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保健室同盟(仮)と前期図書委員
第42話
しおりを挟むん、ゆっくりだけど、図書室の怪人の謎解明の相乗効果で、宮地の心情に近づく事が出来てる。
僕の本来の目的はイジメ対策だ。
一石二鳥で、図書室の怪人に辿り着いて、宮地の情報ももっと掴んでやる!
そんな強気な勢いのまま、午前中の授業を終えて、僕は昼休みに入った途端に教室を飛び出した。
今日は色々と話し合うのを予測して、大きめのおにぎり2つを持参した。
とは言え、喉をすんなり通るかどうか。
何せ、食欲よりも早く昨日の報告会と、相関図作成をしたい気持ちが上回っていた。
土屋先輩すらも、カナーシャ先生から藤谷先輩とのコンタクトを取って貰えるように、尽力してくれてるんだ。
僕も負けないくらいのやる気で挑まなきゃ。
廊下を行き交う生徒達の間をすり抜けるようにして、保健室まで早歩きで到達した。
「あ!神谷先輩!」
保健室のドアに手を掛けると、向こう側から大きめの模造紙の筒を抱えて、神谷先輩がやって来た。
「有村君。
いいところに。
ドア開けてくれる?」
「あ、はい。」
ガラガラ。
「ありがとう。有村君。
失礼します。
あれ?加納先生、今日はお弁当なんですね。」
僕が開けたドアを抜けて、保健室内に入った神谷先輩は自分の机の上で、赤い花柄のお弁当箱を広げている加納先生に少し、驚いた様だった。
「ゲホッ!ゴホッ!
…いやあ、君達。いらっしゃい。」
急なツッコミに、どうやらむせてしまったらしい。
ドンドンと胸を叩いて、詰まったものを流し落とした先生は一呼吸置いた。
「はあ。
驚いた。
いつもと違う事はあまりするもんじゃないね。ははは。」
「すいません。
いつも菓子パンのイメージだったもので。
それに…それ、どう見ても男性用のお弁当箱に見えなかったので…なあ、有村君。」
「ええっ!あ、そうですね…彼女さんの手作りとか…?」
「だと…いいけどね。
試作品ですよ。試作品。
妹が彼氏に手作り弁当渡したいけど、自信がないから感想を聞かせろって、朝手渡されたんです。
けど…見てくださいよ。
ほとんど茶色。
唯一卵焼きが焦げた黄色って位。
これは、振られそうですよね。」
「そうかな…。
僕は変にカラフルなお弁当よりは、素朴な茶色い弁当の方が好きかも。
おにぎりだけでも、満足出来るし。
神谷先輩はどうですか?」
「あるある!それ。
色なんて、食欲に関係ないんだよね。
男って結構、繊細な味より大味の方が好きなんだよね。
食べ応えとかさ。」
そんな男子話しで盛り上がる中、ドタドタと廊下を走って来る足音が響いて来た。
…これは、土屋先輩だな。
僕と神谷先輩は視線を合わせて、肩をすぼめるマネをした。
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