20 / 30
第10章 「……だから、ごめん。別れよう」
Special Scene 3度目の正直 裕翔side
しおりを挟む
俺は必死になって走った。もうすぐで、俺の長年の願望が叶うかもしれないから。
兄貴の顔を見て、少し怖くなった。俺もいつかは、こんな気持ちを味わうのかと思ったから。だけど、それでも、俺も桜十葉が欲しかった。
桜十葉に、俺のことを思い出してほしかった。
公園に着き、俺は乱れた息を整える。
『はぁっ、はぁっ……』
汗を拭って、服装を正した。
そこには、まだ中学3年生の桜十葉が居た───。
『こんな所に1人でいたら悪い男に連れてかれるよ?』
思ったよりも低い声が出た。今、すごく興奮している。
桜十葉は大きくて綺麗な瞳を限界にまで見開いて、驚いたように俺を見つめていた。
『何、俺の顔に興味ある?』
言っていて、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなる。これまで女の子と付き合ったこともなかったし、ましてや話すこともあまりなかった。
それなのに、俺は今、そんな女の子に自分の顔に興味があるのかという恥ずかしすぎる質問をしている。
桜十葉の前だと、俺は頭のネジが外れてしまうのかもしれない。
『彼氏に振られた女なんかに声掛けても、何もいいことなんてないですよ?』
『へぇ~、彼氏に振られちゃったんだ。それは可哀想に』
桜十葉は思ったよりも強気な女の子かもしれない。そう思った俺は思わず吹き出してしまう。そんな俺を見て、桜十葉が頬を膨らました。
『俺ん家、くる?』
『だ、大丈夫です…』
さすが、警戒心が強い。そう感心していると、ぐぅ~とどこからかお腹の音が鳴るのが聞こえた。
驚いて桜十葉を見ると、恥ずかしそうに真っ赤に頬を染めている。
『ふっ、お腹空いてんじゃん。ほら、俺ん家においで。慰めてあげるから』
その可愛さに、またも笑ってしまった。桜十葉はそんな俺の言葉に小さく頷いて、涙で濡れていた瞳を俺に向けた。
『ん、いい子』
俺は桜十葉に触れたくて、思わず頭を撫でる。
『そう言えば…名前、教えて貰ってもいいですか』
桜十葉が思い出したようにそう切り出した。
『ああ、うん。俺は坂口裕翔(さかぐち ひろと)。君は?』
『私は、結城桜十葉(ゆしろ おとは)と言います』
一か八か、フルネームを名乗った。少しだけ緊張した。坂口組の組長の息子だと、悟られてしまうかもしれないと思ったから。だけど桜十葉は気づいた様子はなくて、安心した。
『おとは、ね。よろしくね』
これから、桜十葉の隣でずっと笑っていたい。もう知っている君の名前を優しく呟いて、俺は幸せの中にどんどん溺れていく。
『お、お邪魔します…』
俺の家に着いて、桜十葉を先に玄関に入れる。体が雨で濡れていて寒そうだったから。
俺は玄関に入って靴を脱ぎ、すぐにタオルを持って桜十葉の所に向かった。
『驚かせた?』
『あ、ぅ……はい』
『そうだよねー。俺ん家、豪邸なの』
豪邸、か……。そんなことを自分で言っている俺自身を思わず鼻で笑ってしまいそうになる。この家は、言わば俺を留めておくための檻。
父親が勝手に用意して、ここに俺を住まわせた豪邸。
それはもう監獄と言ってもいいくらいだ。
『ほら、桜十葉。ここが俺の部屋』
赤いカーペットが敷かれている廊下を歩いていくと、俺の部屋に着いた。
『ほら、そこに座ってて。お茶淹れてくるから』
俺は桜十葉を部屋に案内して、すぐに台所に向かった。今から、しないといけないことがある。本当はしなくても良いことなんだろうけど、俺がしたいんだ。
桜十葉が一過性全健忘だと診断されてから随分と日が経った。普通は24時間以内に記憶が戻ると言われている病気なのに、桜十葉は何日日が経っても一向に回復する様子がない。
自分のやっていることや言ったことが記憶できないんじゃなくて、これまでの記憶が戻らないのだ。
医者からは、これはもうどういう症状なのかが分からないと言われた。どの病気にも一致しなくて、対処法が見つからない。
それならば、俺は桜十葉に、裕希のことも忘れてほしかった。
温かい紅茶を淹れて、お盆に乗せる。俺は台所を出て足早に桜十葉の居る自分の部屋へ向かう。
『うぅ……、ぐすっ』
扉を開けようとしたら、中から桜十葉の泣き声が聞こえてきた。その泣き声を聞いた途端、俺の中で何かが弾けた。
『大丈ー夫だよ。俺がそばにいてあげるから』
一瞬にして桜十葉の後ろまで行って、持っていたお盆を机の上に置いた。そして、俺は桜十葉を後ろから抱きしめていた。
『さ、坂口……さんっ』
『裕翔、でしょ。ほら、呼んでごらん』
『うぅ…ひ、ひろと……さん』
『んー、まぁ今はそれでもいいか』
俺の兄貴は桜十葉に裕希、と呼び捨てで呼ばれていた。だから俺もそう呼んでほしかったけど、さん付けも悪くない。
『女の子の泣き顔は大好きだけど、他の男のために泣く桜十葉の泣き顔なんて見たくない』
実は、すごく嫉妬している。兄貴に言われた言葉で、兄貴のために泣く桜十葉を見ていると、兄貴にすごく嫉妬心を抱いてしまう。
『う、ごめん……なさい』
『早く泣き止まないとキスするよ』
キス、したい。早く桜十葉とキスしたい。本当は、ずっと思っていた。その柔らかそうなピンク色の唇を俺ので塞いでしまいたい。
『あーあ、泣き止んじゃったね。キスしたかったのに』
『ほ、他の男のために泣く泣き顔は好きじゃないって……、言ったじゃないですか」』
桜十葉のことがすごく愛おしい。今はこの感情差が少しだけ寂しいけれど、すぐに俺のところまで桜十葉を連れていく。
『そーだね。泣き止んでくれてよかったよ」』
こんな野獣の目の前で従順に従ってしまっている桜十葉が可愛い。
『ほら、桜十葉は何が食べたい?』
せっかく桜十葉のために色々用意していたから、沢山食べてほしい。それに、今の桜十葉はすぐにでも折れてしまうんじゃないかと思うほど細いのだ。
もっと脂肪を付けて健康体にならないと…。
ってか俺、めっちゃ変態みたいじゃねぇか?
心の中馬鹿みたいな考えを浮かばせながら桜十葉のことを見つめていた。
『チョコレートが食べたいです……』
恥ずかしそうに言った桜十葉を横目に見ながら、俺はそのチョコレートを自分の口の中に含んだ。何か、桜十葉とキスできる理由がほしかった。
こんなんじゃ、理由にもなっていないと思うけれど…。
『んっ……!』
俺は自分の欲望に勝てずに、桜十葉の唇に自分の唇を重ね合わせた。人生で初めて、キスをした。
俺にとってのファーストキスは、桜十葉。君なんだよ。
『んんっ……、も、無理……』
『ふふっ、……ごちそーさん』
口の中のチョコレートを桜十葉の口に移して、深くキスをする。初めてのキスは、チョコレートの甘ったるい味だった。
『な、なんで………』
桜十葉の頬が最高潮に赤く染まる。
『だって桜十葉とキスしたかったんだもん』
だもんって、小学生か俺は!そう自分を叱咤しながら悪戯な表情を浮かべる。
『だからってなんで……』
『ほら、もういいでしょ。早く食べなきゃまた口移しするよ?』
『じ、自分で食べます!』
好きな子をいじめるのは、こんなにも興奮するものなのか?今、俺の気分はめちゃくちゃ高ぶっている。困って表情を見せる桜十葉を、自分のものにしたくなる。
赤く頬を染めた桜十葉は、俺が淹れた紅茶をごくっと勢いよく飲み込んだ。
俺はそれを見て、少しだけ目を見開いた。
それを飲み、ぼやっとした様子の桜十葉を見て悪い感情が俺の心の中を充満する。
その中には、記憶の一部を消す薬が入っているのだ────。
ただ、兄貴を忘れてほしい。そんな小さな俺の願いを勝手に押し付けて、叶えた。
だめだとわかっているのに、止めなかったのは俺だ。
全ての責任は、俺が背負うよ。
だから桜十葉。君は俺を、俺だけを見て。
そして、両腕だけでは抱えきれないほどの幸せを俺にちょうだい。
兄貴がくれた最後の愛情を、思う存分に使おう。
自分が幸せになるために、兄貴から桜十葉を奪った。
それだけのことをしたのだから、もう何も怖くないだろう。
そう思うのに、何も知らない純粋な桜十葉を見ていると、なぜか胸が酷く痛んだ。
✩.*˚side end✩.*˚
兄貴の顔を見て、少し怖くなった。俺もいつかは、こんな気持ちを味わうのかと思ったから。だけど、それでも、俺も桜十葉が欲しかった。
桜十葉に、俺のことを思い出してほしかった。
公園に着き、俺は乱れた息を整える。
『はぁっ、はぁっ……』
汗を拭って、服装を正した。
そこには、まだ中学3年生の桜十葉が居た───。
『こんな所に1人でいたら悪い男に連れてかれるよ?』
思ったよりも低い声が出た。今、すごく興奮している。
桜十葉は大きくて綺麗な瞳を限界にまで見開いて、驚いたように俺を見つめていた。
『何、俺の顔に興味ある?』
言っていて、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなる。これまで女の子と付き合ったこともなかったし、ましてや話すこともあまりなかった。
それなのに、俺は今、そんな女の子に自分の顔に興味があるのかという恥ずかしすぎる質問をしている。
桜十葉の前だと、俺は頭のネジが外れてしまうのかもしれない。
『彼氏に振られた女なんかに声掛けても、何もいいことなんてないですよ?』
『へぇ~、彼氏に振られちゃったんだ。それは可哀想に』
桜十葉は思ったよりも強気な女の子かもしれない。そう思った俺は思わず吹き出してしまう。そんな俺を見て、桜十葉が頬を膨らました。
『俺ん家、くる?』
『だ、大丈夫です…』
さすが、警戒心が強い。そう感心していると、ぐぅ~とどこからかお腹の音が鳴るのが聞こえた。
驚いて桜十葉を見ると、恥ずかしそうに真っ赤に頬を染めている。
『ふっ、お腹空いてんじゃん。ほら、俺ん家においで。慰めてあげるから』
その可愛さに、またも笑ってしまった。桜十葉はそんな俺の言葉に小さく頷いて、涙で濡れていた瞳を俺に向けた。
『ん、いい子』
俺は桜十葉に触れたくて、思わず頭を撫でる。
『そう言えば…名前、教えて貰ってもいいですか』
桜十葉が思い出したようにそう切り出した。
『ああ、うん。俺は坂口裕翔(さかぐち ひろと)。君は?』
『私は、結城桜十葉(ゆしろ おとは)と言います』
一か八か、フルネームを名乗った。少しだけ緊張した。坂口組の組長の息子だと、悟られてしまうかもしれないと思ったから。だけど桜十葉は気づいた様子はなくて、安心した。
『おとは、ね。よろしくね』
これから、桜十葉の隣でずっと笑っていたい。もう知っている君の名前を優しく呟いて、俺は幸せの中にどんどん溺れていく。
『お、お邪魔します…』
俺の家に着いて、桜十葉を先に玄関に入れる。体が雨で濡れていて寒そうだったから。
俺は玄関に入って靴を脱ぎ、すぐにタオルを持って桜十葉の所に向かった。
『驚かせた?』
『あ、ぅ……はい』
『そうだよねー。俺ん家、豪邸なの』
豪邸、か……。そんなことを自分で言っている俺自身を思わず鼻で笑ってしまいそうになる。この家は、言わば俺を留めておくための檻。
父親が勝手に用意して、ここに俺を住まわせた豪邸。
それはもう監獄と言ってもいいくらいだ。
『ほら、桜十葉。ここが俺の部屋』
赤いカーペットが敷かれている廊下を歩いていくと、俺の部屋に着いた。
『ほら、そこに座ってて。お茶淹れてくるから』
俺は桜十葉を部屋に案内して、すぐに台所に向かった。今から、しないといけないことがある。本当はしなくても良いことなんだろうけど、俺がしたいんだ。
桜十葉が一過性全健忘だと診断されてから随分と日が経った。普通は24時間以内に記憶が戻ると言われている病気なのに、桜十葉は何日日が経っても一向に回復する様子がない。
自分のやっていることや言ったことが記憶できないんじゃなくて、これまでの記憶が戻らないのだ。
医者からは、これはもうどういう症状なのかが分からないと言われた。どの病気にも一致しなくて、対処法が見つからない。
それならば、俺は桜十葉に、裕希のことも忘れてほしかった。
温かい紅茶を淹れて、お盆に乗せる。俺は台所を出て足早に桜十葉の居る自分の部屋へ向かう。
『うぅ……、ぐすっ』
扉を開けようとしたら、中から桜十葉の泣き声が聞こえてきた。その泣き声を聞いた途端、俺の中で何かが弾けた。
『大丈ー夫だよ。俺がそばにいてあげるから』
一瞬にして桜十葉の後ろまで行って、持っていたお盆を机の上に置いた。そして、俺は桜十葉を後ろから抱きしめていた。
『さ、坂口……さんっ』
『裕翔、でしょ。ほら、呼んでごらん』
『うぅ…ひ、ひろと……さん』
『んー、まぁ今はそれでもいいか』
俺の兄貴は桜十葉に裕希、と呼び捨てで呼ばれていた。だから俺もそう呼んでほしかったけど、さん付けも悪くない。
『女の子の泣き顔は大好きだけど、他の男のために泣く桜十葉の泣き顔なんて見たくない』
実は、すごく嫉妬している。兄貴に言われた言葉で、兄貴のために泣く桜十葉を見ていると、兄貴にすごく嫉妬心を抱いてしまう。
『う、ごめん……なさい』
『早く泣き止まないとキスするよ』
キス、したい。早く桜十葉とキスしたい。本当は、ずっと思っていた。その柔らかそうなピンク色の唇を俺ので塞いでしまいたい。
『あーあ、泣き止んじゃったね。キスしたかったのに』
『ほ、他の男のために泣く泣き顔は好きじゃないって……、言ったじゃないですか」』
桜十葉のことがすごく愛おしい。今はこの感情差が少しだけ寂しいけれど、すぐに俺のところまで桜十葉を連れていく。
『そーだね。泣き止んでくれてよかったよ」』
こんな野獣の目の前で従順に従ってしまっている桜十葉が可愛い。
『ほら、桜十葉は何が食べたい?』
せっかく桜十葉のために色々用意していたから、沢山食べてほしい。それに、今の桜十葉はすぐにでも折れてしまうんじゃないかと思うほど細いのだ。
もっと脂肪を付けて健康体にならないと…。
ってか俺、めっちゃ変態みたいじゃねぇか?
心の中馬鹿みたいな考えを浮かばせながら桜十葉のことを見つめていた。
『チョコレートが食べたいです……』
恥ずかしそうに言った桜十葉を横目に見ながら、俺はそのチョコレートを自分の口の中に含んだ。何か、桜十葉とキスできる理由がほしかった。
こんなんじゃ、理由にもなっていないと思うけれど…。
『んっ……!』
俺は自分の欲望に勝てずに、桜十葉の唇に自分の唇を重ね合わせた。人生で初めて、キスをした。
俺にとってのファーストキスは、桜十葉。君なんだよ。
『んんっ……、も、無理……』
『ふふっ、……ごちそーさん』
口の中のチョコレートを桜十葉の口に移して、深くキスをする。初めてのキスは、チョコレートの甘ったるい味だった。
『な、なんで………』
桜十葉の頬が最高潮に赤く染まる。
『だって桜十葉とキスしたかったんだもん』
だもんって、小学生か俺は!そう自分を叱咤しながら悪戯な表情を浮かべる。
『だからってなんで……』
『ほら、もういいでしょ。早く食べなきゃまた口移しするよ?』
『じ、自分で食べます!』
好きな子をいじめるのは、こんなにも興奮するものなのか?今、俺の気分はめちゃくちゃ高ぶっている。困って表情を見せる桜十葉を、自分のものにしたくなる。
赤く頬を染めた桜十葉は、俺が淹れた紅茶をごくっと勢いよく飲み込んだ。
俺はそれを見て、少しだけ目を見開いた。
それを飲み、ぼやっとした様子の桜十葉を見て悪い感情が俺の心の中を充満する。
その中には、記憶の一部を消す薬が入っているのだ────。
ただ、兄貴を忘れてほしい。そんな小さな俺の願いを勝手に押し付けて、叶えた。
だめだとわかっているのに、止めなかったのは俺だ。
全ての責任は、俺が背負うよ。
だから桜十葉。君は俺を、俺だけを見て。
そして、両腕だけでは抱えきれないほどの幸せを俺にちょうだい。
兄貴がくれた最後の愛情を、思う存分に使おう。
自分が幸せになるために、兄貴から桜十葉を奪った。
それだけのことをしたのだから、もう何も怖くないだろう。
そう思うのに、何も知らない純粋な桜十葉を見ていると、なぜか胸が酷く痛んだ。
✩.*˚side end✩.*˚
0
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる