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第四十五話 本当の裏切り者
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「お前たち、いないと思ったらここにいたのか」
「「誠司⁉」」
「新宮さん⁉」
そこにいたのは、俺たちハンターの鏡、『新宮 誠司』だった。
そして、その姿は愛人と同じ魔族の姿をしている。
「どうして、そんな姿に……」
「どうして? これが元々の姿だ。人間の姿が偽物だ」
「あんなに熱心にハンターの活動をしていたのに……」
「魔族の素質を持つハンターを探す為だ」
「それじゃあ、誠司は……」
「ああ、お前たちハンターの敵だ」
俺たちは、動揺のあまり、上手く話すことができない。
全く理解が追いつかない。
あの新宮さんが『魔族』だなんて、信じられるはずがない。
頭がおかしくなりそうになる。
「安心しろ、今は戦う気はない」
「今は?」
「そうだ、お前たちには、特別に教えてやろう」
『一週間後、モンスターが人間世界を滅ぼしに行く』
新宮さんの言葉で、俺はあの日の景色が頭に浮かんだ。
そう、俺がハンターになった日。
そして、大切なものを失った日だ。
俺は、頭に血が上り、無意識に新宮さんに向かって攻撃していた。
「クソがぁぁぁ!!!」
「まだだと言っているだろう」
―ブンッ!
「グハッ!」
―ドガァァァン!!!
「進!」
「進くん!」
俺は、一瞬で吹き飛ばされてしまった。
攻撃の一瞬が全く見えなかった。
「ザコが、私はもう行く」
「ちょと待って! この子はどうするの!」
去ろうとするところを、西野さんが引き留める。
「こいつはもう用無しだ。いい人形だった。嘘を吹き込んだら、すぐに信じ込んだんだ。面白いだろ!」
「嘘を吹き込んだ?」
「そうだ、記憶を変えてやったのさ。人間を嫌うようにな」
「最低ね」
「フンッ、言ってろ。あと、俺の名は『アラン』だ。じゃあな」
「ちょ、待ちなさい!」
―ザァァァ
新宮はそう言うと、すぐに消えていった。
「愛人は、あいつに利用されていたってことなのか?」
「そうなるな」
「くそっ、許せねぇ!」
友達の記憶を改ざんして、利用した新宮に対して、怒りの感情が湧き上がってくる。
あいつは、絶対に許してはいけない存在だ。
「葵、この子の記憶を呼び起こすことはできないのか?」
「そんなことができるんですか⁉」
神宮寺さんが提案したことができれば、愛人の身に何があったのかがわかる。
もしかしたら、愛人を元に戻すことができるかもしれない。
「ええ、できない事は無いわ。でも、失敗したら、この子が目覚めなくなるわ」
「……」
俺は、決断ができずに悩んでしまう。
このままでは、愛人はずっと人間を憎んだままだろう。
しかし、挑戦して失敗したら、一生起きる事は無い。
俺にとって、重大な選択を強いられていた。
「師匠、やりましょう!」
「この声は⁉」
後ろから可愛らしく、聞き馴染んだ声が聞こえた。
「優羽ちゃん、復活しました!」
「治ってる。よかった」
振り向いてみると、そこには元気な様子の優羽が立っていた。
元気な姿を見て、俺は安心する。
「優羽、寝とけって言っただろ?」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ! 私と二人でやりましょう!」
優羽は、自信満々な様子で西野さんに言った。
何か、もの凄く頼りに見えてきた。
「それはいいが、お前、やり方わかるのか?」
「わかりません!」
「……」
「……」
「……」
うん、頼りに思った俺がバカだった。
優羽は、元気よくわからないと言った。
場の空気が凍るのがわかった。
「それでも、やって見せますよ! 騙されたままだなんて、可愛そうですよ!」
「ハハッ」
「進、なんで笑ってるの?」
俺は、優羽の誠実さについ笑ってしまった。
そして、その言葉がみんなに元気を与えてくれた。
「ごめん、優羽らしいなって思って」
「そうだな。優羽の言う通りだ。やるしかないな」
「はいっ! やりましょう!」
そうして、愛人を横に寝転ばして、頭の周りに西野さんと優羽が座って、魔法を使う。
「いくよ、集中力を切らさないようにね」
「はい!」
「「無魔法 【回想!】」」
「「誠司⁉」」
「新宮さん⁉」
そこにいたのは、俺たちハンターの鏡、『新宮 誠司』だった。
そして、その姿は愛人と同じ魔族の姿をしている。
「どうして、そんな姿に……」
「どうして? これが元々の姿だ。人間の姿が偽物だ」
「あんなに熱心にハンターの活動をしていたのに……」
「魔族の素質を持つハンターを探す為だ」
「それじゃあ、誠司は……」
「ああ、お前たちハンターの敵だ」
俺たちは、動揺のあまり、上手く話すことができない。
全く理解が追いつかない。
あの新宮さんが『魔族』だなんて、信じられるはずがない。
頭がおかしくなりそうになる。
「安心しろ、今は戦う気はない」
「今は?」
「そうだ、お前たちには、特別に教えてやろう」
『一週間後、モンスターが人間世界を滅ぼしに行く』
新宮さんの言葉で、俺はあの日の景色が頭に浮かんだ。
そう、俺がハンターになった日。
そして、大切なものを失った日だ。
俺は、頭に血が上り、無意識に新宮さんに向かって攻撃していた。
「クソがぁぁぁ!!!」
「まだだと言っているだろう」
―ブンッ!
「グハッ!」
―ドガァァァン!!!
「進!」
「進くん!」
俺は、一瞬で吹き飛ばされてしまった。
攻撃の一瞬が全く見えなかった。
「ザコが、私はもう行く」
「ちょと待って! この子はどうするの!」
去ろうとするところを、西野さんが引き留める。
「こいつはもう用無しだ。いい人形だった。嘘を吹き込んだら、すぐに信じ込んだんだ。面白いだろ!」
「嘘を吹き込んだ?」
「そうだ、記憶を変えてやったのさ。人間を嫌うようにな」
「最低ね」
「フンッ、言ってろ。あと、俺の名は『アラン』だ。じゃあな」
「ちょ、待ちなさい!」
―ザァァァ
新宮はそう言うと、すぐに消えていった。
「愛人は、あいつに利用されていたってことなのか?」
「そうなるな」
「くそっ、許せねぇ!」
友達の記憶を改ざんして、利用した新宮に対して、怒りの感情が湧き上がってくる。
あいつは、絶対に許してはいけない存在だ。
「葵、この子の記憶を呼び起こすことはできないのか?」
「そんなことができるんですか⁉」
神宮寺さんが提案したことができれば、愛人の身に何があったのかがわかる。
もしかしたら、愛人を元に戻すことができるかもしれない。
「ええ、できない事は無いわ。でも、失敗したら、この子が目覚めなくなるわ」
「……」
俺は、決断ができずに悩んでしまう。
このままでは、愛人はずっと人間を憎んだままだろう。
しかし、挑戦して失敗したら、一生起きる事は無い。
俺にとって、重大な選択を強いられていた。
「師匠、やりましょう!」
「この声は⁉」
後ろから可愛らしく、聞き馴染んだ声が聞こえた。
「優羽ちゃん、復活しました!」
「治ってる。よかった」
振り向いてみると、そこには元気な様子の優羽が立っていた。
元気な姿を見て、俺は安心する。
「優羽、寝とけって言っただろ?」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ! 私と二人でやりましょう!」
優羽は、自信満々な様子で西野さんに言った。
何か、もの凄く頼りに見えてきた。
「それはいいが、お前、やり方わかるのか?」
「わかりません!」
「……」
「……」
「……」
うん、頼りに思った俺がバカだった。
優羽は、元気よくわからないと言った。
場の空気が凍るのがわかった。
「それでも、やって見せますよ! 騙されたままだなんて、可愛そうですよ!」
「ハハッ」
「進、なんで笑ってるの?」
俺は、優羽の誠実さについ笑ってしまった。
そして、その言葉がみんなに元気を与えてくれた。
「ごめん、優羽らしいなって思って」
「そうだな。優羽の言う通りだ。やるしかないな」
「はいっ! やりましょう!」
そうして、愛人を横に寝転ばして、頭の周りに西野さんと優羽が座って、魔法を使う。
「いくよ、集中力を切らさないようにね」
「はい!」
「「無魔法 【回想!】」」
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