土屋さんにお願いしたい事があるんだ。
今日は図書室はお休みだし、ここはひとつ方向を変えて、担当だった先生から話しを聞き出して貰いたい。
特に初めの事件の際に現場にいた図書委員の名前とか様子とか、本の状態で気が付いた事とか。」
「本格的捜査ね!
聞き込みは刑事の捜査第一歩!
任せなさい!」
刑事って…なりきるの早い~!
女の子って複雑怪奇だと思い込んでたけど、土屋先輩なら意外とわかりやすい性格かも。
単純と言えばそれまでなんだけど。
素直と言えば素直。
ヘタに裏表あって陰でコソコソ噂する女子より清々しい。
…そして、神谷先輩は土屋先輩の操縦方法に慣れて来たのか、上手く誘導していた。
日に日に上達する扱い方はまるで猛獣使いのようだった。
「では!土屋刑事、本日放課後より任務の実行をお願いします。」
「はっ!了解しました!」
2人が敬礼して向き合った。
刑事じゃなくて軍人さんだよソレ。
などと、心の中で軽くツッコミをいれた。
「僕は図書カードの履歴を調べたいんで、放課後パソコンルームから図書室の端末にアクセスしてみるよ。
重要データじゃないから、多分簡単にアクセスできるはずだし。」
「図書カード履歴ぃ~?
随分と遠くからの情報集めね。
まぁ、地道でマニアックな神谷君には合ってるかしら。」
地道はとにかく、マニアックって…。
心の声がダダ漏れし過ぎだよ…土屋先輩。
悪意が無いだけあって、余計に怖い。
ふと窓の向こうに宮地の姿が見えた。
今日は田中との登校だ…下向き加減だな…表情が見えない分、今日の機嫌が良い方なのか悪い方なのかわからない。
んん…昨日みたく、イジメるタイミングを毎回コントロール出来ると、この先罠を張りやすくなりそうなんだけど。
昨日はチャンスがたまたまやって来た感があるからな…さて、今日はどうなるか。
放課後までかからなければ良いんだけど…。
最悪、時間に限りがあるから奈落に例のサインを送らなきゃならなくなるかも。
…小指を立てて人差し指と親指で耳を掴み、肘は45度…。
僕は合図の動作を頭の中で確認した。
よし、イメージ上では完璧だ。
「そろそろ、教室に行かないとね。
有村君も捜査はあくまでも遊びだから、程々に楽しむ感じでね。
今週はあと2日しかないから、明日僕が図書室を見るから明後日お願いするよ。
来週1週間は僕が朝見るからね。」
「あ、はい。
よろしくお願いします。」
「何何?有村君は図書室覗くだけ?」
土屋先輩が僕の顔を凝視した。
「逆だよ!土屋さんには最も重要な任務を任せたんだ。
有村君には荷が重いからね。」
上手いぃ!神谷先輩の切り返しに感動すら覚えた。
「…そうね。そういえば。
1年生に重荷を背負わせる訳には行かないわよね。
じゃあ、有村君はその…ん~、図書室監視任務を遂行するのね。
ふふふ。
同盟活動らしくなって来た!
じゃあ、またお昼休みにね~!」
土屋先輩は機嫌よくテンションを上げたまま、行室へと向かって行った。
僕と神谷先輩は目を合わせて、ため息をつきながら、苦笑いをした。
「僕等も教室に行こう。
遅刻したら、早く来た意味が無くなっちゃうし。
お昼休みにね。有村君。」
「はい、お昼休みに。」
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