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笑顔に潜む、策士の罠
第2話
しおりを挟む公園通りを抜けて、中央公園の鉄棒で懸垂をしながら、月明かりの中、奈落に尋ねた。
「早川さんは…宮地は優しいと言った。
けど…イジメをするのは事実だ。
人間って、どうして二面性を持ってるのかな。
その、優しさだけではダメなのかな…。」
「面白くねぇからじゃね?
人間って、欠点なきゃ単なるロボットだろ。
欠点はある…けど…それを克服し、乗り越える事も可能で、それまでの過程が、そもそも大事なんじゃね?
それも、楽しい人生の一部ってヤツ!」
「ぷっ!
奈落は本当にプラス思考の塊だな!
あははは。
でも、間違ってないと思うよ。
ん…そうだなぁ、イジメ解決も、悩んでばかりいないで、少しはゲームクリアするみたいに楽しんで行こうかな。」
「おう!でも、その前にレベル上げ必要だぞ。
体力的にもな!」
「よーし!あと10回プラス~!」
僕はいつもより多く懸垂をして、そこから家までランニングをして帰宅した。
最近、精神的にも体力的にも、力が付いてきた気がする。
奈落のおかげかな。
玄関先で僕は奈落にお願いした。
「実は、今、先輩達と調べてる、『図書室の怪人』について、この先…行き詰まるかもしれない。
その時は、きっと奈落を頼ると思う。」
「それが俺の仕事だ!遠慮はいらねー!
どんどん頼め!」
ガッツポーズで応えてくれる奈落に、安心感で胸が熱くなった。
奈落と別れて、アパートに入って、洗濯機を回しながらシャワーを浴びた。
最近は家事のレベルも上がって来て、効率を考えて行動出来る様になって来た。
「少し、宮地のプライベートも観察して行かなきゃな。
その為の体力作りだし…。」
コメを研ぎながら、そう呟いた。
家庭での宮地…母親思いで、妹を大切にしてる、
早川さんと親しくて…。
極、普通の風景みたいに見えるけど…やっぱり父親との確執が問題なのかな…。
彼のプライベートの中に、僕への不満とリンクするものがあるんだろうか?
神谷先輩達と、図書室の怪人を調べて行くうちに培われたと思われる、他人の心情を予想して考える…推理力みたいなものが、頭の中でグルグル回り出す。
宮地は僕を通して、誰を見てるのかな。
僕の存在は…もしかして、宮地の嫌な記憶を呼び覚ますのかも知れない。
それは、まさしく目障りなものだ。
でも、だとしたら、それは誰なんだ?
まさか…父親じゃないよな…多分似てないと思うし…。
うーん。
田中や安村は深い意味を知って、イジメに同調してるんだろうか…?
グツグツ。ピー!ピー!。
味噌汁の鍋が吹いて、洗濯機が終了の合図を鳴らした。
「あわわわ!
家事に集中しなきゃ!」
僕は考えるのをやめて、ガスを止めて、洗濯物を干しに行った。
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