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第五十八話 最後の希望『超覚醒!』
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「……はっ! こ、ここはどこだ?」
俺は、気が付くと真っ暗な空間にいた。
何が起きているのかを理解することは、もちろん不可能だ。
―ピコンッ
「なんだ?」
通知音が鳴ると、目の前に魔王と愛人の姿が映し出された。
しかし、その様子はあまりにも残酷なものだった。
『グハッ!』
『ザコが私の邪魔をするからいけないんだ』
『グハッ!』
「愛人!」
その映像には、愛人がひたすら魔王に攻撃されているものだった。
俺は、その映像を見続けることはできずに、すぐに目を逸らしてしまった。
「早くここから出ないと、みんなが殺さてしまう! でも、どうやって出るんだ⁉」
俺は、出口を探すが、辺り一帯は真っ暗で、出られそうな光は一つもなかった。
―ピコンッ
「っ、なんだ?」
すると、再び通知音がなり、別の画面が映された。
~~~~~~
ここは、現実とはかけ離れた別世界です。
貴方には、死が迫っており、意識のみがここに来ています。
再び現実世界に戻るのならば、『超覚醒』をする必要があります。
しかし、『超覚醒』をすると、一時間後には『***』を失います。
『超覚醒』をしますか?
<はい> <いいえ>
~~~~~~
「超覚醒をしないと、俺は死ぬってことなのか。でも、超覚醒をしたら、俺の力は元の人間に戻るってことなのか」
画面には、『現実から離れた世界』とかいう、よくわからないことが表示されていたが、そんなことを気にする余裕が俺にはなかった。
そして、『超覚醒』ということのみが俺の意識を独占する。
「結局は、これが最後なんだ。後のことはその時に考えればいい。今は、やるしかない!」
―ピコンッ!
~~~~~~
『超覚醒』ミッションが発動しました。
光りの元へたどり着くことができれば、現実世界に戻り、超覚醒することができます。
ただし、制限時間はこれから始まります。
残り00:59:57
~~~~~~
―シュゥゥゥ
画面が消えると、少し離れた場所に光りが出てきた。
あまり遠くないので、すぐにたどり着けそうだ。
「この距離なら、すぐに行けるぞ!」
―ザザザザザ
―ザザザザザ
「ま、マジかよ……」
進もうとした時、目の前に大量の真っ黒の姿をしたモンスターが現れた。
全部を倒さない限りは、光の元へは行けそうにない。
「くそっ、やっぱりそう甘くはないか」
今の俺は、スキルを使うことができないので、この数を相手にするとなると勝ち目は無いだろう。
だが、今の俺には逃げるという考えは一つもなかった。
「だが、俺はやって見せる! おりゃぁぁぁ!!!」
―ドガァァァン!!!
―ドガァァァン!!!
俺は、次々にモンスターを倒していく。
ただ必死に、光を目指してがむしゃらに攻撃している。
そうして、最後の一体まで片付けることができた。
「こいつで最後か、さっさと道を開けやがれぇぇぇ!!!」
俺は、これまで通りに果敢に立ち向かっていく。
しかし、このモンスターだけは、他のよりも格が違っていた。
―グウォォォォォ!!!
―ドガァァァン!!!
「ぐわぁぁぁ!!!」
俺は、一撃で吹っ飛ばされてしまった。
―グウォォォォォ!!!
―ドーン!
「くっ、や、やめろ!」
俺は、モンスターに馬乗りされてしまい、身動きが取れなくなった。
―ドンッ!
「ぐはっ!」
―ドンッ!
「ぐっ……」
―ドンッ!
「や……め……」
俺の身体は、次第に痛みを感じなくなってきていた。
しかし、モンスターはそんなことは関係なしに無慈悲に殴り続ける。
俺は、何とか意識を保つことだけで精一杯だった。
「ま、マジで、やばいぞ……」
◆
―ドクッ、ドクッ、ドッ……
「っ⁉ 心臓の動きがとうとう無くなった⁉」
進が倒れてから五分が過ぎた時、心臓が急に止まってしまった。
「ぐわぁぁぁ!!!」
「まだ耐えているのか、次で終わらしてやる」
愛人の方も、時間を稼ぐことが難しくなっている。
もう、時間が残されていない。
「電気を流すしかない!」
「雷魔法 【電光!!!】」
「あ⁉」
―ビリビリッ!
「威力を間違えちゃった! 私のせいで、私のせいで、進が……」
◆
「ま、マジで、やばいぞ……」
―グウォォォォォ!!!
モンスターがとどめを刺そうと、大きく拳を振りかぶった時……
―ビリビリッ!
―グワァァァ!!!
どこからか、雷魔法の攻撃がやってきて、モンスターに当たった。
そして、モンスターは消えていった。
「もしかして、優羽の魔法なのか?」
なぜか、俺はその魔法が優羽のものだと感じた。
―ピカンッ!
「今はそんなこと考えている時じゃない! 急がないと!」
そうして、俺は最後の力を振り絞って、光の元へと走っていった。
「超覚醒だぁぁぁ!!!!!!」
~~~~~~
ミッションをクリアしました。
超覚醒が完了しました。
俺は、気が付くと真っ暗な空間にいた。
何が起きているのかを理解することは、もちろん不可能だ。
―ピコンッ
「なんだ?」
通知音が鳴ると、目の前に魔王と愛人の姿が映し出された。
しかし、その様子はあまりにも残酷なものだった。
『グハッ!』
『ザコが私の邪魔をするからいけないんだ』
『グハッ!』
「愛人!」
その映像には、愛人がひたすら魔王に攻撃されているものだった。
俺は、その映像を見続けることはできずに、すぐに目を逸らしてしまった。
「早くここから出ないと、みんなが殺さてしまう! でも、どうやって出るんだ⁉」
俺は、出口を探すが、辺り一帯は真っ暗で、出られそうな光は一つもなかった。
―ピコンッ
「っ、なんだ?」
すると、再び通知音がなり、別の画面が映された。
~~~~~~
ここは、現実とはかけ離れた別世界です。
貴方には、死が迫っており、意識のみがここに来ています。
再び現実世界に戻るのならば、『超覚醒』をする必要があります。
しかし、『超覚醒』をすると、一時間後には『***』を失います。
『超覚醒』をしますか?
<はい> <いいえ>
~~~~~~
「超覚醒をしないと、俺は死ぬってことなのか。でも、超覚醒をしたら、俺の力は元の人間に戻るってことなのか」
画面には、『現実から離れた世界』とかいう、よくわからないことが表示されていたが、そんなことを気にする余裕が俺にはなかった。
そして、『超覚醒』ということのみが俺の意識を独占する。
「結局は、これが最後なんだ。後のことはその時に考えればいい。今は、やるしかない!」
―ピコンッ!
~~~~~~
『超覚醒』ミッションが発動しました。
光りの元へたどり着くことができれば、現実世界に戻り、超覚醒することができます。
ただし、制限時間はこれから始まります。
残り00:59:57
~~~~~~
―シュゥゥゥ
画面が消えると、少し離れた場所に光りが出てきた。
あまり遠くないので、すぐにたどり着けそうだ。
「この距離なら、すぐに行けるぞ!」
―ザザザザザ
―ザザザザザ
「ま、マジかよ……」
進もうとした時、目の前に大量の真っ黒の姿をしたモンスターが現れた。
全部を倒さない限りは、光の元へは行けそうにない。
「くそっ、やっぱりそう甘くはないか」
今の俺は、スキルを使うことができないので、この数を相手にするとなると勝ち目は無いだろう。
だが、今の俺には逃げるという考えは一つもなかった。
「だが、俺はやって見せる! おりゃぁぁぁ!!!」
―ドガァァァン!!!
―ドガァァァン!!!
俺は、次々にモンスターを倒していく。
ただ必死に、光を目指してがむしゃらに攻撃している。
そうして、最後の一体まで片付けることができた。
「こいつで最後か、さっさと道を開けやがれぇぇぇ!!!」
俺は、これまで通りに果敢に立ち向かっていく。
しかし、このモンスターだけは、他のよりも格が違っていた。
―グウォォォォォ!!!
―ドガァァァン!!!
「ぐわぁぁぁ!!!」
俺は、一撃で吹っ飛ばされてしまった。
―グウォォォォォ!!!
―ドーン!
「くっ、や、やめろ!」
俺は、モンスターに馬乗りされてしまい、身動きが取れなくなった。
―ドンッ!
「ぐはっ!」
―ドンッ!
「ぐっ……」
―ドンッ!
「や……め……」
俺の身体は、次第に痛みを感じなくなってきていた。
しかし、モンスターはそんなことは関係なしに無慈悲に殴り続ける。
俺は、何とか意識を保つことだけで精一杯だった。
「ま、マジで、やばいぞ……」
◆
―ドクッ、ドクッ、ドッ……
「っ⁉ 心臓の動きがとうとう無くなった⁉」
進が倒れてから五分が過ぎた時、心臓が急に止まってしまった。
「ぐわぁぁぁ!!!」
「まだ耐えているのか、次で終わらしてやる」
愛人の方も、時間を稼ぐことが難しくなっている。
もう、時間が残されていない。
「電気を流すしかない!」
「雷魔法 【電光!!!】」
「あ⁉」
―ビリビリッ!
「威力を間違えちゃった! 私のせいで、私のせいで、進が……」
◆
「ま、マジで、やばいぞ……」
―グウォォォォォ!!!
モンスターがとどめを刺そうと、大きく拳を振りかぶった時……
―ビリビリッ!
―グワァァァ!!!
どこからか、雷魔法の攻撃がやってきて、モンスターに当たった。
そして、モンスターは消えていった。
「もしかして、優羽の魔法なのか?」
なぜか、俺はその魔法が優羽のものだと感じた。
―ピカンッ!
「今はそんなこと考えている時じゃない! 急がないと!」
そうして、俺は最後の力を振り絞って、光の元へと走っていった。
「超覚醒だぁぁぁ!!!!!!」
~~~~~~
ミッションをクリアしました。
超覚醒が完了しました。
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