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第五十四話 最後の審判

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「フフッ、なーんちゃって!」
「っ⁉ この状況で笑っただと⁉ いや、落ち着け。この笑いは、死への恐怖から出てきたものだ」

 私は、自分が死ぬとは一切思っていない。
 それどころか、勝利を確信している。

「追加魔法 【圧縮プレッシャー!】」

 ―グググッ!

「なんだ⁉ 糸が集まってくる!」

圧縮プレッシャー』によって、散らばっていた糸が中央に集まっていく。
 そして、沢山の糸が集まることによって、一つの頑丈な糸が完成する。
 ガゼルは、『雷の巣サンダーウェブ』に捕まっている。

「密度も上がったことだし、もっと負荷をかけておこうかな」

 ―ビリビリビリ!!!

「どこからその魔力が生まれているんだ⁉」

 ―ニヤッ

「な、なんで笑っているんだ!」

 私は、ガゼルの反応が面白くて、つい笑ってしまった。
 ガゼルは、本当に何も知らないようだ。

「あんたって、本当にバカなんだね。いいよ、仕方ないから説明してあげる。ほいっ」

 ―ウィィィン

 そうして、私はガゼルに自身のステータスを見せた。

 ~~~~~~


 <安治 優羽(あんじ ゆう)>

 ・役職 魔術師
 ・職業 聖者
 ・スキル 女神の加護エンジェルハート
      最高魔術師(魔力の消費を大幅に抑える)

 ・究極魔法 最後の審判ラストジャッジメント

 レベル100/100 次のレベルまでの必要経験値 0

 体力  750/750
 打撃力 550/550
 防御力 400/400
 魔力  900(1200)/900 (職業効果+300)
 瞬発力 150/150


 ~~~~~~


「こ、これはステータスか?」
「そうよ、何か気付くことはない?」
「レベルが最大になっていることか? ……っ⁉ まさか⁉」

 ガゼルは、やってしまったと言わんばかりの表情をした。
 その表情が、さらに私の気持ちを高ぶらせる。

「せいかーい! ようやく気が付いたようだね、ザコくん!」
「私が出したモンスターで、レベルアップしたというのか⁉」
「ヘヘヘ、ありがとね! 頭が悪くて助かったよ!」

 私のガゼルと戦う前のレベルは『70』だった。
 しかし、ガゼルが上級モンスターを多く召喚してくれたお陰で、レベルが最大になっっている。
 それによって、私の魔力は増加していった。
 しんどそうにしていたのは、ガゼルを誘うための演技だったのだ。
 このことに、ガゼルは一切気が付いていなかった。

「クソッ、さっきから私をバカにしやがって!」
「え? だってバカじゃん?」

 あまりにも楽しすぎて、ガゼルを煽ってしまう。

「いい加減にしろよ! こんなもの、すぐに消し去ってや……」
「やらせないよ」
「無魔法 超絶重力ギガントグラビティ

 ―ドォォォォォォ!!!

「ぐっ、か、身体が動かない」

 ガゼルは、『超絶重力ギガントグラビティ』によって、地面に押し付けられている。
 ガゼルは、『雷の巣サンダーウェブ』に囲まれ、『超絶重力ギガントグラビティ』で身動きを封じられている。
 もう、勝ち目はない。

「これで終わりにするよ」
「究極魔法!」

 ―ドゴゴゴゴゴ!!!

 私の背後に、神の姿をした化身が現れた。
 そして、左手をゆっくりと、大きく振りかぶる。

「ま、待ってくれ! 助けてくれ!」
「クッ、」

 ガゼルは、必死になって命乞いをしてくる。
 私は、その姿を見て、怒りが込み上げてくる。

「お前が、パパとママを殺した時、命乞いをしたら許してくれたのか? いや、そんな事は無いね。だって、話す間もなく殺されたんだから……」
「そのことについては、本当にすまない! 許してくれ!」

 ガゼルは、泣きじゃくりながら、必死に命乞いを続ける。
 しかし、私の気持ちが変わる事は無い。

「あんたって、本当にクズね。死んで」
「【最後の審判ラストジャッジメント!!!】」

 ―ドゴゴゴゴゴ!!!

「い、嫌だ、死にたくないよぉぉぉ!!!」

 ―ドガァァァン!!!

 化身の左拳が、力強く地面に叩きつけられた。

「死んでその罪を償え」
「…………」

 ガゼルは、恐らく消滅しているだろう。
 運が良くても、潰れて死んでいるだけなのだが。
 まあ、もう見たくもないので確認をする事は無い。

「終わった……やったよ、パパ、ママ」

 私は、亡くなった親に結果を報告した。

 ―ビュゥゥゥン!!!

『『ありがとう』』
「……え?」

 突風と共に、パパとママの声が聞こえたような気がした。
 私の心は、幸せな気持ちでいっぱいだった。

「パパ、ママ、私の方こそ、ありがとう!」
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