23 / 280
悩めるお金の使い方とサポーターとの関係
第14話
しおりを挟む
僕は母さんが帰宅していないのを確認して、アパートに入った。
洋服の袋が大きくて目立つので、明日着る袋以外は押入れの奥にしまった。
時間はもう午後7時を過ぎていた。
洗面所で手を洗いながら、自分の顔をマジマジと見た。
普通…もしくは根暗のブサイク…?
奈落達とは雲泥の差だ。
芸能人って言っても、疑われない容姿の持ち主なのに、全然そんなの気にしてない…て言うか、より良い仕事をする事の方が大事…そんな感じがした…。
彼らの価値観は仕事なのだろうか…?
ふと…別世界の人間…そんな距離感を感じて、1人きりの部屋が広く感じた。
本当なら一生出逢わなかった、人達。
人間が平等だなんて、バカな事を信じるほど、世間知らずじゃないけど…。
胸が少しだけ…苦しかった。
奈落と出逢ってから…時折、1人が辛い…。
ピロリン。
神谷先輩からメッセージが入った。
『明日の朝6時に駅前集合。
柱時計の下にて。』
『了解。』
僕はスタンプを押して返信して、すぐに奈落に転送した。
ピロリロリン。
奈落からのメッセージが来た。
『了解!俺が朝5時半に、そっちに行くから、一緒に行こう。
母親には江戸村パークに引率してくれる新任教師とか言ってごまかせ。
その方が、母親を安心させられるだろ。』
あ…。
この、何気ない心遣いが…僕の心を震わせる。
こんなに…優しい人間に触れた事がない…。
仕事だからと言われれば、それまでなのかもしれないけど…でも、それでも、僕の欲しい言葉をさり気なく掛けてくる奈落に、感謝しまくりだった。
『新任というか…非常勤講師かな。あはは。』
送信。
ピロリロリーン。
『何か?俺じゃ正式採用無しってか?
生意気~!可愛い顔つねるぞ!』
えっ…可愛い…顔?
あ…でも、奈落って美的センス無いって言ってたし…。
多分、犬猫と同じ感覚かな…。
『ドSだなぁ。…じゃあ、明日よろしく。』
送信。
ピロリン。
『よろしく!』
また、変なお化けのスタンプを送って来た。
センス無いって本当だなぁ。
クスっと笑いながら、米を研いで、炊飯ジャーに入れた。
母さんが帰ってきてすぐに支度出来る様に、お米を炊いて、お風呂を沸かした。
数分後、母さんが帰り際にスーパーに寄ったらしく、両手に荷物を持って帰宅した。
「おかえりなさい。お疲れ様。」
「あら、ご飯炊いてくれたの。
助かるわ。
今日は残業しちゃったからお惣菜買ってきたから、すぐに食べましょう。」
「うん。お風呂も沸かしておいたよ。」
「恵…?どうかしたの?
最近…急に良い子みたいに…。
前は部屋から出て来なかったのに…。」
母親が心配そうに顔を覗き込んだ。
「あ!その、友達…とか出来たから。
明日も、朝から江戸村パークに行ってくる。
先輩がチケット持ってて…。
非常勤講師の先生が引率してくれるから。」
「あら、あら、そう…、楽しんで行ってらっしゃい。」
半分嘘なのに…母さんは、凄く喜んでくれた。
奈落は友達じゃない…友達だと、良かったんだけど…。
すぐに、食事を終えて、後片づけをした後、お風呂に入った。
湯船に浸かりながら、考えてみた。
そう言えば、奈落や槇さん達も仕事で1日中働き詰めみたいだった。
母さんも…働くって大変なんだなぁ。
今、こうやって被験者になって、お金を沢山使えるけど…。
ああやって、働く人を間近で見ると、お金を稼ぐって大変なんだと感じる。
僕がこうしてる間にも、奈落は監視してるんだろうか?
明日…奈落と1日一緒にいられるんだ、色々と聞いてみよう。
僕は奈落の事が知りたくて知りたくてたまらなかった。
友達じゃないけど…出来るだけ…友達に近い存在でありたいと思ってしまっていた。
洋服の袋が大きくて目立つので、明日着る袋以外は押入れの奥にしまった。
時間はもう午後7時を過ぎていた。
洗面所で手を洗いながら、自分の顔をマジマジと見た。
普通…もしくは根暗のブサイク…?
奈落達とは雲泥の差だ。
芸能人って言っても、疑われない容姿の持ち主なのに、全然そんなの気にしてない…て言うか、より良い仕事をする事の方が大事…そんな感じがした…。
彼らの価値観は仕事なのだろうか…?
ふと…別世界の人間…そんな距離感を感じて、1人きりの部屋が広く感じた。
本当なら一生出逢わなかった、人達。
人間が平等だなんて、バカな事を信じるほど、世間知らずじゃないけど…。
胸が少しだけ…苦しかった。
奈落と出逢ってから…時折、1人が辛い…。
ピロリン。
神谷先輩からメッセージが入った。
『明日の朝6時に駅前集合。
柱時計の下にて。』
『了解。』
僕はスタンプを押して返信して、すぐに奈落に転送した。
ピロリロリン。
奈落からのメッセージが来た。
『了解!俺が朝5時半に、そっちに行くから、一緒に行こう。
母親には江戸村パークに引率してくれる新任教師とか言ってごまかせ。
その方が、母親を安心させられるだろ。』
あ…。
この、何気ない心遣いが…僕の心を震わせる。
こんなに…優しい人間に触れた事がない…。
仕事だからと言われれば、それまでなのかもしれないけど…でも、それでも、僕の欲しい言葉をさり気なく掛けてくる奈落に、感謝しまくりだった。
『新任というか…非常勤講師かな。あはは。』
送信。
ピロリロリーン。
『何か?俺じゃ正式採用無しってか?
生意気~!可愛い顔つねるぞ!』
えっ…可愛い…顔?
あ…でも、奈落って美的センス無いって言ってたし…。
多分、犬猫と同じ感覚かな…。
『ドSだなぁ。…じゃあ、明日よろしく。』
送信。
ピロリン。
『よろしく!』
また、変なお化けのスタンプを送って来た。
センス無いって本当だなぁ。
クスっと笑いながら、米を研いで、炊飯ジャーに入れた。
母さんが帰ってきてすぐに支度出来る様に、お米を炊いて、お風呂を沸かした。
数分後、母さんが帰り際にスーパーに寄ったらしく、両手に荷物を持って帰宅した。
「おかえりなさい。お疲れ様。」
「あら、ご飯炊いてくれたの。
助かるわ。
今日は残業しちゃったからお惣菜買ってきたから、すぐに食べましょう。」
「うん。お風呂も沸かしておいたよ。」
「恵…?どうかしたの?
最近…急に良い子みたいに…。
前は部屋から出て来なかったのに…。」
母親が心配そうに顔を覗き込んだ。
「あ!その、友達…とか出来たから。
明日も、朝から江戸村パークに行ってくる。
先輩がチケット持ってて…。
非常勤講師の先生が引率してくれるから。」
「あら、あら、そう…、楽しんで行ってらっしゃい。」
半分嘘なのに…母さんは、凄く喜んでくれた。
奈落は友達じゃない…友達だと、良かったんだけど…。
すぐに、食事を終えて、後片づけをした後、お風呂に入った。
湯船に浸かりながら、考えてみた。
そう言えば、奈落や槇さん達も仕事で1日中働き詰めみたいだった。
母さんも…働くって大変なんだなぁ。
今、こうやって被験者になって、お金を沢山使えるけど…。
ああやって、働く人を間近で見ると、お金を稼ぐって大変なんだと感じる。
僕がこうしてる間にも、奈落は監視してるんだろうか?
明日…奈落と1日一緒にいられるんだ、色々と聞いてみよう。
僕は奈落の事が知りたくて知りたくてたまらなかった。
友達じゃないけど…出来るだけ…友達に近い存在でありたいと思ってしまっていた。
0
お気に入りに追加
147
あなたにおすすめの小説
【完結】貴方の子供を産ませてください♡〜妖の王の継承者は正妻志望で学園1の銀髪美少女と共に最強スキル「異能狩り」で成り上がり復讐する〜
ひらたけなめこ
キャラ文芸
【完結しました】【キャラ文芸大賞応援ありがとうございましたm(_ _)m】
妖の王の血を引く坂田琥太郎は、高校入学時に一人の美少女と出会う。彼女もまた、人ならざる者だった。一家惨殺された過去を持つ琥太郎は、妖刀童子切安綱を手に、怨敵の土御門翠流とその式神、七鬼衆に復讐を誓う。数奇な運命を辿る琥太郎のもとに集ったのは、学園で出会う陰陽師や妖達だった。
現代あやかし陰陽譚、開幕!
キャラ文芸大賞参加します!皆様、何卒応援宜しくお願いいたしますm(_ _)m投票、お気に入りが励みになります。
著者Twitter
https://twitter.com/@hiratakenameko7
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
吉祥寺あやかし甘露絵巻 白蛇さまと恋するショコラ
灰ノ木朱風
キャラ文芸
平安の大陰陽師・芦屋道満の子孫、玲奈(れな)は新進気鋭のパティシエール。東京・吉祥寺の一角にある古民家で“カフェ9-Letters(ナインレターズ)”のオーナーとして日々奮闘中だが、やってくるのは一癖も二癖もあるあやかしばかり。
ある雨の日の夜、玲奈が保護した迷子の白蛇が、翌朝目覚めると黒髪の美青年(全裸)になっていた!?
態度だけはやたらと偉そうな白蛇のあやかしは、玲奈のスイーツの味に惚れ込んで屋敷に居着いてしまう。その上玲奈に「魂を寄越せ」とあの手この手で迫ってくるように。
しかし玲奈の幼なじみであり、安倍晴明の子孫である陰陽師・七弦(なつる)がそれを許さない。
愚直にスイーツを作り続ける玲奈の周囲で、謎の白蛇 VS 現代の陰陽師の恋のバトルが(勝手に)幕を開ける――!
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル
諏訪錦
青春
アルファポリスから書籍版が発売中です。皆様よろしくお願いいたします!
6月中旬予定で、『クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル』のタイトルで文庫化いたします。よろしくお願いいたします!
間久辺比佐志(まくべひさし)。自他共に認めるオタク。ひょんなことから不良たちに目をつけられた主人公は、オタクが高じて身に付いた絵のスキルを用いて、グラフィティライターとして不良界に関わりを持つようになる。
グラフィティとは、街中にスプレーインクなどで描かれた落書きのことを指し、不良文化の一つとしての認識が強いグラフィティに最初は戸惑いながらも、主人公はその魅力にとりつかれていく。
グラフィティを通じてアンダーグラウンドな世界に身を投じることになる主人公は、やがて夜の街の代名詞とまで言われる存在になっていく。主人公の身に、果たしてこの先なにが待ち構えているのだろうか。
書籍化に伴い設定をいくつか変更しております。
一例 チーム『スペクター』
↓
チーム『マサムネ』
※イラスト頂きました。夕凪様より。
http://15452.mitemin.net/i192768/
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる