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第三十三話 新人Sランクハンター爆誕!
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―バタンッ
「勝負あり、そこまで!」
神宮寺さんが倒れ、この戦いは終わった。
「……っしゃ、よっしゃー!!!」
俺の心からの叫びが、フィールドに反響して響き渡る。
「やった、進が勝った……」
「本当に勝つとはな、大した者だ」
「どうだ! 俺の必殺技は!」
俺はそう言うと、優羽たちの方に向けて、拳を突き出した。
俺の必殺技は、『段階スキル』と言われるものだ。
~~~~~~
『段階スキル』とは、いわゆるコンボのようなものである。
進の場合だと、三段階に分かれており、一段階目の【蓄積】によって、攻撃を受けた分のダメージを蓄積させた。
そして、二段階目の【反撃】で、蓄積したダメージを一気にはじき出した。
本来であれば、ここで終わりのはずだったのだが、戦いの途中の覚醒によって三段階目が解放されたのだ。
その三段階目の【復讐】は、蓄積したダメージを何十倍もの威力にするという効果だ。
このスキルは、ダメージを負えば負うほど威力が向上するという、自分の身を犠牲にするスキルなのだ。
そのため、進はひたすらに攻撃を受けていたのだ。
~~~~~~
「このスキルは、もう使いたくないな。威力が半減になるのはいいけど、やっぱり痛いや」
そう、このスキルには、威力の半減と僅かな回復バフの効果がある。
そのため、何とか神宮寺さんの攻撃を耐えることができたのだ。
まあ、めっちゃ痛かったんだけど。
「神宮寺さん、大丈夫かな」
俺は、倒れている神宮寺さんの元へと歩いていく。
すると、意識はあり、ただ仰向けに転んでいるだけのようであった。
「神宮寺さん……」
「俺が負けたのか。ハハハ、ハハハハハ!!!」
「これで、認めてくれますか?」
「当たり前だろ。お前は、この俺に勝ったんだ。その力、認めるしかない」
「ありがとうございました。俺、神宮寺さんと戦えてよかったです。あなたのお陰で、俺はまた強くなれました」
「ハハッ、お前、どんだけ良い奴なんだよ」
―ガチッ
俺は、神宮寺さんと弱々しくも、固い握手を交わした。
この戦いで、俺はさらに強くなった。
こんなにも力を高めてくれた神宮寺さんには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「これから、頑張れよ」
「はい、もっと強くなります!」
「それと、次戦うときは、俺が勝つからな!」
「俺も負けません!」
そう言って、今回の戦いの良かったところや反省点を話し合った。
神宮寺さんとは、戦ったことで絆が深まったような気がした。
多分、友達という名の好敵手ってことでいいのだろう。
友達作りって、意外と簡単なんだな。
「ご苦労だ。いい戦いだった」
「「会長!」」
話し合いをしていると、そこに会長が現れた。
どこから戦いを見ていたのだろうか。
「廻神君、きみをSランクハンターに任命する」
「……え?」
「……会長、いま、何とおっしゃいました?」
俺たちは、会長が何を言ったのかが全く理解できずに固まってしまった。
そして、俺はもう一度、会長に尋ねた。
「だから、Sランクハンターに任命すると言ったのだ」
「ま、マジですか?」
「マジだ」
うん、なるほど。訳が分からん。
俺の頭の中は、会長の言葉が何度も響くだけで、理解ができなかった。
「進、やったじゃねぇか!
「夢じゃ、ないですよね?」
「当ったり前だろ!」
「やった、俺は、強くなれたんだ!」
俺は、Sランクになれたことよりも、強くなれたことが嬉しかった。
これまでの努力が認められたような感じがして、嬉しかった。
「今日は宴だー!」
「神宮寺、お前はここの掃除をしなさい」
「え?」
「当たり前だ。これだけ派手にやって負けたんだから、自分でやれ」
「マジかよ……」
俺のSランクへの昇進を喜んでくれていた神宮寺さんだが、会長の一言で一気に表情が暗くなった。
お疲れ様です。頑張ってください。
そうして、俺は優羽たちと少し話してから、家へと帰った。
優羽は、用事があると言ったので、俺は一人で帰った。
◆
―ヒュゥン
「終わったー?」
「あ、師匠! お疲れ様です!」
「だから、師匠じゃなくて、名前で呼んでってば!」
「あ、すいません。まだ慣れないんですよね」
「葵、寝すぎだ。髪が荒れてるぞ」
「あ、やばっ、忘れてた! 【身支度】」
―ピカンッ!
「よし、できた!」
「終わったぞ。明人が負けた」
「嘘でしょ! それなら、見に来ればよかったぁー。それで、あの子はどこにいるの?」
瞬間移動で現れたのは、西野 葵さんだ。
さっきまで家で寝ていた、と言わんばかりのボサボサの髪だ。
しかし、それを魔法で一瞬にして整えて見せた。
神宮寺さんを倒した進に興味を持っているようだ。
「もう帰りましたよ」
「マジかぁー」
「来るのが遅すぎるんだよ」
「だって、こんなことが起こると思ってなかったんだもん! まあいいや、今度会ったらお話しよっと! 楽しみだなぁー」
西野さんは、ウキウキした様子で話していた。
ハンターになってすぐに、Sランクハンターになった新人に興味が満々なようだ。
そして、優羽と西野さんは、一緒に協会を出て行った。
◆
「ただいまー」
「おかえり! どうだった?」
「…………」
「ダメだったの?」
「……勝ちましたー!!!」
「やったー! おめでとう、お兄ちゃん!」
―ギュ、
もう、俺の妹はどうしてこんなにも可愛いんだ!
これがシスコンというものなのだろう。
咲良に勝利を伝えると、とても嬉しそうにしてくれた。
この笑顔で俺の疲れは、全て消え去った。
そして俺は、明日の任務に向けて、ぐっすりと眠った。
「勝負あり、そこまで!」
神宮寺さんが倒れ、この戦いは終わった。
「……っしゃ、よっしゃー!!!」
俺の心からの叫びが、フィールドに反響して響き渡る。
「やった、進が勝った……」
「本当に勝つとはな、大した者だ」
「どうだ! 俺の必殺技は!」
俺はそう言うと、優羽たちの方に向けて、拳を突き出した。
俺の必殺技は、『段階スキル』と言われるものだ。
~~~~~~
『段階スキル』とは、いわゆるコンボのようなものである。
進の場合だと、三段階に分かれており、一段階目の【蓄積】によって、攻撃を受けた分のダメージを蓄積させた。
そして、二段階目の【反撃】で、蓄積したダメージを一気にはじき出した。
本来であれば、ここで終わりのはずだったのだが、戦いの途中の覚醒によって三段階目が解放されたのだ。
その三段階目の【復讐】は、蓄積したダメージを何十倍もの威力にするという効果だ。
このスキルは、ダメージを負えば負うほど威力が向上するという、自分の身を犠牲にするスキルなのだ。
そのため、進はひたすらに攻撃を受けていたのだ。
~~~~~~
「このスキルは、もう使いたくないな。威力が半減になるのはいいけど、やっぱり痛いや」
そう、このスキルには、威力の半減と僅かな回復バフの効果がある。
そのため、何とか神宮寺さんの攻撃を耐えることができたのだ。
まあ、めっちゃ痛かったんだけど。
「神宮寺さん、大丈夫かな」
俺は、倒れている神宮寺さんの元へと歩いていく。
すると、意識はあり、ただ仰向けに転んでいるだけのようであった。
「神宮寺さん……」
「俺が負けたのか。ハハハ、ハハハハハ!!!」
「これで、認めてくれますか?」
「当たり前だろ。お前は、この俺に勝ったんだ。その力、認めるしかない」
「ありがとうございました。俺、神宮寺さんと戦えてよかったです。あなたのお陰で、俺はまた強くなれました」
「ハハッ、お前、どんだけ良い奴なんだよ」
―ガチッ
俺は、神宮寺さんと弱々しくも、固い握手を交わした。
この戦いで、俺はさらに強くなった。
こんなにも力を高めてくれた神宮寺さんには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「これから、頑張れよ」
「はい、もっと強くなります!」
「それと、次戦うときは、俺が勝つからな!」
「俺も負けません!」
そう言って、今回の戦いの良かったところや反省点を話し合った。
神宮寺さんとは、戦ったことで絆が深まったような気がした。
多分、友達という名の好敵手ってことでいいのだろう。
友達作りって、意外と簡単なんだな。
「ご苦労だ。いい戦いだった」
「「会長!」」
話し合いをしていると、そこに会長が現れた。
どこから戦いを見ていたのだろうか。
「廻神君、きみをSランクハンターに任命する」
「……え?」
「……会長、いま、何とおっしゃいました?」
俺たちは、会長が何を言ったのかが全く理解できずに固まってしまった。
そして、俺はもう一度、会長に尋ねた。
「だから、Sランクハンターに任命すると言ったのだ」
「ま、マジですか?」
「マジだ」
うん、なるほど。訳が分からん。
俺の頭の中は、会長の言葉が何度も響くだけで、理解ができなかった。
「進、やったじゃねぇか!
「夢じゃ、ないですよね?」
「当ったり前だろ!」
「やった、俺は、強くなれたんだ!」
俺は、Sランクになれたことよりも、強くなれたことが嬉しかった。
これまでの努力が認められたような感じがして、嬉しかった。
「今日は宴だー!」
「神宮寺、お前はここの掃除をしなさい」
「え?」
「当たり前だ。これだけ派手にやって負けたんだから、自分でやれ」
「マジかよ……」
俺のSランクへの昇進を喜んでくれていた神宮寺さんだが、会長の一言で一気に表情が暗くなった。
お疲れ様です。頑張ってください。
そうして、俺は優羽たちと少し話してから、家へと帰った。
優羽は、用事があると言ったので、俺は一人で帰った。
◆
―ヒュゥン
「終わったー?」
「あ、師匠! お疲れ様です!」
「だから、師匠じゃなくて、名前で呼んでってば!」
「あ、すいません。まだ慣れないんですよね」
「葵、寝すぎだ。髪が荒れてるぞ」
「あ、やばっ、忘れてた! 【身支度】」
―ピカンッ!
「よし、できた!」
「終わったぞ。明人が負けた」
「嘘でしょ! それなら、見に来ればよかったぁー。それで、あの子はどこにいるの?」
瞬間移動で現れたのは、西野 葵さんだ。
さっきまで家で寝ていた、と言わんばかりのボサボサの髪だ。
しかし、それを魔法で一瞬にして整えて見せた。
神宮寺さんを倒した進に興味を持っているようだ。
「もう帰りましたよ」
「マジかぁー」
「来るのが遅すぎるんだよ」
「だって、こんなことが起こると思ってなかったんだもん! まあいいや、今度会ったらお話しよっと! 楽しみだなぁー」
西野さんは、ウキウキした様子で話していた。
ハンターになってすぐに、Sランクハンターになった新人に興味が満々なようだ。
そして、優羽と西野さんは、一緒に協会を出て行った。
◆
「ただいまー」
「おかえり! どうだった?」
「…………」
「ダメだったの?」
「……勝ちましたー!!!」
「やったー! おめでとう、お兄ちゃん!」
―ギュ、
もう、俺の妹はどうしてこんなにも可愛いんだ!
これがシスコンというものなのだろう。
咲良に勝利を伝えると、とても嬉しそうにしてくれた。
この笑顔で俺の疲れは、全て消え去った。
そして俺は、明日の任務に向けて、ぐっすりと眠った。
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