底辺ハンターのリベンジダンジョン！～モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います～

第五十七話 眠った復讐者

「みんな、ごめん……」

　―ドォォォォォォ！！！

「ぐわぁぁぁァァァァァァ！！！！！！」

　俺は、魔王の攻撃に飲み込まれそうになる。

「優羽ゆうちゃん、！」
「わかった！」
「無魔法　【瞬間移動テレポート！】」

　―ヒュン！

「スキル　【解除アンロック！！！】」

　―スッ

　俺の身体を包んでいた魔王の攻撃は、愛人あいとによって消された。
　そうして、俺は身体に力が入らずに、そのまま倒れてしまった。

「進しん！　大丈夫⁉」
「さっさと殺しておけばいいものを、助けおって、そいつが苦しむだけだぞ」
「うっ、あぁ、もう、無理だ…………」
「進しん！　しっかりして！　ねぇ！　ねぇ……」

　俺に話しかける優羽ゆうの声が次第に遠くなり、目の前が真っ暗になった。


　―――


「優羽ゆうちゃん、進しんくんを助けてあげて！　時間は僕が稼ぐから！」
「で、でも、進しんが瞬殺された相手だよ？　無謀だよ！」

　僕は、一人で魔王の相手をすることを決めた。
　しかし、魔王の圧倒的な強さを見た優羽ゆうちゃんは、僕が戦うことに反対しているようだ。

「そんなことは分かってる！　だから、進しんくんが起きるまでの時間を稼ぐ！　こいつは、進しんくんにしか倒せない！」

　僕は、ついカッとなってしまい、厳しい口調になってしまった。
　もちろん、僕たちでは、魔王を倒すことは不可能だ。
　しかし、勝てる可能性を持っているとするならば、それは進しんくんしかいないのだ。
　それは、優羽ゆうちゃんもわかっているだろう。

「……うん、わかった」
「ありがとう、頼んだよ」
「でも、絶対に死なないでね」
「もちろんだよ」

　優羽ゆうちゃんは、僕の考えを受け入れてくれた。
　そうして、僕は魔王との戦いに集中する。
　どれだけ時間を稼げるかは分からないが、全力でやる。

「お前では、相手にならない。消えろ」
「いいや、それはできないね。これが、僕の務めだから」
「いいだろう、すぐに片づけてやる」


　～～～～～～


「進しん！　絶対に目覚めてよね！」

　進しんの心臓は止まってはいないが、遅くて弱い。
　このままだと確実に死んでしまうだろう。
　愛人あいとくんが、魔王を相手にして時間を稼いでくれている。
　だから、私が進しんを助けなければいけない。

「お願い、進しんを助けてください！」
「スキル　【女神の加護エンジェルハート！！！】」

　―キラキラキラ

　私がスキルを使うと、進しんの身体が光りに包まれてた。
　次第に、傷が癒えていく。
　しかし、心臓の様子は変わらずにいる。

「もっと魔法で治してあげないと！」
「無魔法　【完全回復マキシマムキュアー！】」

『女神の加護エンジェルハート』と同時に『完全回復マキシマムキュアー』を使い、回復力を一気に増加させる。
　この二個を同時に使って、治らないものは存在しないと師匠は言っていた。

「…………」
「様子が変わらない⁉」

　しかし、心臓の動きが良くなる事は無く、ずっと遅くて弱いままだ。
　私は、どうしてよくならないのかが分からなかった。
　このままだと、身体に十分な血液が遅れずに、死んでしまう。

「せめて、心臓の動きをどうにかしないと！」
「無魔法　【神の手ゴッドハンド！】」

　―ドクンッ

　―ドクンッ

　―ドクンッ

「これで、考える時間ができそう、くっ……」

　私は、『神の手ゴッドハンド』を使って、進しんの心臓を人為的に動かしている。
　この魔法は、繊細な動きが難しく、集中力と魔力の消費が激しい。
　しかし、この間は進しんが起きない理由を考えることができそうだ。

「どうして起きないの⁉　進しんの身体では、何が起こっているの⁉」


　◆


「……はっ！　こ、ここはどこだ？」