17 / 37
15.医療都市とお別れ
しおりを挟む
ジュリが家に帰ると、イーサンは夕飯を共にし、客間に戻っていた。
マリカがおかえりとリビングでジュリを迎えてくれた。
マリカがジュリに
「あっそうそう。ジュリ、これ預かったの」
「なぁに?」
「はい」
小さな箱を渡してきた。
「ブレスレット?誰から?」
「お父様よ」
「誕生日…じゃないし、どうしたの?」
「さぁ?ジュリにとしか書いてなかったわ」
「うーん…何かしら?」
ジュリはブレスレットを腕につけてみたが心当たりがなく、首を傾げていると
「母さん、カード渡し忘れてるわよ」
ダイニングから姉のオルガが出てきた。
そしてジュリにカードを渡した。
カードには
“君の初赴任のお祝いに 父より”
「あら、父さんったら直接渡してくれればいいのに」
ジュリが目を開くと、マリカが
「父さん、今中央都市に長期出張中よ。あれ?言ってなかった?」
と言うので、オルガが額を押さえ、すかさず指摘した。
「母さん…言ってないわ」
「あらあら、ごめんなさいね。ちなみにお兄ちゃんは学術都市に赴任してて、お祖父様は職人街に長期出張中よ」
「バラバラね。後でみんなに手紙を書くわ」
ジュリがそう言うと
「そうしなさい。私が送っておくわ。ところで、あなたがイーサン君?」
オルガが返事して、イーサンに話を振った。
イーサンがリビングに入ってきたところだった。
「はじめまして。姉のオルガよ」
「はじめまして。お邪魔させてもらってます。イーサン・シェルパです」
「よろしく。あなたはお祖母ちゃんの患者さんね。お祖母ちゃん腕は随一なんだけど、小言がね。あなたも大変でしょ?」
「ニコラ先生にはとてもお世話になってます。先生の小言は小さい時聞き慣れているので人よりは耐性あります」
「あなたなかなか言うわね。ジュリはちゃんと診察してる?」
「大丈夫ですよ。彼女は街でも評判の美人医師ですよ。」
「ふふふ、上手いわね。じゃあ、私はまだ仕事あるから行くわ。ジュリ、手紙は私の部屋のわかりやすいとこに置いといて。またね」
「うん、また帰ってくるから。お姉ちゃんも頑張って」
オルガは返事の代わりに手を振った。
「お母さん、私、明日の午後出るね」
「あらあら、まぁ、あまり休んでいられないものね。明日母さんも仕事だから見送れないけど、頑張ってね」
「うん」
「イーサンさんも、またいらしてね」
「はい、リヴリー先生に定期検診のことでお灸を据えられたので、定期的に伺うことになると思います」
「うんうん。定期検診は大切よ」
「はい…」
部屋に戻ったジュリは会えなかった男性陣に手紙を書いてオルガの部屋の机の上に置いておいた。
翌日
イーサンは午前中にカリムのお見舞いに行った。
その間、ジュリは部屋のクローゼットを整理をした。
昨日、微かに思い出した幼い頃の思い出の手がかりがないか、探してみた。
「う~ん…特にないなぁ…」
あれ?この箱…
クローゼットの奥に隠されるようにしまわれた宝石箱がふと目についた。
あれ?これって…
宝石箱を開けると中から親指サイズの魔力カートリッジが入っていた。
ジュリは手に取り、中を覗き込んだ。
ん~…誰の魔力だろ…?
中に込められている魔力に心当たりがなく、特に何も思い出せなかった。
だが、なんとなくそのカートリッジを持って行くことにした。
その後、ジュリはイーサンを迎えとカリムに挨拶をしに病室を訪ねた。
「ジュリさん有難うね」
「はい!お体大事にしてくださいね。リハビリ大事ですよ」
「ははっ。今度は学術都市のほうに遊びに来てね」
「ぜひ」
カリムと別れを済ませ、
イーサンとここ数日何度も行ったレストランで昼食を食べてから、午後の特急に乗った。
行きと同じように向かい合って座った。
「イーサン、リディさんに会えた?」
「いや、今日は外せない研究中だからって父さん経由で伝言もらったよ」
「仕方ないね、でも残念だね」
「いや、母さんは圧が強いからこのくらいが丁度いいんだ」
「ふふっ、わかる気がするって言ったら失礼かな」
帰りも特急から列車に乗り換え3時間かけて帰った。
マリカがおかえりとリビングでジュリを迎えてくれた。
マリカがジュリに
「あっそうそう。ジュリ、これ預かったの」
「なぁに?」
「はい」
小さな箱を渡してきた。
「ブレスレット?誰から?」
「お父様よ」
「誕生日…じゃないし、どうしたの?」
「さぁ?ジュリにとしか書いてなかったわ」
「うーん…何かしら?」
ジュリはブレスレットを腕につけてみたが心当たりがなく、首を傾げていると
「母さん、カード渡し忘れてるわよ」
ダイニングから姉のオルガが出てきた。
そしてジュリにカードを渡した。
カードには
“君の初赴任のお祝いに 父より”
「あら、父さんったら直接渡してくれればいいのに」
ジュリが目を開くと、マリカが
「父さん、今中央都市に長期出張中よ。あれ?言ってなかった?」
と言うので、オルガが額を押さえ、すかさず指摘した。
「母さん…言ってないわ」
「あらあら、ごめんなさいね。ちなみにお兄ちゃんは学術都市に赴任してて、お祖父様は職人街に長期出張中よ」
「バラバラね。後でみんなに手紙を書くわ」
ジュリがそう言うと
「そうしなさい。私が送っておくわ。ところで、あなたがイーサン君?」
オルガが返事して、イーサンに話を振った。
イーサンがリビングに入ってきたところだった。
「はじめまして。姉のオルガよ」
「はじめまして。お邪魔させてもらってます。イーサン・シェルパです」
「よろしく。あなたはお祖母ちゃんの患者さんね。お祖母ちゃん腕は随一なんだけど、小言がね。あなたも大変でしょ?」
「ニコラ先生にはとてもお世話になってます。先生の小言は小さい時聞き慣れているので人よりは耐性あります」
「あなたなかなか言うわね。ジュリはちゃんと診察してる?」
「大丈夫ですよ。彼女は街でも評判の美人医師ですよ。」
「ふふふ、上手いわね。じゃあ、私はまだ仕事あるから行くわ。ジュリ、手紙は私の部屋のわかりやすいとこに置いといて。またね」
「うん、また帰ってくるから。お姉ちゃんも頑張って」
オルガは返事の代わりに手を振った。
「お母さん、私、明日の午後出るね」
「あらあら、まぁ、あまり休んでいられないものね。明日母さんも仕事だから見送れないけど、頑張ってね」
「うん」
「イーサンさんも、またいらしてね」
「はい、リヴリー先生に定期検診のことでお灸を据えられたので、定期的に伺うことになると思います」
「うんうん。定期検診は大切よ」
「はい…」
部屋に戻ったジュリは会えなかった男性陣に手紙を書いてオルガの部屋の机の上に置いておいた。
翌日
イーサンは午前中にカリムのお見舞いに行った。
その間、ジュリは部屋のクローゼットを整理をした。
昨日、微かに思い出した幼い頃の思い出の手がかりがないか、探してみた。
「う~ん…特にないなぁ…」
あれ?この箱…
クローゼットの奥に隠されるようにしまわれた宝石箱がふと目についた。
あれ?これって…
宝石箱を開けると中から親指サイズの魔力カートリッジが入っていた。
ジュリは手に取り、中を覗き込んだ。
ん~…誰の魔力だろ…?
中に込められている魔力に心当たりがなく、特に何も思い出せなかった。
だが、なんとなくそのカートリッジを持って行くことにした。
その後、ジュリはイーサンを迎えとカリムに挨拶をしに病室を訪ねた。
「ジュリさん有難うね」
「はい!お体大事にしてくださいね。リハビリ大事ですよ」
「ははっ。今度は学術都市のほうに遊びに来てね」
「ぜひ」
カリムと別れを済ませ、
イーサンとここ数日何度も行ったレストランで昼食を食べてから、午後の特急に乗った。
行きと同じように向かい合って座った。
「イーサン、リディさんに会えた?」
「いや、今日は外せない研究中だからって父さん経由で伝言もらったよ」
「仕方ないね、でも残念だね」
「いや、母さんは圧が強いからこのくらいが丁度いいんだ」
「ふふっ、わかる気がするって言ったら失礼かな」
帰りも特急から列車に乗り換え3時間かけて帰った。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる