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情報とは最大の武器である
第4話
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僕の目の前の扉も開いたかのような錯覚を覚えた。
僕が考えていた事にかなり近い。
いや、それよりも確信に満ちた言葉だ。
「そこで…僕は彼女達を動物だと思って観察する事にした。
メモも動物名にして。
例えば、神楽は虎とか。
もしメモを見られてもなるべくわからないように。
そして、ワザと動物図鑑も持ち歩いたんだ。
小学生低学年だったから全然怪しまれないだろうって、カムフラージュも自分で考えて。
そうして行くうちに、相手が人間で感情があるって改めて気付かされたんだ。
そして…感情があるなら、弱みもあるって。
神楽は人の事はガンガン言うけど、自分の事を話すのは苦手だった。
けなされるだけじゃなく、褒められる事を含めて。
そこで、ある日また僕は神楽に引きずり回されたんだ。
その時、以前から録音して貯めていた神楽を褒める家族のセリフをあらかじめ編集して…それを大ボリュームでスピーカーで流したんだ。
神楽は途端に真っ赤になって僕を突き飛ばして逃げたんだ。」
「それ、あとで怒られたりとか…制裁とかはなかったの?」
「そこを…考えての褒め言葉だったんだよ。
悪口なら告げ口や、批判されるのは確実だ。
けど…褒め言葉なら、相手を責める事も出来ないし、ヘタに突っ込んで話しを蒸し返したいとは思わないと踏んだんだ。」
「小学生低学年で、そこまで考えたの?
うわあ!奈落の言った通り凄い人だ…尊敬する!樹さん!僕、感動しました!」
「あ…その。
観察し続けてると、冷静な判断出来るようになって来たんだ。
何て言うかな…。
第三者の目で見れるようになったんだ。
それで…それから、神楽は僕にあまり構わなくなったんだ。
挨拶とかはちゃんとしてくれるよ。
神楽は…きっと認めてくれたんだと思う。
あの答えに行き着くまでの、努力を神楽は直ぐに察したんだ。
神楽はキツいけど…やっぱり、家族を信頼して愛してると、僕は観察していて感じたんだ。」
『窮鼠猫を噛む』と言うのは聞くけど…噛むんじゃなくて、手なづける…そんな感じだ。
完全に樹さんは、あの神楽さんに勝利したんだ。
この目の前で、小さく座ってる樹さんが…あの狂犬のような神楽さんに…。
情報を制するものが勝利に1番近い…。
確かにそうだ。
今の僕には、まだまだだ宮地達の情報が足りない。
もっと、集めなければ。
単なる復讐なんかで終わらせたくない。
イジメを解決したいんだ。
そして、それを実現させるには情報コントロールだ。
樹さんの話しを聞いて、僕は俄然ヤル気が出てきた。
「な!樹は頑張り屋だろ!
俺も負けてらんねー!
伝説の1つや2つ作らないと!」
「伝説…って、そんなんじゃ…。
それに、奈落はそのままで充分カッコいいよ。
僕にとってはヒーローだ。
マッキーと2人で、よく助けて貰ったし。」
「2人ともカッコいいです!
話しを聞けて本当に良かった。」
樹さんはまた、顔を真っ赤にして奈落の腕で顔半分を隠した。
あははは、樹さんも褒められるのが苦手な方だな。
喧嘩の強い奴は拳が武器だ…でも、僕にはそんなもの持ち合わせていない。
頭だって、特別良い頭なんて持ってない。
だから…僕にはこの方法しかないんだ。
情報こそ、僕が持つべき最終兵器。
漠然としてるけど、それだけは確かだ。
「樹さん…情報収集するテクニック…尾行とかのってありますか?」
「えっと…僕は実働隊じゃないから尾行は…。
でも、話しを聞くところによると、変装は無理にやると逆に目立つよ。
…普通が1番…で、近いたり、必要以上に長時間はやめておいた方がいいかも。
一定の距離で…長くても3、40分くらい。
深追いは自分の足元を救われる。
焦らずコツコツだって、天童さんが言ってた。」
「なるほど…。
一気に情報集めをしようとしてはダメなんだ。
コツコツ積み上げる様にですね。」
「時間はかかるけど…確実に多くの情報を手に入れるには、これが1番だと思うんだ…。」
奈落の腕の陰からも樹さんは、ちゃんと答えてくれた。
僕が考えていた事にかなり近い。
いや、それよりも確信に満ちた言葉だ。
「そこで…僕は彼女達を動物だと思って観察する事にした。
メモも動物名にして。
例えば、神楽は虎とか。
もしメモを見られてもなるべくわからないように。
そして、ワザと動物図鑑も持ち歩いたんだ。
小学生低学年だったから全然怪しまれないだろうって、カムフラージュも自分で考えて。
そうして行くうちに、相手が人間で感情があるって改めて気付かされたんだ。
そして…感情があるなら、弱みもあるって。
神楽は人の事はガンガン言うけど、自分の事を話すのは苦手だった。
けなされるだけじゃなく、褒められる事を含めて。
そこで、ある日また僕は神楽に引きずり回されたんだ。
その時、以前から録音して貯めていた神楽を褒める家族のセリフをあらかじめ編集して…それを大ボリュームでスピーカーで流したんだ。
神楽は途端に真っ赤になって僕を突き飛ばして逃げたんだ。」
「それ、あとで怒られたりとか…制裁とかはなかったの?」
「そこを…考えての褒め言葉だったんだよ。
悪口なら告げ口や、批判されるのは確実だ。
けど…褒め言葉なら、相手を責める事も出来ないし、ヘタに突っ込んで話しを蒸し返したいとは思わないと踏んだんだ。」
「小学生低学年で、そこまで考えたの?
うわあ!奈落の言った通り凄い人だ…尊敬する!樹さん!僕、感動しました!」
「あ…その。
観察し続けてると、冷静な判断出来るようになって来たんだ。
何て言うかな…。
第三者の目で見れるようになったんだ。
それで…それから、神楽は僕にあまり構わなくなったんだ。
挨拶とかはちゃんとしてくれるよ。
神楽は…きっと認めてくれたんだと思う。
あの答えに行き着くまでの、努力を神楽は直ぐに察したんだ。
神楽はキツいけど…やっぱり、家族を信頼して愛してると、僕は観察していて感じたんだ。」
『窮鼠猫を噛む』と言うのは聞くけど…噛むんじゃなくて、手なづける…そんな感じだ。
完全に樹さんは、あの神楽さんに勝利したんだ。
この目の前で、小さく座ってる樹さんが…あの狂犬のような神楽さんに…。
情報を制するものが勝利に1番近い…。
確かにそうだ。
今の僕には、まだまだだ宮地達の情報が足りない。
もっと、集めなければ。
単なる復讐なんかで終わらせたくない。
イジメを解決したいんだ。
そして、それを実現させるには情報コントロールだ。
樹さんの話しを聞いて、僕は俄然ヤル気が出てきた。
「な!樹は頑張り屋だろ!
俺も負けてらんねー!
伝説の1つや2つ作らないと!」
「伝説…って、そんなんじゃ…。
それに、奈落はそのままで充分カッコいいよ。
僕にとってはヒーローだ。
マッキーと2人で、よく助けて貰ったし。」
「2人ともカッコいいです!
話しを聞けて本当に良かった。」
樹さんはまた、顔を真っ赤にして奈落の腕で顔半分を隠した。
あははは、樹さんも褒められるのが苦手な方だな。
喧嘩の強い奴は拳が武器だ…でも、僕にはそんなもの持ち合わせていない。
頭だって、特別良い頭なんて持ってない。
だから…僕にはこの方法しかないんだ。
情報こそ、僕が持つべき最終兵器。
漠然としてるけど、それだけは確かだ。
「樹さん…情報収集するテクニック…尾行とかのってありますか?」
「えっと…僕は実働隊じゃないから尾行は…。
でも、話しを聞くところによると、変装は無理にやると逆に目立つよ。
…普通が1番…で、近いたり、必要以上に長時間はやめておいた方がいいかも。
一定の距離で…長くても3、40分くらい。
深追いは自分の足元を救われる。
焦らずコツコツだって、天童さんが言ってた。」
「なるほど…。
一気に情報集めをしようとしてはダメなんだ。
コツコツ積み上げる様にですね。」
「時間はかかるけど…確実に多くの情報を手に入れるには、これが1番だと思うんだ…。」
奈落の腕の陰からも樹さんは、ちゃんと答えてくれた。
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