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保健室同盟(仮)と前期図書委員

第44話

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「さて、昨日の高橋先輩の話しについて。
 まずは、土屋さん、何か気付いた仕草や、目に付いた行動はあったかな?」
「全然!女の勘を入れても、あれは嘘を付いていないと思うわ。
 坦々と話してたし。
 戸惑うとか、考えながらって感じじゃないと思うわ。」
「僕も、そう思います!
 事件とは完全に無関係と言えないかもしれませんが、怪人の正体を知ってるとは思えません。
 ICレコーダーを聴き直しても、その口調に迷いは無いと思います。」
「うん。
 じゃあ、そこは全員一致だね。
 とすれば、高橋先輩の語ったのは事件当時の状況だ。
 情報に間違いは無いと思う。
 つまり、高橋先輩が図書委員時は動物の出入りは感じなかった。
 もしくは、彼女には気付かれないようにされていた。
 神部先輩の事故は相当な物で、入院以降、自ら図書室に関わる事は不可能だ。
 そして、事故以降は高橋先輩は神部先輩とは疎遠になってる。
 その反面、重谷先輩は神部先輩と図書室と関係が密になってる。
 そして、第一発見者の藤谷さんの後、すぐに重谷先輩がその場に駆け付けている。
 …では、それらを踏まえた上で、相関図を作成しよう。」
「あ、あの!」

 僕は少しだけ、神谷先輩の行動に不自然を感じて質問をしてみた。

「まだ、重谷先輩から話をし聞いていないうちに、相関図を作成するんですか?
 どうせなら、話しを聞いてからの方が…。」
「確かに、全員が、正直者で事実のみを話すなら、その方が効率がいい。
 …けど、これからは…。」
「何?どういう意味?
 私にもわかるように説明しなさい!」

 土屋先輩が僕と神谷先輩の会話が理解出来なかった様でイライラした声を上げたが、神谷先輩は完全に無視していた。

 「そうか…!神谷先輩はこの先、怪人に近い人物に話しを聞けば聞くほど、嘘を付く人間が出てくると考えてるんですね。
 そして、情報は混乱する。」
「有村君、大正解!
 つまり、なるべく嘘の無い状態の相関図をここで、作っておきたいんだ。
 冷静に判断出来る様にね。
 それをベースにして、今後の情報は付箋などで、取り外し可能な状態で記載しておく。
 嘘だと思う情報を取り外し可能に出来るだろ。」

 はあああ。
 神谷先輩って小さな巨人みたいだ。
 そこまで考え行動するなんて。
 末は博士か大臣かっつーの!

「難しい事は、よくわかんないけど、大まかなものをベースとして作るのが、今回の相関図作りの目的って事かしら。」
「まあ、そんなところだね。
 それにこの先、人間が多くなると混乱するから、図解するのは必須なんだよ。
 土屋さんも、説明するより、それを見たほうが理解が早くなると思うよ。」

 食べ終えたお弁当箱を片付けて、神谷先輩はベッドとベッドの間のパーテーションを引っ張り出した。
 
「これに、一時的にセロテープで模造紙を取り付ける。
 そして、土屋さんの用意してくれた写真と似顔絵を貼り付けて行こう。」

 僕も神谷先輩を手伝って、セロテープで相関図作成の為に模造紙を、パーテーションに留めて行った。
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