底辺ハンターのリベンジダンジョン!~モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います~

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第三十話 あの日決めた覚悟

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「まずは、これだ!」
「連続スキル【炎爆フレイムバースト×4モーティプルフォー!】」

 ―ババババァーン!

「どうだ?」
「俺との相性を見て、遠距離攻撃にしたんだ! でも、それじゃあ甘いな!」
「剣技 【空切くうせつ!】」

 ―ビュウゥゥン!!!

「剣で空を切っただけなのに、風圧が目に見える⁉ でも、俺にはスキルがある!」
「空間スキル 【無重力空間ゼロ=グラビティ!】」

 ―スゥゥ

「よし、ちゃんと攻防ができてるぞ」
「油断は禁物だ!」
「上からだと⁉ ヤバい、【セー―】」
「よいしょ!」

 ―ドガァァァン!

 俺は、『防御スキル 【硬化ハードボディ】』で全身を硬化させ、剣を手で止めたのだが神宮寺じんぐうじさんの力が強く、そのまま勢いよく地面に叩きつけられた。

「さっきのはマジで危なかったな。スキル使っても痛いし、気を付けないとな」
「完全に決まったと思ったんだけどな。まあ、楽しめそうだ」
「それじゃあ、行きますよ」
「強化スキル 【俊足ハイスピード】」

 ―ビュウゥゥン!

「こい!」

 ―ビュウゥゥン!

「おりゃぁぁぁ!!!」
「貧弱な殴りじゃあ俺は倒せないぜ!」
「貧弱ではないですよ」
「なんだと⁉」
「混合スキル 【筋肉効果マッスルハード!】」

 俺の拳が神宮寺じんぐうじさんの身体へと届く瞬間に、筋肉効果マッスルハードによって一気に威力を上げた。
 完全な不意打ちで、神宮寺じんぐうじさんは驚きた顔を見せた。

「これが決まれば、一気に勝率が上がるぞ! おりゃぁぁぁ!!!」
「フフフ、いい攻撃だ」
「笑ってるのか⁉ まあいい、この攻撃は絶対に当たる」

 驚いた顔を見せたと思うと、今度は急に笑い出した。
 俺は、気にすることなく全力で拳を突き出す。

「スキル 【反撃カウンター】」
「なんだと⁉―」

 ―ドガァァン!!!

 俺は、物理攻撃を倍にして返すスキルの反撃カウンターを貰ってしまい、広いフィールドの端っこまで飛ばされてしまった。
 この一撃を返されたのは、俺にとってかなりの苦であった。

「ッ、はぁ、はぁ……」
「詰めが甘いぞ。俺だって、スキルは持ってるんだからな」
「俺は、勝てないのか……」

 そうだ、スキルを持っているのは俺だけではないのだ。
 誰だって、スキルをいくつかは持っていて、たまたま俺だけスキルの数が多いんだ。
 それだけで俺は、強くなっていた気になっていたんだ。
 才能の違いは、これほどの壁を作るのだな。

 俺は、神宮寺じんぐうじさんとの圧倒的な力の差に、完全に戦う気力を失ってしまった。
 そのまま眠ってしまおうかとか思っていると……

しん! 負けるな!」
「頑張れ! お兄ちゃん!」
優羽ゆうと、咲良さくら……」

 朦朧とする意識の中で、応援してくれた二人の声が聞こえてきた。
 そうして、俺はあの日の残酷な景色を思い出した。

「ダメだ、立ち上がるんだ。俺は、勝たないといけないんだ……」
「もうやめとけよ。これ以上やったら死んじまうぞ?」

 俺は、ふらふらした足取りだが、何とか立ち上がった。
 神宮寺じんぐうじさんは、俺に棄権するように言うが、もちろん言う通りにするはずがない。

「大丈夫ですよ。俺が勝ちますから」
「いいんだな?」
「はい。俺はこんなとこで倒れていられないんですよ」
「いいねしん、お前のこと、気に入ったよ」
「回復スキル 【回復リカバー】」

 俺は、回復スキルで傷を癒した。
 完全には回復しないが、ある程度動けるようにはなった。

 ~~~~~~

しん、頑張って……」

 優羽ゆうは、二階の観戦席で新宮あらみやさんと試合を見ている。
 優羽ゆうは、しんの勝利を祈るようにしている。
 すると、新宮あらみやさんが口を開いた。

「あいつ、廻神 進えがみ しんと言ったな」
「はい、そうですけど」
「面白い奴だな。あいつは、これからもっと強くなるだろうな」
「当たり前じゃないですか! しんは、私と一緒にあいつらを倒すんですから!」
「あいつら?」

 新宮あらみやさんは、不思議そうな顔で優羽ゆうの方を見る。

「そうです、家族を殺したあいつらに」
「そうか、君たちならできるだろう。俺たちの……」

 新宮あらみやさんが小さな声で何か言うと、彼の拳には力が入っていた。

「どうかしました?」
「いや、何でもない。頑張れよ」
「はいっ!」

 そう言うと、二人は再び試合を静かに見守り始めた。

 ~~~~~~

「それじゃあ、第二ラウンドを始めましょうよ」
「いいね! 楽しくなってきたぜ!」

 そうして、第二ラウンドが始まった。
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