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被験者で金持ちになる
第6話
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「で、ゴメン少し奈落に連絡事項があってね。」
爽さんは僕に一言謝ると、奈落の方に向き直った。
「連絡事項?何です?
メッセージは届いてませんけど。」
「岬(みさき)がサポーター変更の為に降りた。」
「サポーター変更!?そんなルールありましたっけ?」
「華京院家No.1の華京院 紘(かきょういん ひろ)の指示により、岬が担当していた被験者を…新生院 直(しんじょういん なお)がサポーターとして着く事になった。」
「はああ?ちょい待て!
この事業は華京院の事業だろ!
新生院が何で介入すんだよ!」
「新生院 直の噂は聞いてるだろ。」
「知ってるさ…新生院家の落ちこぼれだろ。
…て、咬ませ犬か?
こっちの仕事で腕上げさせろって事か?
絶対に認めないぞ!ぶっ潰す!」
「こらこら、そう熱くなるな。
咬ませ犬なんて、紘が許すと思うか?
単純だなぁ。
逆だろ…多分…。
ここで、落ちこぼれでも何でも、新生院を上回れば実績に他ならない。
これは華京院にとっても有利な話しだ。」
「実力を見せつけろ…って事ですね。」
「そうだ!ただし、落ちこぼれと言えど、新生院は新生院だ。
甘く見てると、手痛い仕打ちを受けるぞ。
…つまりだ、この実験の陰で新生院家vs華京院家の闘いがある。
より良い結果を期待してる。
…連絡事項は以上だ。
これで、私は失礼するよ。
他者にも連絡事項を伝えなきゃならない。
メッセージで送れる内容ではないからね。」
爽さんの連絡事項を聞いた奈落の顔が、今までに見た事ないほど真剣だった。
お家騒動とかかな?家族経営会社同士の。
でも、これで奈落がやる気を出して、僕のサポートに力を入れてくれるのなら、それはそれでいいのかな…多分。
ぼーっと、2人のやり取りを聞いてる僕に、奈落が視線を流した。
「こいつ次第か…。
ま、負ける気しねぇけどな。
俺の目利きが確かだって証明してやるさ。」
爽さんが帰り際に僕に耳打ちした。
「じゃぁ、私は帰るけど…有村君、奈落の使い方を考えるのは君だ。
こいつは上手く使えば最強だと思うよ。
これは、アドバイスと受け取ってくれ。」
「はい…。」
そう言って、軽やかに部屋を出て行く爽さんの姿を、思考の追いつかない僕は、口を開けて見ていた。
「こらこら!ぼーっとしてんな!
やる事やったら、簡単なプラン立てるぞ。」
奈落に急かされて、新規口座開設の書類を書き上げ、生徒手帳のコピーを添付した。
「これでいいんですか?」
「ああ、明日の夕方にはキャッシュカードと通帳、印鑑をセットで渡す。」
「よろしくお願いします。」
僕は奈落に深々頭を下げた。
「で…だ。
これから先は無計画って訳にはいかないだろう。
有村の希望や予定からプランを練らなきゃな。
俺はサポートはしても、そのプランを作成するのはお前だ。
そこは、理解してプランを立ててくれ。」
「プラン…計画…。」
母親の生活を楽にしてあげたいけど、僕にはどうやったらいいか、皆目見当が付いていない。
アルバイトのフリをしてお金をあげても、せいぜい怪しまれないのは10万円以下だろうし。
やはり、徐々に何かしらの下準備が必要だろう。
「他の被験者の使い道は聞けないんですよね。」
「当たり前だろ。
情報共有禁止っつたろ。」
「わかってるんだけど…参考にしたいなと思って。
本当に僕は頭が悪くて…。」
落ち込んで項垂れてる僕を見兼ねて、奈落がアドバイスをくれた。
「取り敢えず、したい事を紙に書け!
何個でもいいから、書けるだけ書け!
考えるのはその後だ。
理想を現実にするには、目標を掲げてから、それに必要な事を精査して行くのが大事だ。」
「あっ…!ありがとう!」
僕は慌てて、予備で購入していた未使用のノートを引っ張り出してきた。
爽さんは僕に一言謝ると、奈落の方に向き直った。
「連絡事項?何です?
メッセージは届いてませんけど。」
「岬(みさき)がサポーター変更の為に降りた。」
「サポーター変更!?そんなルールありましたっけ?」
「華京院家No.1の華京院 紘(かきょういん ひろ)の指示により、岬が担当していた被験者を…新生院 直(しんじょういん なお)がサポーターとして着く事になった。」
「はああ?ちょい待て!
この事業は華京院の事業だろ!
新生院が何で介入すんだよ!」
「新生院 直の噂は聞いてるだろ。」
「知ってるさ…新生院家の落ちこぼれだろ。
…て、咬ませ犬か?
こっちの仕事で腕上げさせろって事か?
絶対に認めないぞ!ぶっ潰す!」
「こらこら、そう熱くなるな。
咬ませ犬なんて、紘が許すと思うか?
単純だなぁ。
逆だろ…多分…。
ここで、落ちこぼれでも何でも、新生院を上回れば実績に他ならない。
これは華京院にとっても有利な話しだ。」
「実力を見せつけろ…って事ですね。」
「そうだ!ただし、落ちこぼれと言えど、新生院は新生院だ。
甘く見てると、手痛い仕打ちを受けるぞ。
…つまりだ、この実験の陰で新生院家vs華京院家の闘いがある。
より良い結果を期待してる。
…連絡事項は以上だ。
これで、私は失礼するよ。
他者にも連絡事項を伝えなきゃならない。
メッセージで送れる内容ではないからね。」
爽さんの連絡事項を聞いた奈落の顔が、今までに見た事ないほど真剣だった。
お家騒動とかかな?家族経営会社同士の。
でも、これで奈落がやる気を出して、僕のサポートに力を入れてくれるのなら、それはそれでいいのかな…多分。
ぼーっと、2人のやり取りを聞いてる僕に、奈落が視線を流した。
「こいつ次第か…。
ま、負ける気しねぇけどな。
俺の目利きが確かだって証明してやるさ。」
爽さんが帰り際に僕に耳打ちした。
「じゃぁ、私は帰るけど…有村君、奈落の使い方を考えるのは君だ。
こいつは上手く使えば最強だと思うよ。
これは、アドバイスと受け取ってくれ。」
「はい…。」
そう言って、軽やかに部屋を出て行く爽さんの姿を、思考の追いつかない僕は、口を開けて見ていた。
「こらこら!ぼーっとしてんな!
やる事やったら、簡単なプラン立てるぞ。」
奈落に急かされて、新規口座開設の書類を書き上げ、生徒手帳のコピーを添付した。
「これでいいんですか?」
「ああ、明日の夕方にはキャッシュカードと通帳、印鑑をセットで渡す。」
「よろしくお願いします。」
僕は奈落に深々頭を下げた。
「で…だ。
これから先は無計画って訳にはいかないだろう。
有村の希望や予定からプランを練らなきゃな。
俺はサポートはしても、そのプランを作成するのはお前だ。
そこは、理解してプランを立ててくれ。」
「プラン…計画…。」
母親の生活を楽にしてあげたいけど、僕にはどうやったらいいか、皆目見当が付いていない。
アルバイトのフリをしてお金をあげても、せいぜい怪しまれないのは10万円以下だろうし。
やはり、徐々に何かしらの下準備が必要だろう。
「他の被験者の使い道は聞けないんですよね。」
「当たり前だろ。
情報共有禁止っつたろ。」
「わかってるんだけど…参考にしたいなと思って。
本当に僕は頭が悪くて…。」
落ち込んで項垂れてる僕を見兼ねて、奈落がアドバイスをくれた。
「取り敢えず、したい事を紙に書け!
何個でもいいから、書けるだけ書け!
考えるのはその後だ。
理想を現実にするには、目標を掲げてから、それに必要な事を精査して行くのが大事だ。」
「あっ…!ありがとう!」
僕は慌てて、予備で購入していた未使用のノートを引っ張り出してきた。
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