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第三十四話 ワクワクの初任務!

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「初任務だー!」
「せっかくの初任務なのに、地味よねー」
「地味って言うなよ! 新宮あらみやさんたちの代わりだぞ!」
「あの人たちも嫌々やってるわよ」
「そんな事は無い! 神宮寺じんぐうじさんは悲しんでたぞ!」
「めっちゃ嬉しそうに笑ってたけど……」
「いや、そんな事は無い! この任務は、ゴニョゴニョ……」
「ああ、わかったから。早く終わらしましょ」

 せっかくの初任務だというのに、優羽ゆうは全く乗り気では無いようだ。
 俺は、それが全く理解できなかった。
 あの、会長から直々に任務を下さったというのに。


 ~~~~~~

「それじゃあ、失礼します」
「ちょっといいかな?」
「あ、はい。大丈夫です」
廻神えがみ君、急なんだが、明日から三人の代わりに低級ダンジョンの見回りに行って欲しいんだ。お願いしてもいいかね?」
「本当ですか? もちろんです!」

 俺は、会長から直々に任務を頂いたというのと、その任務が新宮あらみやさんたちが行っていたものということで、二つ返事で了承した。

「ってことは、俺は明日から見回りに行かなくていいんすか?」
「そうだ」
「よっし……じゃなくて、カナシイナー。モット、ヒトダスケ、シタカッタナ」

 神宮寺じんぐうじさんは、俺が代わりに任務を行うことを聞いて、片言になるほど悲しんでいるようだ。
 それほどこの任務は大切なのだろう。

「俺、全力で頑張ります!」
「頼んだぜ。それじゃあ、俺は明日からはダンジョンに潜るかー」
「何を言っている、約束通り、お前は私の訓練を受けてもらうぞ」
「……え、マジすか?」
「会長直々に訓練していただけるなんて、神宮寺じんぐうじさん、めっちゃいいですね!」
「あ、アア、ソウダナ……」


 ~~~~~~

 こんな感じで、俺たちの初任務は低級ランクダンジョンの見回りに決まった。
 一つ一つ、丁寧に異変が無いかを優羽ゆうの【魔力感知サーチ】と、俺の感で確認していく。
 俺の感はスキルでも何でもない、ただの感だ。

 あれ、もしかして、俺は非常時まですることないのか? ただの感だぞ? 当たるわけがない。
 優羽ゆうが、ひたすら確認するのを見ているだけなのか?

「あ、ここ、何か変じゃない?」
「確認してみるわ。【魔力感知サーチ】」

 ―ピンッ!

「ちょっと変だね。行ってみようよ」
「そうだな」

 ―キュゥゥゥゥ!

 俺の感、当たったよ……
 まあ、偶然かもしれないからな!

 俺の感を過剰に評価することなく、優羽ゆうの魔法を信じてダンジョンの中へと入っていった。
 そうして、奥の方へと進んでいくと、高校生であろう一人のハンターが倒れていた。

「大丈夫ですか?」
「僕のせいだ、僕のせいだ、僕の―」
「落ち着いて! 何があったんだ?」
「仲間が、モンスターに連れ去られた。僕のせいで……」

 俺たちは、『昌磨しょうま』という青年に話を詳しく聞いた。
 彼のチームは、みんなEランクで、このダンジョンもEランク級だ。
 急に大きな鳥型のモンスターが現れて、彼らは逃げた。
 その時に、昌磨しょうまが転んでしまい、彼を庇おうとした女の子がそいつに捕まってしまい、奥へと連れていかれたのだ。
 女の子を助けるために、昌磨しょうま以外の三人は、奥へと向かったそうだ。

「Eランク級のダンジョンに大型モンスターはいない。そいつが異変の原因だな」
「そうね。急いだほうが良さそうね。ひとまず、傷を治すわ」
「回復魔法 【回復キュアー】」

 ―シュゥゥゥ

「それじゃあ、行くぞ」
「急ごう!」
「ちょっと待ってください!」

 昌磨しょうまの傷を癒し、先に進もうとした時、俺たちは引き留められた。

「どうしたんだ?」
「僕も連れてってください。仲間を助けたいんです!」

 昌磨しょうまは、覚悟を決めた漢の目をしていた。
 俺は、笑顔で言った。

「当たり前だろ。早く行くぞ!」
「はい!」

 そうして、俺たちは奥へと急いだ。


 ◆


 一方、神宮寺じんぐうじさんはというと……

「もっと腰を落とせ! 集中を切らすな!」
「は、はぃ」
「声が出てないぞ!」
「はぁぁぁぁい! 999998回! 999999回! 1000000! はぁ、はぁ、終わった」
「次、組手だ。早くしろ」
「マジかよ……」

 ―バシンッ!

 ―バシンッ!

「も、もう無理だ……」
「早く立て、お前が言い出したことだ」
「『負けたら何でもする』なんて、言うんじゃなかった……」
「もう一本だ」

 めっちゃ会長にボコボコにされていた。

「ゆ、ゆ、許してくださぁぁぁぁい!!!」
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