底辺ハンターのリベンジダンジョン!~モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います~

近度 有無

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第三話 高校初の友達ができた!

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 俺の高校デビュ―は失敗し、そのまま三時間目が終わった。
 俺は、中学の時からのルーティーンの『机に突っ伏す!』をしながら、クラスメイトが話している内容をこっそり聞く。

「次、何があったっけ?」
「確か、ハンター適性検査だったよ」
「マジかよー。ハンターに認定されたくないなー」


 ハンター適性検査か。今日の四時間目にあるって優羽ゆうが言ってたな。
 まあ、俺にハンターの素質なんか無いだろうし、気にする必要ないだろう。


 俺は一人悲しく、頭の中で会話をしていた。


『ハンター適性検査』それは、高校生になると必ず受けなければならない検査だ。
 適正だと認定された者は、強制的に『ハンター協会』の一員となり、最低でも三年間は国家の安全のためにダンジョンへと攻略に向かわなければならない。
 なぜ高校生かと言うと、この時期になると、身体の成長と体内の魔力が安定し始めるので、戦闘に行っても問題ないと国が決めているからである。

 しかし、実際はただの人数不足なのである。
 ハンターは、命を懸ける仕事であるため収入はそれなりに良いが、ダンジョンの恐ろしさから、大抵の人が二十歳までに引退してしまう。
 さらには、適正と認定される人数が少ないので、ハンター人口が増えるはずがない。
 そのため、ハンターの人気は低評価であり、ハンターに選ばれることが可哀そうと言われている。


「別にハンターは収入良いから、なってもいいんだけど……」
「やっぱり……」

 ―ガタンッ!

「青春できなくなるのは嫌だよな!」

「……」

教室は、これまでにないほどに静まり返った。

「「……あっ、そ、そうだよな」」

 俺は、勢いよく立ち上がり、教室全体に聞こえる程の大きな声で言った。
 俺の近くで話していた二人が、顔を引きつらせながら返事をし、そのまま立ち去っていった。


 あ、やべっ、教室でこんなに大きな声を出したの初めてだ。
 みんなこっち見てるよ……


 二人が立ち去った後、すぐに俺は自分の過ちに気が付いた。
 急に立ち上がり、大きな声で話す俺に驚いてこっちを見てくる。
 こんなにたくさんの視線は久しぶりで、耐えられなくなり、俺は急いでトイレへと逃げる。

 ―ジャー!

「ふぅ、スッキリしたー」

 俺は、洋式のトイレへ逃げ込んだ後、特に何もしていないが水を流し、気持ちの良さそうな顔でトイレから出た。

「あれが高校デビューなの?」
「うわっ! びっくりしたー。優羽ゆう、なんでここにいるんだよ」

 トイレの外には優羽ゆうが立っていて、俺に話しかけてくる。
 今の優羽ゆうの表情は、俺をからかってくるときの表情をしている。

「みんなから視線を浴びて、怖くてトイレに逃げ込んだんでしょ?」
「な、なんでそれを……」
「そんなの余裕でわかるのよ」

 優羽ゆうに隠し事はできないようだ。
 流石、俺の将来の奥さんだな!

「まあ、しんは話したら面白いんだから、気にしないでもすぐに友達はできるよ。それじゃ!」
「ちょ……」

 優羽ゆうは、友達ができずに焦っている俺のことを心配してくれたのだろう。
 普段はからかってくるが、この優しさがあるから全部許してしまう。
 俺は、この優しさに何度助けられたことか。

 優羽ゆうに感謝しながら、ゆっくりと教室に戻る。
 すると、俺の机の前に爽やかな男が座って俺のことを見る。

「やあ、早くおいでよ」
「え?」


 もしかして、初めての友達ができるのか⁉


 そう期待して、急いで自分の席に座る。
 そうして、前に座っている男と会話を始める。

「僕は逆瀬 愛人(さかせ あいと)。よろしくね」
「俺は廻神 進。よろしく」

 俺の初めての友達は、まるで王子様の様な容姿をした逆瀬 愛人君だ。
 周りの女子は皆、こちらを見ている。
 恐らく、愛人君が目的なのだろう。


 俺もまあまあイケてるし、一人くらい俺のこと見てないかなー


 そんなことを願うが、残念ながら全員が愛人あいと君目当てだ。

愛人あいと君……」
愛人あいとでいいよ」
「分かった。愛人あいと、どうして俺に話しかけたんだ?」

 この質問に特に悪気はない。
 単純に気になっただけだ。

「おもしそうだなーって思っただけだよ」
「え、それだけ?」
「そうだよ」
「……」
「……」
「あのさ……」

 俺と愛人あいとの間に沈黙が流れる。
 俺は気まずくて、何か話題を振ろうとした時、

「一組の人、移動しますからついてきてください」

 担任が、次の検査のための移動教室の声掛けがされた。

しん君、行こうか」
「あ、そ、そうだな」

 俺は、助かったと思いながら担任の元へと向かう。
 それと共に、何か愛人あいととの間に壁があるような感覚を味わった。
 しかし、初めての友達という喜びで、そんな感覚はすぐに消え去った。


 あんなかっこいい友達出来ちゃったー! 高校デビュ―しちゃったな!
 俺の青春、スタートだー!


 俺は、友達ができたことで高校デビューが果たせたと、気持ちが高ぶっていた。
 この時の俺は、これから青春が奪われることを知らない。
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