底辺ハンターのリベンジダンジョン!~モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います~

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第四十三話 闇に堕ちた王子様

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「君は僕には勝てないんだよ!」

 ―ビュゥン!

 愛人あいとは、一瞬で間合いに入り込んできた。
 やはり、ステータスが高いので、動きも別格だ。

「もらった!」

 ―ブンッ!

「そんな事は無いな。仲間を本気で殺そうとする奴に、俺が負ける訳がない」

 ―サァァァ

「き、消えた⁉」
幻影ファントムだ。もうお前は、俺に触れることはできない」

 俺は、幻影ファントムを使い、愛人あいとの攻撃を避けた。
 いつも以上に集中力があり、負ける気がしない。

「うるせぇ! 調子に乗るんじゃねぇ、ザコステータスが!」
「そんなザコに攻撃を避けられていいのか?」
「っ⁉ おりゃぁぁぁ!!!」

 愛人あいとの口調は完全に乱れ、ムキになっているのが見てわかる。
 それもそうだろう、俺が役職『覚醒者』に目覚めたことは知らないのだから。
 ただ、ザコ相手に苦戦しているとしか思っていないのだろう。
 そして、一心不乱に剣を振り回してくる。

 ―ビュンッ!

 ―ビュンッ!

 ―ビュンッ!

 ―サァァァ

「全く当たらないぞ。ちゃんとやってんのか?」
「クソッ! 一発も当たらないだと⁉ そんなことがあるはずがない!」

 俺は、完全に愛人あいとの攻撃を避けている。
 そして、時間が立つと共に、動きが荒くなり、避けるのも簡単になってきた。
 愛人あいとの息は乱れており、疲れが出てきたようだ。

「今度は、俺の番だな」
「僕が、こんな奴に負ける訳がない」
「言ってろ、ザコが」
「空間スキル 【無重力空間ゼロ=グラビティ!】」

 ―フワッ

無重力空間ゼロ=グラビティ』の効果によって、愛人あいとは身動きが取れなくなり、宙に浮いている。

「か、身体が動かないだと⁉ こんなスキル打ち消してやる!」
「させるかよ」
「闇魔法『まとい』 【シャドウ!】」
「【解除アンロック!!!】」

 ―………

「くそがっ! どうして発動しないんだよ!」

 愛人あいとが『解除アンロック』を使う前に、『シャドウ』を使い、スキルが打ち消されるのを防いだ。
 これによって、愛人あいとは何もすることができない。
無重力空間ゼロ=グラビティ』から抜け出すには、圧倒的な力で空間を破壊するしかないが、魔族でない限り不可能だ。

「これで終わりだ」
「なぜだ、なぜ、こんな奴に僕が負けるんだ……」
「じゃあな」

 俺は、右手を愛人あいとの方へと向け、スキルを使う。

「スキル『究極アルティメット』 【麒麟きりん!!!】」

 ―ドゴゴゴゴ!!!

麒麟きりん』を使うと、聖獣のようなものが愛人あいとに向かって勢いよく突撃していく。
 この攻撃が当たれば、もう動くことは不可能だろう。

 ―ドゴゴゴゴ!!!

「いっけぇぇぇ!!!!!!!」

 あと少しで、愛人あいとに攻撃が当たる。
 そうすれば、俺の勝ちが決まる!

「僕は、こんなところではまだ死ねない。まだ、僕の復讐は終わってない……」
「あいつを、僕の大切なものを奪ったハンターどもを消し去るまでは!」
「殺す、殺す、ころす、ころ、す、コ、ロス、コロス、コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!」

 ―バンッ!

「う、嘘だろ⁉ 俺の攻撃が消し飛ばされた⁉」

 大きな音が鳴ると共に、俺が使っていたスキルや魔法の全てが弾き飛ばされた。
 俺は、驚きのあまり、思考が停止してしまう。

「コロス、ハンタァ、コロス」
「あ、あの姿は、それに、この迫力……」

 砂埃の中から姿を現した愛人あいとには、角・羽・尻尾が生えており、その姿はまるで、

「『魔族』、なのか……?」

 そう、愛人あいとは魔族のような姿に変化していた。
 力が劇的に向上していることから、見かけだけではないことが分かる。
 この圧は、魔王を見た時に感じた圧とほとんど変わらない。

「コロス、コロス、コロス!!!」
「どうして、魔族なんかに……」

 ―ビュウゥゥン!!!

 愛人あいとは、意識が無いのか、何かをボソボソと言うと、勢いよく俺の方に向かって飛び込んできた。

「これは、何をやっても無駄だ。殺される……」

 愛人あいとの圧を前にして、俺は本能的に死を覚悟した。
 俺が何かやったところで、全てが無意味になると察してしまうほどの迫力があった。

「コロス!」

 ―ドガァァン!!!

「……え?」

 俺が突っ立っていると、一瞬で視界から近づいてきていた愛人あいとが消えた。
 何が起こったのかわからずに、戸惑ってしまう。
 すると、元気いっぱいの声が聞こえた。

「ギリギリ間に合ったぜ! 大丈夫か、しん!」
神宮寺じんぐうじさん⁉」
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