上 下
18 / 20

最終日③

しおりを挟む
「シーラ、頑張ったね!」
ディアナがボロボロ泣きながらシーラの手を握ってブンブン振り回した。

「私は何も…」

「いいの。いいの!私がシーラは頑張ったって思ってるからいいの」

そこにアレンも寄ってきて、

「シーラ、ディアナの気持ち受け取ってあげて。でないと終わらないよ」

アレンも心から嬉しそうに微笑んでいる。

「ディアナ、ありがとう」

ディアナはうんうん頷き、手を離した。

「じゃぁ、私は退散するね!貴方達はまだ話さないといけないことあるもんね!イザベラ行きましょう」

ディアナはパッと身を翻すと棚の前にいたイザベラを呼んだ。

「ふふっ、私達はお邪魔ね。シーラ、貴方はもう大丈夫よ。これはもう必要ないわ。あとは心のままに」

イザベラはそっとブレスレットを外し、
太鼓判を押してディアナと退散した。

ーー

気まずいわ…

強制的にふたりきりにされ、シーラはソワソワしてしまった。

するとアレンが

「まいったなぁ。俺としては急がせるつもりはなかったんだけど…」

嘘だ…神様とのゲームは今日が期日だ。
本当はめちゃくちゃ焦ってる。

「もし、結論が出てるなら…。返事、もらえるかな?」

シーラの様子から…
一縷の望みに賭ける!

「あ、わ、私…さっきまで婚約してて…」

ダメ押しだ!

「わかってるよ。そう簡単に切り替わるものじゃないだろう。付き合いたいとかじゃないんだ。…ただ、気持ちを知りたい…」

その言葉にシーラは思わず

「えっ?私、恋人になれないの!?」

ガバっと顔を振り上げ、アレンの腕を掴んだ。

「えっ?あ、いや」

「もう遅い?」

「な、何が?」

「私、アレンの恋人になれない?」

「えっ!?」

こ、これは…

アレンは一呼吸して状況を整理した。

「シーラ、それは俺の気持ちを受け取ってもらえるってことでいいんだね?」

「えぇ、私もアレンのことを想ってるわ」

「っ…!」

シーラは黙り込んでしまったアレンをチラッと見た。

どうしたのかしら…?
あっ…私、腕を…

アレンの腕を掴んでいることに気がついたシーラは腕をそっと離そうとした。

その時、
今度はアレンがガバっとシーラを抱きしめた。

「ありがとう!ありがとう!絶対絶対幸せにする!大好きだ!大好きだ、シーラ!」 

嬉しさが爆発したアレンに
抱きしめられたままクルクル回された。


「あ、アレン…」
「ごめん。やりすぎた。ははっ」

シーラとアレンは見つめ合って微笑んだ。

神様、ありがとう。感謝します!

※※※

その様子を離れたところで見守っていた人影が3つ。

「ア゛レン~、ジーラぁ~」

感激のあまり涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってるディアナ

「お嬢さん、おめでとうございます。アレン、報われたなぁ」

感慨深げにウンウン頷きながらディアナにハンカチを渡すエドガー

「ムムッ…だが、アレンなら…」

微笑むのを隠そうと渋い顔をしているフレッド

爽やかな風が吹く中
みんな初恋を拗らせた男の幸せを見守っていた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

【完結】伯爵の愛は狂い咲く

白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。 実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。 だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。 仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ! そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。 両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。 「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、 その渦に巻き込んでいくのだった… アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。 異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点) 《完結しました》

大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです

古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。 皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。 他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。 救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。 セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。 だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。 「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」 今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

処理中です...