底辺ハンターのリベンジダンジョン！～モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います～

第五十三話 優羽の復讐

　―ガチャン！

「女よ、やっと来たか」
「次は、私の番ね」

　次の相手は、優羽ゆうの目的の相手、『ガゼル』だ。
　余程暇だったのか、俺たちが部屋に入ると、すぐに声を掛けてきた。

「以前とは雰囲気が変わったか？」
「あんたと話す事は無いわ。早く始めましょう」

　優羽ゆうは、怒った様子でガゼルと話している。
　あんなに怒っている優羽ゆうを見るのは、初めてかもしれない。

「優羽ゆう、頑張れ」

　俺は、心の中で優羽ゆうを応援した。


　―――


「そんなに早く死にたいのか、いいだろう。始めよう」

　私は、両親を殺した『ガゼル』に復讐するために、ここまでやって来た.
　これまで、何度もあの日のことの後悔をしていた。
　しかし、それも今日でスッキリさせようと思う。

「絶対に復讐を果たして見せる！」
「やれるものならやってみろ」

　―ビュウゥゥン！！！

　戦いが始まると、ガゼルは素早く動き始めた。
　その速さは尋常ではなく、目で追いつけなくなるほどだ。

「早いのは、あの時に知った！」
「雷魔法　【雷の巣サンダーウェブ！！！】」

　―ビリビリビリ

　私は、『雷の巣サンダーウェブ』で辺り一帯に電気を帯びた蜘蛛の巣を張った。
　これに触れると、強力な電気が体中に走る。
　そのため、私に攻撃することは、とても難しいだろう。

「これなら、速さは関係ないわ！」
「フンッ、所詮はこの程度か」

　ガゼルは、私の魔法を見て笑っていた。
　そして、移動してくる音が大きくなっていく。

「来る！　大丈夫、この魔法なら、スピードの差は無くせられるわ！」
「これごときで、魔王様の側近を務められるはずがないだろ」
「魔術　【発生アウトブレイク！】」

　―ギュワァァァ！！！

「っ⁉　モンスターが出てきた⁉」

　ガゼルが魔術を使うと、何もないところからモンスターが出てきた。
　その数は、数体ではなく、何十体もいる。
　そして、そのモンスター全てがA級以上だ。

　―ギュワァァァ！！！

「数が多くても、『雷の巣サンダーウェブ』がある限り、私に攻撃はできないわ！」

　―ビリビリビリ！！！

　―ギュギュギュ！！！

　次々にモンスターが『雷の巣サンダーウェブ』に引っかかり、倒れていく。
　中にはS級モンスターがいるものの、なかなか良い戦いをしている。

「そろそろだな」

　―ビリビリビリ！！！

　―ギュギュギュ！！！

「くっ、ま、魔力の減りが激しすぎる！」

『雷の巣サンダーウェブ』は、広範囲で自身の身を完全に守ることができ、触れた者に強力な電気を流すのだが、もちろん魔法での攻撃となる。
　そのため、触れられる回数が多ければ多いほど、身体への負担が大きくなる魔法なのだ。
　そして、沢山のモンスターが触れたため、魔力を想定以上に使ってしまっていたのだ。

　―スッ

「緩んだな、これで決めてやるぞ！」

　―ビュウゥゥン！！！

「ま、マズい！　魔力が減って、気が緩んでしまった！　えいっ！」

　―ギュ！

「もう遅い！」

　一瞬の気の緩みによって、生まれた僅かな隙間から、ガゼルが飛び込んできた。
　すぐに締め直したのだが、もう既に遅く、一気に迫られてしまった。

「どうしよう、このままだと接近される！」
「氷魔法　【吹雪ブリザード！】」

　―ゴゴゴゴゴゴ！！！

「そんな弱い魔法が効くわけないだろう」
「魔術　【魔炎ダークフレイム！】」

　―ボワァァァ！！！

「全く効かない！　もう、勝ち目が無いよ……」

　私の放った『吹雪ブリザード』は、ガゼルの魔術によって簡単に打ち消された。
　どんな魔法を使っても、全て打ち消されてしまうだろう。

「やはりお前はあの時と変わらず、弱いままだな！　これで終わりだ！」
「魔術　奥義……」

　ガゼルが、決着を付けようと攻撃の姿勢に入った。
　私は、ダメだと諦め……

「フフッ、なーんちゃって！」

　こんなところで、私が負ける訳がないでしょ！