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笑顔に潜む、策士の罠
第24話
しおりを挟む午後の授業の間も、宮地は僕を監視してるように、ジッと睨んでいた。
午前中の椅子の脚を曲げただけで、満足して欲しいもんだ。
けど…、ここ最近はなかった圧力に、僕はウンザリしてため息をついた。
「はあっ。」
予想以上に大きくため息をついてしまった。
ガタッ。
宮地の席の方から何やら、動きがある音がして来た。
気が付かれたか。
慌てて口を押さえる僕の背後から、メモが渡されて来た。
教師に気が付かれないように、掌に隠すようにして受け取ったメモを見た。
〔放課後、図書室には行かせないからな!〕
へっ?
そうか…宮地は僕等が、図書室になだれ込むとでも思ってるのか。
つまり、重谷先輩と僕等が会う約束をしてる事までは把握してないって事か。
それで、阻止しようと圧力を…。
お前達みたいな、野蛮な行動に出る訳無いじゃないか。
全く、常識のない奴はこれだから…。
けど…早川さんからは、先輩が来校するとしか聞かされてないんだな。
やはり、宮地の立ち位置はあくまでも、単なる手伝って貰ってる程度で、深い内情を教えて貰える程ではないらしい。
まるで、道化師の行動だよ。
憐れな男だよ、宮地。
僕はノートに大きく、〔行かない〕と書いて、背後に見えるように垂直に立たせた。
ったく、何で宮地と伝言のやり取りみたいな事しなきゃならないんだよ。
お友達じゃないっての。
嘘は言ってない。
重谷先輩とは会わないとは書いてないし。
後々、会った事がバレても、そう言って逃げ切るさ。
最近、特に宮地の行動が子供っぽい感じがする。
まあ、高校1年が大人じゃないのはわかるけど、かと言って小学生じゃあるまいし。
あれかな…もしかすると、早川さんに止められてるだけの理由じゃなくて、大っぴらに僕をイジメると、後々自分に不利な事も考え始めたとか…いや、無いか。
単純に元々陰湿だったんだ。
また、エスカレートする可能性は十分にあるさ。
取り敢えずは、あしらう程度で反応しておこう。
下手に最悪の行動に出られてもマズイ。
僕のノートで納得したかどうかは定かでは無いものの、ホームルームを終えても、ジッとこっちを見てるだけで、ヤツは何も仕掛けては来なかった。
廊下に出たすぐまでは、跡をつけてきたものの、図書室とは真反対の職員室へ向かう僕を見て、宮地は引き返して行った。
職員室前で神谷先輩と落ち合い、大野先生から生徒指導室の鍵を預かり、先に室内で待つように言われた僕等は、深々と大野先生に頭を下げて感謝の意を示してから、生徒指導室へと向かった。
さて…始まる!
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