想い想われ恋い焦がれ

周乃 太葉

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12.テラスにて

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途中の渡り廊下でふと庭を見ると、ウロウロしているジュリと遭遇した。

「ジュリ?」

「あ…イーサン、終わった?どうだった?大丈夫だった?怒られちゃった?」

「あぁ、大丈夫だったよ。ははっ、サボってたのはめちゃくちゃ怒られたけど」

イーサンは頭をポリポリと掻きながら苦笑した。
そんなイーサンの様子にジュリはホッと一安心した。

「ふふっ、それなら良かった。お疲れ様。そうだ、お茶にしない?」

「いいね。ちょうど小腹が空いていたんだ」

「じゃあ、そこのテラス席に座ってて。すぐお茶持ってくるから」

「わかった。ありがとう」

眺めのいいテラスにテーブルと椅子が置いてあった。
イーサンは席に座り、ジュリが来るまで目を閉じ、考えを巡らせた。

身体のこと…
器具のこと…

生活のこと…
仕事のこと…

先生のこと…
両親のこと…

ジュリに話さなきゃならないことがたくさんあるな。

と苦笑し、さらに深く思考の海に落ちていった。

昔のこと…
子供の時の…
転機…

あの日…

あの時…

そこで、ふと、何かが引っ掛った。

何か…
忘れている…?

気になってさらに深く思い出そうとしたとき、

「おまたせ!」
 
ジュリが戻ってきた。
イーサンは考えるのを中断し、ジュリに何も悟られないようにジュリに意識を向けた。

「早かったね」

「ふふふ。今日のお茶請けは特別なんだよ」

「特別?」

「じゃーん!中央都市で1番有名なケーキ屋の焼き菓子だよ」

「ソレイユの?」

「そう!戴き物なんだけど、せっかくだからってお母さんが」

「申し訳ないほど、至れり尽くせりだな」

「イーサンが喜んでくれたら嬉しいよ」

お茶を飲み、焼き菓子を食べ、一息付いたイーサンはジュリに話しかけた。

「ジュリは俺の身体のこと…気にならないの?」

その言葉にジュリは

「ん~気にはなるよ。でも、詮索することじゃないわ」

慎重に返答した。

「それに、医療都市随一の主治医が付いているんだもの。心配はしてないわ。ふふっ」

「ごめんな。いつか…いつか、気持ちの整理がついたら…全部聞いてほしい」

「待ってる。さぁ食べよ」

「あぁ」

夕暮れが2人を包んだ。
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