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悩めるお金の使い方とサポーターとの関係

第2話

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 1年A組。
 僕はクラスに音もなく入ると、落書きされた机の上にため息をつきながら、座った。
 クスクスと下品な笑い声が聞こえる。
 こんな、くだらない事で笑える…僕にしたら、そっちの方がレベル低いんだけど…。
 
「ちょっと~!宮地!」
 
 イジメの首謀者…宮地 保みやじ たもつの元に女子が1人駆け寄った。
 宮地は不良とまではいかないが、短髪で服装をワザと乱してる、ちょいワルな感じの生徒だ。

「何だよ。」
「ヤバイよ…2年の女子が…。」
「自殺未遂!?マジか…。」
「やり過ぎないようにしないと…。
 彼が自殺したら、えらい問題になるよ。」
「…手はしばらく出してね~から大丈夫だよ。」

 何が大丈夫なんだか?
 手は出してなくても、口にも出してるし、行動も起こしてる。
 自分の行動も理解して無いのか…。
 都合の悪い事は…目をつむる性格…子供っぽい。
 僕はスマホのメモ機能に、メモをした。

 今まで、こんな事はしなかったが、観察して行くうちに、あんなに恐れていた人間が、ものすごく小さな人間で、低いレベルの思考の人間だと気が付いた…。
 何だか…僕の方がレベルアップしてる気がして来た。

 ホームルームを終えて、僕はトイレに行こうと席を立った。
 すると、宮地とその仲間が着いてくるのがわかった。

 僕は気が付いていながら、トイレに入った。
 個室に入って鍵をかけると、ワザと個室のドアを蹴り出した。

ガッ!ガッガッ!

「個室なんて入りやがって!」
「大っきいのしてんのかよ!だはは!」
 
 僕は急いで奈落にメッセージを送った。

『トイレの個室から出られない!』
 すぐに返信が返って来た。
ピロリン。
『軽度救出料金人数かける1万円。』
『OK!早く!』
ピロリン。
『了解!』

「何とか言えよ~!はは…は…?」
「えっ…おい!おい!行くぞ!」
バタバタバタバタ!

 何が起こった?
 急にドアの向こうの奴らが走り去った。
 恐る恐るドアを開けて顔を出した…が、誰もその場にいなかった。

ピロリン。
『救出終了!夕方、銀行手続き終了連絡時にお支払いお願いします。』

 奈落はどこに行ったんだ?
 何をしたんだ…?
 僕はその場にボーッと立ち尽くしてしまった。
 
 始業ベルが鳴り、慌てて教室に戻った。

 自席に座り、教科書でごまかしながら、斜め後ろの席の宮地の様子を伺った。
 かなりイライラしてるようで、貧乏ゆすりと舌打ちを繰り返していた。
 あの短時間で何かが起こった。
 宮地の苛立ち様がそれを物語ってる。
 あの反応…ん…どういう事の反応だ…悔しい…腹が立つ…気持ちが収まらない。
 おそらく、そんな感情だろう。

…つまり…宮地は負けたのだ!
 あの短時間で、自分の負けを認めざるを得無い出来事が…?
 奈落、凄すぎ!予想以上だ!
 でも、軽度救出って言ってた。
 つまり、大した事はしてない…。
 
 僕は授業なんかそっちのけで、考え込んでいた。

 そうこうしてるうちに、昼休みの時間になった。
 僕は急ぎ足で教室を出て保健室に向かおうとした…だが…教室のドアのところで、宮地達に捕まった。

ドアのところで脚を掛けて、僕を行き先を阻んだのだ。
 
「ちょっと~。屋上で一緒に昼飯食べてくれるよなぁ~。」
「……。」

 ガッと僕は宮地の仲間に襟首を掴まれて、屋上に連れて行かれた。

宮地と仲間2人ガタイのいい筋肉ムキムキの田中 明たなか あきらとインテリっぽい長髪の安村 浩二やすむら こうじの3人に連れられて屋上まで来た。
僕は弁当を奪われないようにしっかりと抱えた。

「なーにビビってんの?」
「弁当取られると思ってる?あははは」
「貧乏弁当なんて食うかよ。
 どうせ残飯しか入ってねーだろ!」
 
 3人は僕を小突いて笑い出した。

「自殺なんて考えるなよ!」
「自殺なんてしたら、お前の母ちゃん焼き討ちな!」
「火ぃつけてやる!」
 
 小突かれたりするのは、平気だった…けど…母さんに火を付けるなんて言われて…僕はスマホに手を掛けた。

「おっと!誰に連絡すんのかな?」
ガシッ!
「警察か?アホ、何の罪だよ!あははは!」
 
 宮地にスマホを奪われてしまった。
 どうしよう…奈落は近くにいると言った。
 ならば…。

「いくらでも契約するから!助けろ!奈落!」
 
 僕が目を瞑って叫んだその時、頭の上を大きな影がかすめた。
 
 給水塔の上から…まるで正義のヒーローの如く、奈落が飛び降りて来たのだ。
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