底辺ハンターのリベンジダンジョン！～モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います～

第四十九話 愛人の復讐

　―ザワザワザワ

「やっぱり、みんな緊張してるな。ま、まあ、お、俺は緊張なんかしてないけど！」
「仕方ないよ、これが最後の戦いになるんだから。ま、まあ、わ、私は違うけど！」
「ふ、二人とも、き、緊張しすぎだよ！　ぼ、僕を見ならッデェ！！！」
「あ、盛大に噛んだ」
「愛人あいと、お前が一番緊張してるぞ」

　俺たちを含めたハンター全員が、各地でモンスターを出迎えようと待機している。
　みんなの表情からもわかるが、緊張した空気が流れている。
　そして、隣にいる愛人あいとは、足をガクガク震わせて、まともにしゃべることもできないほど緊張している。

「そ、そんなことはなディ！！！」
「あ、また嚙んだ」
「お前のせいで、もう緊張してないぞ」

　愛人あいとの様子を見ていると、ガチガチすぎて俺と優羽ゆうの緊張が無くなってしまった。
　そんな感じで待機していると……

　―ゴゴゴゴゴゴ

「ようやく来たな」

　上空に巨大なゲートが現れた。
　それは、あの日と全く同じものだった。

　―ギィィィ！
　―ギュワァァァ！！！
　―グリュゥゥゥ

　そして、ゲートの中からはたくさんのモンスターが出てきている。
　そのモンスターは、強いものから弱いものまで様々だ。

「お前たち！　よく聞け！」
「おっ、神宮寺じんぐうじさんじゃん！」

　俺たちの地区のリーダーは、神宮寺じんぐうじさんが務めている。
　みんなは神宮寺じんぐうじさんの話を聞いて、士気が高まる。

「これが最後の戦いだ！　行くぞー！」
「「「ワァァァァァァ！！！」」」

　―シャキンッ！

　―バーン！

　―ドゴゴゴゴ！

　一気に街全体が戦場となり、戦いが始まった。
　それぞれが、自分にできることを探して戦っている。
　すると、ゲートに三体のモンスターが現れた。

「ようやくお出ましだな、魔王様たち！」
「ガゼル……」
「アラン……」

　ゲートの前には、明らかに格が違う三体のモンスター、俺たちの相手が現れた。
　その三体は、すぐに俺たちの方を見た。

「異質な人間か。久しぶりだな」
「できれば会いたくはなかったぜ」
「まあいい、ここでは存分に戦えぬだろう。私たちは、こっちで決着を付けようではないか。その前にこの二体を倒してからだがな」
「望むところだ」
「フンッ、それでは待っておるぞ」

　―シュゥゥゥ

　そう言うと、三体はダンジョンの中へと入っていった。
　俺たちは、迷うことなくダンジョンに潜ることを決めた。

「それじゃあ、行こうか！」
「「うん！」」

　―シュゥゥゥ

「はぁ、潜ってすぐに扉か。初めはどっちだろうな」
「僕は準備万端だよ」
「私もいつでもいけるよ！」

　二人とも、やる気満々のようだ。
　俺は、勢いよく扉を開ける。

　―ガチャンッ！

「フンッ、来たか、愛人あいと」
「最初は僕のようですね。二人は下がっててください。アランは、僕が倒します！」

　初めの扉の先にいたのは、新宮あらみやとしてハンターの務めをしていた『アラン』だ。
　既に人間の原型は留めておらず、完全に魔族の姿になっている。
　実力があれば、姿を自由に変えられるようだ。

　―――

「アラン『様』だろ？　自分の身分を忘れたのか？」
「僕はもうお前の手下じゃない！　一人のハンターだ！」
「いいだろう。二度とそんなことを言えないように、しつけてやるよ」

　アランは、僕の家族を殺した上に、その記憶を変えて利用した。
　そんな奴を許せない。
　こいつは、僕の手で絶対に倒さなければならないんだ！

「僕は、絶対に負けない！」
「始めようか」

　―ビュゥン！！！

　この瞬間から、僕の復讐は始まる。