36 / 63
第三十五話 絶望
しおりを挟む
―ドガァァン!
「もの凄い威力だ。これは、結構強そうなモンスターがいそうだな」
「そうね。急がないと他の人たちが危ないかもね」
「そうだな。飛ばすぞ!」
「ちょ、」
―ビュウゥゥン!!!
「待ってくださいよー!!!」
俺たち三人は、全速力で奥へと向かって行った。
昌磨の声が少しづつ小さくなって言っているが、まあ付いて来てるだろう。
少しすると、飛んでいる大きなモンスターの影が見えた。
「あそこだな!」
「私に任せて!」
「氷魔法 【吹雪!】」
―ビュウゥゥン!
―キィィィ!!!
優羽が【吹雪】を使うと、モンスターの周りを冷たい風と雪で取り囲んだ。
モンスターは、苦しそうに叫び声を上げながらもがいていた。
「今のうちにみんなを安全なところに!」
「あなたは⁉」
「あとで説明するから、今は下がっててくれ」
「は、はい」
そうして、昌磨が言っていた三人を安全な場所へと避難させた。
―キィィ!
―バンッ!
「弾いたのか⁉」
「まあ、威力を抑えたから、仕方がないわ」
モンスターは、力強く羽を広げると、【吹雪!】を消し去った。
―ビリッ、ビリビリッ
「あれは、『獣迅雷鳥』よ!」
『獣迅雷鳥』、それはケモノ族の『迅雷鳥』の進化系のモンスターだ。
その強さは、獣狼牙をも簡単に越している。
「おい! あいつの足を見ろ!」
「あの子が連れ去られた子ね。それにしても厄介なところにいるわね」
「そうだな。人質に取られてるみたいだ」
獣迅雷鳥の足には、連れ去られた女の子が掴まれていた。
無理に攻撃を仕掛ければ、あの子にまで被害が及んでしまう可能性があるので、慎重に戦わなければならない。
「先にあの子を助けましょう」
「どうやって助ける? 上空じゃあ上手く動けないぞ」
「魔法で足場を作るから、進はあいつの気を引いて。その間に私が瞬間移動で上から攻撃するから」
「なるほど、任せろ!」
「それじゃあ、行くよ!」
女の子を助けるまでは、全力を出すことができないので、先に救出することにした。
そうして、作戦も決まったので、俺は優羽の合図で動き出した。
「俺も一応、使っておくか」
「強化スキル 【能力上限解放!】」
「土魔法 【噴砂!】」
―ブワァァァ
「お、これは凄いな!」
噴砂によって、俺の足元に常に砂の床ができており、空中を陸のように自由に動き回ることができる。
そうして、俺は獣迅雷鳥の正面に行き、気を引かせる。
「こっちだぞー! ベロベロバー! あっかんベー!」
「はぁ、何やってんのよ。そんなので気を引けるわけ……」
―ギィィィィィィ!!!
「できるのかよ。しかも、めっちゃ怒ってるよ」
―ビュウゥゥン!!!
「まあいい、この間に私が」
獣迅雷鳥は、俺の挑発に完全に乗ってきた。
そして、もの凄い速さで飛んでくる。
「うわぁぁぁ……あれ? 神宮寺さんの方が早いじゃん」
意外にも、獣迅雷鳥はそれほど早くなく、余裕で動きが見えた。
神宮寺さんって、やっぱり凄かったんだと実感した。
「これなら、俺だけで良さそうだな。やってみるか!」
―ギィィィィィ!!!
「スキル 【斬撃!】」
―シャキンッ!
―ギュワァァァ!!!
「進、足を切ったの⁉ あのバカ、私も上空にいるってのに!」
俺の攻撃は、上手く決まり、両足を綺麗に切り落とすことに成功した。
これで女の子を助けることができそうだ……って、優羽はなんで上にいるんだ?
女の子、落ちてるけど。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
「うわっ、やべっ!」
―ビュウゥゥン
俺は、全力で砂の足場を踏み込み、女の子の元へと急いだ。
―サッ
「ふぅ、間に合った。大丈夫ですか?」
「あ、はい。ありがとうございます。うぅ、怖かったですぅ!」
―ギュ
あ、最高だ。
女の子は、中学生くらいに見える程の幼い顔立ちで、とてもかわいい。
しかし、ハンターということは、実際は俺と同じかそれ以上の年齢だ。
まあ、可愛い子にギュッとされるのに、嬉しいことには変わりはない。
「地面に着いたよ。もう大丈夫だから。みんなと待ってて」
避難させた三人と同じ場所に連れて行き、安全を確保する。
そうして、俺は地面に降りてきた優羽の元へ行く。
「かわいかったなぁ。あはは、あははははぁぁ」
―ドンッ!
「グハッ、きゅ、急に何するんだよ!」
「作戦を守らなかったのと、きもい顔をしてたから」
「なんだよそれ!」
俺は、優羽にお腹を強く殴られた。
そして、なぜか優羽は機嫌が凄く悪かった。
「まあ、足を切ったから、あいつはもう何もできないだろ」
「そうね」
―ギュ、ギュワァァァァァ!!!
獣迅雷鳥は、急に羽を動かしながら、雄叫びを上げだした。
すると、想定外のことが起きた。
―ニュキッ!
「あ、足が生えた⁉」
「もしかして、こいつ、『混合種』なのか……」
俺は、新宮さんに、こんな話を聞いたことがあった。
~~~~~~
「稀に、ケモノ族と魔族の混合種がいるんだ」
「それって、中途半端で弱くなるんじゃないですか?」
「いいや、それがその逆なんだ」
「逆ですか? ってことは、ケモノ族と魔族を足した力ってことですか?」
「いいや、その力は、掛け算になる。上級魔族レベルの力を持つ」
「そんなの、勝てるはずがないじゃないですか?」
「ああ、そうだ。だから、万が一、混合種に出会って戦うことになったら……」
「死を覚悟しろ」
「もの凄い威力だ。これは、結構強そうなモンスターがいそうだな」
「そうね。急がないと他の人たちが危ないかもね」
「そうだな。飛ばすぞ!」
「ちょ、」
―ビュウゥゥン!!!
「待ってくださいよー!!!」
俺たち三人は、全速力で奥へと向かって行った。
昌磨の声が少しづつ小さくなって言っているが、まあ付いて来てるだろう。
少しすると、飛んでいる大きなモンスターの影が見えた。
「あそこだな!」
「私に任せて!」
「氷魔法 【吹雪!】」
―ビュウゥゥン!
―キィィィ!!!
優羽が【吹雪】を使うと、モンスターの周りを冷たい風と雪で取り囲んだ。
モンスターは、苦しそうに叫び声を上げながらもがいていた。
「今のうちにみんなを安全なところに!」
「あなたは⁉」
「あとで説明するから、今は下がっててくれ」
「は、はい」
そうして、昌磨が言っていた三人を安全な場所へと避難させた。
―キィィ!
―バンッ!
「弾いたのか⁉」
「まあ、威力を抑えたから、仕方がないわ」
モンスターは、力強く羽を広げると、【吹雪!】を消し去った。
―ビリッ、ビリビリッ
「あれは、『獣迅雷鳥』よ!」
『獣迅雷鳥』、それはケモノ族の『迅雷鳥』の進化系のモンスターだ。
その強さは、獣狼牙をも簡単に越している。
「おい! あいつの足を見ろ!」
「あの子が連れ去られた子ね。それにしても厄介なところにいるわね」
「そうだな。人質に取られてるみたいだ」
獣迅雷鳥の足には、連れ去られた女の子が掴まれていた。
無理に攻撃を仕掛ければ、あの子にまで被害が及んでしまう可能性があるので、慎重に戦わなければならない。
「先にあの子を助けましょう」
「どうやって助ける? 上空じゃあ上手く動けないぞ」
「魔法で足場を作るから、進はあいつの気を引いて。その間に私が瞬間移動で上から攻撃するから」
「なるほど、任せろ!」
「それじゃあ、行くよ!」
女の子を助けるまでは、全力を出すことができないので、先に救出することにした。
そうして、作戦も決まったので、俺は優羽の合図で動き出した。
「俺も一応、使っておくか」
「強化スキル 【能力上限解放!】」
「土魔法 【噴砂!】」
―ブワァァァ
「お、これは凄いな!」
噴砂によって、俺の足元に常に砂の床ができており、空中を陸のように自由に動き回ることができる。
そうして、俺は獣迅雷鳥の正面に行き、気を引かせる。
「こっちだぞー! ベロベロバー! あっかんベー!」
「はぁ、何やってんのよ。そんなので気を引けるわけ……」
―ギィィィィィィ!!!
「できるのかよ。しかも、めっちゃ怒ってるよ」
―ビュウゥゥン!!!
「まあいい、この間に私が」
獣迅雷鳥は、俺の挑発に完全に乗ってきた。
そして、もの凄い速さで飛んでくる。
「うわぁぁぁ……あれ? 神宮寺さんの方が早いじゃん」
意外にも、獣迅雷鳥はそれほど早くなく、余裕で動きが見えた。
神宮寺さんって、やっぱり凄かったんだと実感した。
「これなら、俺だけで良さそうだな。やってみるか!」
―ギィィィィィ!!!
「スキル 【斬撃!】」
―シャキンッ!
―ギュワァァァ!!!
「進、足を切ったの⁉ あのバカ、私も上空にいるってのに!」
俺の攻撃は、上手く決まり、両足を綺麗に切り落とすことに成功した。
これで女の子を助けることができそうだ……って、優羽はなんで上にいるんだ?
女の子、落ちてるけど。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
「うわっ、やべっ!」
―ビュウゥゥン
俺は、全力で砂の足場を踏み込み、女の子の元へと急いだ。
―サッ
「ふぅ、間に合った。大丈夫ですか?」
「あ、はい。ありがとうございます。うぅ、怖かったですぅ!」
―ギュ
あ、最高だ。
女の子は、中学生くらいに見える程の幼い顔立ちで、とてもかわいい。
しかし、ハンターということは、実際は俺と同じかそれ以上の年齢だ。
まあ、可愛い子にギュッとされるのに、嬉しいことには変わりはない。
「地面に着いたよ。もう大丈夫だから。みんなと待ってて」
避難させた三人と同じ場所に連れて行き、安全を確保する。
そうして、俺は地面に降りてきた優羽の元へ行く。
「かわいかったなぁ。あはは、あははははぁぁ」
―ドンッ!
「グハッ、きゅ、急に何するんだよ!」
「作戦を守らなかったのと、きもい顔をしてたから」
「なんだよそれ!」
俺は、優羽にお腹を強く殴られた。
そして、なぜか優羽は機嫌が凄く悪かった。
「まあ、足を切ったから、あいつはもう何もできないだろ」
「そうね」
―ギュ、ギュワァァァァァ!!!
獣迅雷鳥は、急に羽を動かしながら、雄叫びを上げだした。
すると、想定外のことが起きた。
―ニュキッ!
「あ、足が生えた⁉」
「もしかして、こいつ、『混合種』なのか……」
俺は、新宮さんに、こんな話を聞いたことがあった。
~~~~~~
「稀に、ケモノ族と魔族の混合種がいるんだ」
「それって、中途半端で弱くなるんじゃないですか?」
「いいや、それがその逆なんだ」
「逆ですか? ってことは、ケモノ族と魔族を足した力ってことですか?」
「いいや、その力は、掛け算になる。上級魔族レベルの力を持つ」
「そんなの、勝てるはずがないじゃないですか?」
「ああ、そうだ。だから、万が一、混合種に出会って戦うことになったら……」
「死を覚悟しろ」
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ダンジョンのモンスターになってしまいましたが、テイマーの少女が救ってくれたので恩返しします。
紗沙
ファンタジー
成長に限界を感じていた探索者、織田隆二。
彼はダンジョンで非常に強力なモンスターに襲われる。
死を覚悟するも、その際に起きた天災で気を失ってしまう。
目を覚ましたときには、襲い掛かってきたモンスターと入れ替わってしまっていた。
「嘘だぁぁあああ!」
元に戻ることが絶望的なだけでなく、探索者だった頃からは想像もつかないほど弱体化したことに絶望する。
ダンジョン内ではモンスターや今まで同じ人間だった探索者にも命を脅かされてしまう始末。
このままこのダンジョンで死んでいくのか、そう諦めかけたとき。
「大丈夫?」
薄れていく視界で彼を助けたのは、テイマーの少女だった。
救われた恩を返すために、織田隆二はモンスターとして強くなりながら遠くから彼女を見守る。
そしてあわよくば、彼女にテイムしてもらうことを夢見て。
物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜
ネリムZ
ファンタジー
この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。
魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。
探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。
神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。
働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。
貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。
受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!
実はその受付穣が⋯⋯。
不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。
声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。
ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──
魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。
魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!
だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。
これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。
カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。
伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。
深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。
しかし。
お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。
伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。
その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。
一方で。
愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。
死へのタイムリミットまでは、あと72時間。
マモル追放をなげいても、もう遅かった。
マモルは、手にした最強の『力』を使い。
人助けや、死神助けをしながら。
10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。
これは、過去の復讐に燃える男が。
死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。
結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる